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【プラグ型漏電遮断器】ビリビリガードとは?選び方と基礎知識を徹底解説!

ビリビリガードとは?役割について

ビリビリガードはテンパールの商標でして、商品としては「プラグ型漏電遮断器」です。

他のメーカーからも販売されていますが、一番メジャーかつわかりやすい名称のため工事業界では「ビリビリガード」で通っています。

ビリビリガードは、「コンセントに差し込むだけで使える漏電遮断器」で、その名のとおり漏電による火災や感電を防ぐことができます。

分電盤の改造などの工事をしなくても簡単に取り付けられる点がメリットです。

上位タイプの「ビリビリガードPlus」は過電流保護機能も付いているため、より安全性が増しています。

ビリビリガードの用途

基本的には漏電保護がメイン

大型の物件の分電盤では、主幹が配線用遮断器で必要な子ブレーカーを漏電遮断器というパターンが多いです。

増設や改修を繰り返していると、水場や外部などの漏電遮断器が必要な箇所に漏電遮断器が設置されていないなんてこともあります。

街灯や自動販売機など、設備点検の際に漏電保護されていないことに気づいた場合は設置してみましょう。

工事中、客先電源使用時に

既存物件の改修工事では、客先のコンセントを借用して工具の電源をとることがよくあるかと思います。

仮に、電動工具が漏電していたり、電気の使いすぎで過電流になった場合、分電盤のブレーカーがトリップして全停電となったり、工事と関係のない設備が停止する可能性があります。

そのような事象を防止するために、コンセントに直接工具の電源を差し込まずに「ビリビリガード」を取り付けて使用します。

他設備への停電波及不具合防止の観点から、工事で使用する既存コンセントには必ず「ビリビリガード」を取り付けて作業するというのが業界の常識となっています。

単独で漏電保護したいコンセントに

家庭の分電盤は通常、主幹ブレーカーが漏電遮断器となっていますよね。

そのため、どこか一箇所が漏電すると全停電となってしまします。

それは困るという方は、外部照明や洗濯機、電子レンジなどの漏電の可能性が高いコンセントに設置することで防止することができます。

また、分電盤の漏電遮断器とビリビリガードの2段構えとなりますので、より高い安全性が確保できるといえます。

イベントなどの仮設電源に

イベントやお祭りなどの行事で電源を使う場合に、仮設電源を引き込んだり発電機を使用して電源を確保しますが、漏電保護がされていない場合があります。

特に外部のイベントの場合は、漏電の可能性が高くなりますのでビリビリガードを使用しましょう。

ビリビリガードの使い方

使い方は本当に簡単です。ビリビリガードをコンセントに差し込んで、使用したい機器をビリビリガードに差し込むだけです。

漏電して本機が動作した場合は、リセットボタンを押しせば通常状態に戻ります。

ビリビリガードPlusはアース付きとなりますので、2Pと3Pの切り替えがあります。2Pを使用する際は、2P切替ボタンを押しながらコンセントに差し込みます。

ビリビリガードの各部名称

通電ランプ(赤)・・・ビリビリガードが通電状態の時、このランプが点灯します。導電で動作した場合、テストボタンを押してOFFした場合は消灯します。

リセット(入)ボタン・・・ビリビリガードが漏電や過電流を検知してトリップした後、トリップ原因を排除してリセットボタンを押すことによって通常状態に戻ります。

テスト(切)ボタン・・・事故電流を正常に検出できるかの動作確認をこのボタンで行います。(手動でトリップさせる)また、ビリビリガードをOFFするときにも使用します。

2P切替ボタン(Plusのみ)・・・2Pコンセントに接続する場合は,この ボタンを押しながら接続します。

接地表示(Plusのみ)・・・コンセントの接地極に接続している場合 は緑色,接続されていない場合は白色を 表示します。

ビリビリガードの選び方

選び方のポイントですが、一つ目は過電流保護が付いているかです。

過電流保護はブレーカーで行い、漏電保護のみという場合は必要ないですが、工事等で上位のブレーカーを絶対に落としたくない場合は過電流保護機能は必須です。

二つ目は、3P(アース付き)かどうかです。

3Pタイプ(コンセントの穴が三つあるタイプ)はアース付きとなります。

工事で使う電動工具などをアースにつないでおけば、感電する前に確実に保護することができますので安全です。

工事現場によっては、延長コードやコンセントは3P以外使用禁止としているところもあります。

三つ目は、地絡保護の定格感度電流が高感度かどうかです。

上位側にさらに漏電遮断器が設置されており、ビリビリガードとうまく保護強調が取れない場合は、定格感度電流が高感度タイプのものを使用して、ビリビリガードのほうが上位のブレーカーよりも早くトリップするようにしましょう。

ビリビリガードを選ぶポイント
・過電流保護の有無
・3P(アース付き)か
・高感度タイプか

ビリビリガード紹介

【共通仕様】
定格電圧:AC100V
定格周波数:50/60Hz
定格感度電流:15mA
動作時間:0.1秒以内(高速形)
(屋内用)

型式 GRXB1515 GT-XC1515 GB-XC1515 GB-XC1506 PD-R
漏電保護
過電流保護    
極数 2P 2P,3P 2P,3P 2P,3P 2P,3P
定格電流 15A 15A 15A 15A 10A
定格感度電流 15mA 15mA 15mA 6mA(高感度) 15mA

ビリビリガード(GRXB1515)

漏電保護機能のみのスタンダードタイプです。

こんせんとは2Pのみ使用可能です。

過負荷、短絡保護はできませんので注意しましょう。

仮設ではなく、住宅や施設の漏電保護としてビリビリガードを設備運用の一部として使用する場合はおすすめです。

ビリビリガードPlus(GT-XC1515)

こちらも漏電保護のみのタイプとなり、過電流・短絡保護はできませんので注意しましょう。

GRXB1515の機能にプラスして、コンセントが3Pとなります。

ビリビリガードPlus(GB-XC1515)

漏電保護+過負荷・短絡電流保護機能のビリビリガードです。

さらに3Pタイプとなりますので、高機能型です。

「漏電保護」「過負荷保護」「アース付」となりますので、工事など客先の電源を使う場合におすすめです。

ビリビリガードPlus(GB-XC1506)

上記GB-XC1515の定格感度電流が6mAになったタイプです。

設置場所の上位に、高感度の漏電遮断器がある場合におすすめです。

PD-R

本体自体は防止ではありませんが、プラグが防水仕様となっています。

また、定格電流10Aですので、過電流の検出は高感度となります。

ビリビリガードはアースがなくても動作する?

アースがないと意味がない?そんなことはありません!

結論として、アースされていたほうがより安全であるが、アースがなくてもビリビリガードは動作します。

まず、ビリビリガード(漏電遮断器)の動作原理ですが、機器には零相変流器が内臓されており、回路の相の電流値を一括で監視しています。

100Vの回路の相はR相とN相がありますが、R相を行き、N相を帰りとし閉回路を循環しているとイメージします。

循環している回路の途中で漏電して地絡した場合、地絡電流は接地を伝ってトランスのB種に帰還します。

地絡電流は、接地抵抗に相対した電流値が流れますのでR相には、負荷電流+地絡電流の電流が流れます。

例えば負荷で10A使用しており、地絡電流が2Aであるとすると、R相には12A流れます。

そして、負荷電流の10A分はN相に帰っていきますが、地絡電流分は接地を回路としていますのでN相には流れません。

そうすると、R相は12AでN相は10Aとして2A分の差異(感度電流)が生まれ、これを零相変流器が検出して回路を遮断するといった仕組みです。

漏電遮断器の動作イメージ

上の漏電遮断器の動作のイメージは地絡した場合です。

さて、機器にアースがされていない場合どうなるのでしょうか。

アースがされていないと、仮に漏電してもB種接地にたどり着く閉回路が形成されないため地絡電流が発生しません。

機器に電圧がかかるだけです。接地がされていない機器が漏電した状態は、何も負荷がない電線に電圧をかけたイメージです。

電圧はかかっても電流は流れませんよね。

つまり、この時点では漏電遮断器は動作しませんが、機器に人が触れるなどして機器と接地が導通した瞬間に漏れ電流が地絡となり漏電遮断器が動作します。

人の足から大地に導通して地絡回路となります。

一瞬だけ人は感電しますが、漏電遮断器が動作しますので長い間は感電しませんので、一応安全ということです。

ただ、感電はしますので機器が接地されていることが望ましく、接地付きのコンセントに3Pのビリビリガードを使用することを推奨します。

アースがない場合の漏電遮断器動作イメージ

ビリビリガードを付けているけどブレーカーが落ちる原因は?

せっかくビリビリガードを使用していたのに、分電盤のほうでブレーカーが落ちてしまった場合は二つの原因が考えられます。

過電流保護が上位側で働いた

上位でのトリップ例1

漏電保護機能しか付いていないビリビリガードは、過電流を保護することができません。

そのため、丸ノコやサンダーなどの容量の高い工具をガンガン使っているとビリビリガードをスルーして、上位側の分電盤のブレーカーでトリップしてしまします。

電流値が高い機器を接続する場合は、過電流保護機能付きのビリビリガードPlusを使用しましょう。

保護強調がとれていない

上位でのトリップ例2

保護強調とは、漏電や過電流などの事故電流を検出して保護するにあたり、電源喪失の範囲を最小限にするために下位側のブレーカーから優先的に遮断させていく考え方です。

ビリビリガードも保護強調をするために取り付けられるものですから、上位のブレーカーが先に動作してしまうと機能として意味がなくなってしまします。

例えば、ビリビリガードの定格感度電流は15mAですが、上位のブレーカーが5mAや10mAのものが付いていたらそのブレーカーが先に検知して動作してしまいます。

過電流保護についても同様のことが言えます。

(実際にはほとんどの漏電遮断器の定格感度電流は30mAですが。。)

このように、まれに高感度の漏電遮断器が設置されている場合がありますので、上位が先に動作してしまった際は「定格電流」と「定格感度電流」を確認してみましょう。

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