全ネジカッターは電気工事、配管ダクト工事など、特に全ネジを頻繁に使用する設備工事に使用される優秀な工具です。
地域や人によっては「寸切りカッター」と呼ぶ方もいます。
機能としては全ネジを切断することのみですが、これ以上ない使い勝手と施工の省力化に貢献してくれます。
各電動工具メーカーから販売されていますが、若干使い勝手や形状などが違いますので比較紹介していきたいと思います。
全ネジカッターがないと仕事にならないシチュエーションもありますので所有しておくべき工具でしょう。
高額な商品ですので、本記事を是非参考にしていただければと思います。
クリックできる目次
全ネジカッターは優秀な工具
全ネジカッターは1本ずつしか切断できませんが、バンドソーと違い一瞬で切断できます。
パワーカッターでも一瞬ですが、バリがでやすいということと、大型工具のためセッティングが大変ですよね。
その点、片手で持ち運べてバリが出にくい全ネジカッターは大変優秀な工具なのです。
また、全ネジカッターの最大の魅力は、吊り下げてある全ネジを切断できることでしょう。
置き型の工具では不可能ですので、ラック工事やレースウェイ 工事、照明工事では必須となります。
・ラック工事やレースウェイ 工事
ラック工事やレースウェイ工事では、全ネジを天井スラブから吊るします。
全体的なレベルを合わすために、全ネジの長さを調整する必要がありますが、置き型工具の場合は先に全ネジを寸法で切ってから吊るす必要があります。
全ネジカッターがあれば、先に真物や適当な長さの全ネジを吊るし、後から切断することが可能です。
・照明工事
特に天井直付けのベースライト照明に当てはまりますが、内装工事のボードを貼る前に、照明取り付け用の全ネジを天井裏から吊り込みます。
ボードを貼った後、天井面から全ネジが出る形となりますが、この長さが長すぎたという経験はないでしょうか。
また、既存物件の照明更新工事で、古い照明器具よりも新品の照明器具のが必要な全ネジ長さが短いことがほとんです。
その場合、全ネジが長く干渉してベースライトが収まりません。
仕上がった部屋でサンダーなんかで切断すると火花で大変なことになりますが、そんな時は全ネジカッターが大活躍です。
天井から出た全ネジを簡単に切断できます。
全ネジカッターを選ぶポイント
メーカーで選ぶ(電池パックを統一)
全ネジカッターに限ったことではありませんが、充電工具を使用するにあたって電池パックが他の工具で使えることは大変重要なポイントです。
基本的には電池のサイズ(ボルトサイズ)が合っていて、同一メーカーであればどの充電工具でも使用することができます。
そのようなことから、電動工具は最初に購入したメーカーで決まるなんて言われたりしますよね。
もちろん、同一メーカーのが使い勝手は良いですが、無理してメーカーを統一したばかりに、自分に合わないものを選択してしまっては本末転倒です。
気に入ったものが同一メーカーの場合はラッキーですが、形状や使い勝手も吟味して選定しましょう。
3分専用か3分4分兼用か
全ネジカッターは、各メーカーから3分(10mm)専用と3分(10mm)4分(12mm)兼用のものが販売されています。
切断ボルトサイズの違いは、3分4分兼用タイプは若干重量が重くなります。
メーカーによっては(マキタ)油圧式になるため、大幅に重量が重くなります。
また、値段も3分専用品に比べ高くなる傾向です。
4分のボルトを頻繁に使う方はもちろん兼用タイプですが、普段4分をあまり使わない方は3分専用を購入し、たまに使う4分のボルトはバンドソーで切断というのもありだと思います。
電気工事ですと、4分の全ネジを切断する場面は、600mm幅以上のケーブルラックの敷設作業くらいでしょうか。
値段と普段の作業を考慮して検討してみましょう。
重量や形状
重量や形状もメーカーによって変わってきますので検討が必要です。
重量はほとんどばらつきはなさそうですが、形状についてはトリガー(動作スイッチ)の向きが好みに影響します。
トリガーの向きで、全ネジカッターの握り方が変わってきますので自分好みのものを選定しましょう。
全ネジカッターメーカー比較(おすすめ品)
makita(マキタ)
マキタは電動工具のシェア率が高く、職種問わずファンが多いメーカーです。
他の充電工具がマキタの方も多いのではないでしょうか。
・マキタ SC103DSMX(3分専用)
マキタ Makita 充電式全ネジカッタ SC102DRGX 7202
スペック | |
切断能力 | W3/8・M10・M8・M6(3/8以外別売) |
重量(kg) | 3.2 |
寸法(長さ×幅×高さmm) | 199×103×308 |
ステンレス対応 | 3/8○、M10× |
マキタの3分専用全ネジカッターは、よく見るオーソドックスな形状です。
全ネジを吊った状態で切断する場合は、トリガーを下に引くような形になります。
刃周りに付いているクリアカバーは、切断時の受台に使用できるところは嬉しいポイントです。
また、付属の刃でステンレス切断に対応しています。
捉え方によりますが、他のメーカーと比べケースが大きい(横に幅を取る)部分がマイナスポイントでしょうか。
切断長さ確認スケール付き。
・マキタ SC121DRG (3分4分兼用)
スペック | |
切断能力 | W1/2・W3/8・W5/16・M12・M10・M8(3/8以外別売) |
重量(kg) | 6.0 |
寸法(長さ×幅×高さmm) | 212×323×260 |
ステンレス対応 | 全対応 |
マキタの3分4分兼用全ネジカッターは、油圧式のごつめのデザインです。
切断能力が高くなっており、専用刃に付け替えずステンレスが切断でき、バリもでにくいのが特徴です。
ハイパワーモデルということで、切断可能サイズが多く、ステンレスには全対応で、唯一4分を切断できるモデルとなっています。
他のメーカーの兼用タイプに比べ、かなり重量が重い(約6kg)ため、片手での作業はかなり厳しいという面ではデメリットになるでしょう。
吊った全ネジを切断する際は、両手で使用する必要があるため慣れが必要です。
Panasonic(パナソニック)
パナソニックは、圧着機やケーブルカッターなど、電気工事に特化した電動工具が昔から販売されていますので、電気屋さんがよく使っているイメージですね。
・パナソニック EZ45A8(3分専用)
スペック | |
切断能力 | W3/8・M10(M10は別売) |
重量(kg) | 3.3 |
寸法(長さ×幅×高さmm) | 207×102×294 |
ステンレス対応 | 3/8○、M10× |
パナソニックの3分専用全ネジカッターです。
形状はマキタと同様となります。
前機種から改善されて、斜め切断によりバリが出にくくなりました。
ワンタッチ着脱のポケットが付いており、短く切った全ネジでしたらポケットに入るため照明工事に最適です。
切断長さ確認スケール付き。
・パナソニック EZ45A9(3分4分兼用)
スペック | |
切断能力 | W1/2・M12・W3/8・M10 |
重量(kg) | 3.75 |
寸法(長さ×幅×高さmm) | 207×100×301 |
ステンレス対応 | 3/8のみ対応 |
パナソニックの3分4分兼用全ネジカッターです。
兼用タイプですが、3分専用タイプと形状が変わらず、重量もさほど変わらないのが嬉しいポイント。
4分切断の際も作業負担になりませんね。
兼用タイプでは唯一、切断長さスケールが付属しています。
HiKOKI(ハイコーキ)
ハイコーキは全ネジカッターの先行メーカーです。
昔から使っている方も多いのではないでしょうか。
・ハイコーキ CL18DSL (3分専用)
スペック | |
切断能力 | W3/8, W5/16, M6, M8, M10(3/8以外別売) |
重量(kg) | 3.0 |
寸法(全長×高さ) | 283×185 |
ステンレス対応 | 3/8のみ対応 |
ハイコーキの3分専用全ネジカッターです。
ハイコーキは、斜めに切断しますのでバリがでにくいことが特徴です。
他メーカーと違い唯一トリガーが横向きですので、吊った全ネジを切断する際はトリガーを手前に引く形となります。
そのため、作業の負担が少ないのが最大のポイントですね!
また、W3/8, W5/16, M6, M8, M10のサイズに対応し、三分サイズ用としては一番対応サイズが多くなっています。
ケースは他メーカーと比べ、薄型コンパクトですので収納に便利です。
・ハイコーキ CL18DSAL (3分専用)
日立工機 コードレス全ねじカッタ CL18DSAL(LYPK)
スペック | |
切断能力 | W1/2・W3/8・W5/16・M12・M10・M8・M6(1/2・3/8以外別売) |
重量(kg) | 4.1 |
寸法(全長×高さ) | 304×185 |
ステンレス対応 | 3/8のみ対応 |
ハイコーキの3分4分専用全ネジカッターです。
マキタ同様対応サイズは多くなっています。
形状は3分専用と変わらず、重量もほとんど変わらないのが嬉しいポイントですね。
一緒に使いたいアイテム
HIKOKI ハイコーキ 全ネジカッター用トリマ
こちらは、全ネジのネジ山を修正する工具です。
全ネジカッターで切断した際、ナットが通らないことがありますので、このトリマを使いネジ山を修正します。
全ネジが通らない原因は、全ネジのバリもありますが、ネジ山が潰れていることがほとんどです。
バリ取り工具も販売されていますが、表面のバリは取れますがネジ山の修正がなかなかできません。
ハイコーキのトリマは、潰れたネジ山をしっかりと修正してくれますのでかなりおすすめの商品です。
ベッセル 全ネジレンチ ZW-3
全ネジを締め付けるためのレンチです。
インパクトに装着するソケットタイプもありますが、個人的には手動をおすすめします。
インパクトの場合は横振動がかかり、全ネジの山を削ってしまうからです。
また、締め付けも弱く、締まった感覚がわかりづらいため、手動のタイプでしっかりと締めつけましょう。
さいごに
全ネジカッターは販売メーカーがそんなに多くないため、主要メーカーについて説明しました。
高価なものとなりますので、事前に特徴を把握し、自分に合ったものを購入しましょう。
それではまた、ご安全に!