クランプメーターは、電気工事において使用頻度が高く大変重要な計測器となります。
仕様も様々で多数の商品が販売されており、購入に迷われている方もいるかと思いますので、今回はおすすめのクランプメーターを紹介いたします。
電気工事の工事屋さんはもちろん、施工管理業務をする方、施設管理や電気主任技術者さんにもおすすめできるものを厳選していますので、是非ご覧ください。
クリックできる目次
クランプメーターとは
クランプメーターとは、いわゆる電流計です。
電流計は、電気の流れる量である「電流」を測るものですので、使用中の回路にどれだけの電気が流れているかを調べることができます。
電流計は直列接続ですので回路の途中に組み込む必要がありますが、クランプメーターは電線をクランプ(挟み込む)するだけで簡単に計測することが可能です。
これは、電線の周囲に発生する磁界からクランプメーターのコイルに電流を発生させることで可能にしています。
機器改修時の前後を測定して省エネ効果を確認したり、回路に機器を増設する際に負荷使用量を確認したりなど様々な状況により使用されます。
また、電気の使用量だけではなく、2本の電線を同時にクランプすることで、電線の劣化により発生する「漏れ電流」も計測することができます。
特に、改修工事をする電気屋さんがよく使う印象です。
クランプメーターの選び方
最大測定電流値で選ぶ
クランプメーターは測定できる最大電流値が決まっています。
小型のものであれば小電流、大型のものであれば大電流を測定できますので、普段作業する状況を考慮して選定しましょう。
住宅であれば100Aまで測定できれば十分でしょう。
大型施設の幹線ケーブルとなると600A以上流れるものもあります。
漏れ電流が測定できるか
クランプメーターは負荷電流だけではなく、電線からどれ程の電流が漏れているかを調べるために、「漏れ電流」を測定することができます。
漏れ電流はケーブルの劣化等によって発生する微小な電流値ですので、A単位のレンジでは測定できません。
電気設備技術基準による基準では漏れ電流が1mA以下ということになっています。
漏れ電流測定を使用する場合は、レンジの分解能が0.1mAまである「漏れ電流測定対応品」を選定しましょう。0.1Aではないので注意です。
形状で選ぶ

測定部の形状には2種類あります。
一つは一般的によく見る「クランプタイプ」ですね。
クランプタイプは名前の通り電線をクランプ(挟み込む)して測定するタイプです。
測定部を開閉して使用します。
クランプタイプは多種のラインナップがありますので、測定するサイズに合わせて選定できる点がメリットです。
逆にクランプする必要がありますので、狭い場所や電線が混み合った場所では使いづらい点がデメリットです。
もう一つは「フォークタイプ」、「オープンタイプ」と呼ばれるもので、測定部の開閉をせずに先端部に隙間があるのでそこに電線を入れ込んで測定します。
フォークタイプは差し込むだけで測定できますので、狭い場所や子ブレーカーが並んでいるような電線の混み合った場所で使用しやすいです。
反面、大電流を測定できない点がデメリットとなります。
・クランプタイプ
大電流を測定できるが狭い場所では使いづらい
・フォークタイプ
大電流を測定できないが狭い場所で使いやすい
真の実効値が測定できるか

クランプメーターは「真の実効値形(RMS)」と「平均値整流形(MEAN)」の二通りの方法があります。
インバーター装置やスイッチング電源を使用している回路は電圧の波形が歪み、「平均値整流形」の場合異なった値を表示します。
「真の実効値形」を使用すれば波形が歪んでいても正しい電流値を測定することが可能となります。
インバーターは近年、エレベーター、エアコン、UPS、IH調理器、冷蔵庫などの様々な機器に内臓されていますので、基本的には「真の実効値形」タイプのクランプメーターをおすすめします。
多機能タイプも便利

施設管理などをする方は測定業務が主な仕事となりますので、タスター機能が付随した多機能タイプがおすすめです。
測定器をいくつも持ち歩く必要がないので便利ですよね。
職人さんの場合は、作業内容がはっきりしていますのでそれぞれの作業に応じて測定器を使ってる人が多い印象です。
おすすめのクランプメーター
共立電気計器 MODEL2300R

・スペック
測定可能電源:AC、DC
最大定格入力値:100A
形状:オープンタイプ
測定方式:真の実効値(RMS)タイプ
被測定導体径:最大φ10mm
寸法/質量:H161×W40×D30mm/約110g
オートパワーオフ機能付
非接触電圧感知機能付
こちらは形状がオープンタイプの計測器になります。
オープンタイプですので分電盤や制御盤の中の混み合った場所でも容易に測定することができます。
幹線ケーブルは電流値とサイズ的に厳しいですが、子ブレーカーの負荷電流の測定にピッタリですね!
非接触電圧感知機能というAC検電器と同じ機能がついています。
また、DC電源も測定可能ですので、制御盤内の信号線にも使えますよ。
電気工事屋さんはもちろん、計装工事や通信工事屋さんにもおすすめとなります。
共立電気計器 KEWMATE 2001A

・スペック
測定可能電源:AC、DC
最大定格入力値:100A
形状:オープンタイプ
測定方式:真の実効値(RMS)タイプ
被測定導体径:最大φ12mm
寸法/質量:L128×W92×D27mm/約220g 128(L)×92(W)×27(D)mm 約220g(
オートパワーオフ機能付(15分)
こちらもMODEL2300Rと同じく測定部がオープン型となりますので、狭い部分での測定に向いており分電盤や制御盤内の細い電線の測定におすすめです。
計測器本体の形状としては、カードタイプのマルチテスターですので、電流測定メインというよりかはマルチテスターに電流測定機能が付属しているといった感じですね。高機能型のテスターです。
ポケットサイズですので収納もしやすく、工事屋さんの腰道具にもピッタリです。
もちろん、施設管理をする方や施工管理業をする方にもおすすめですよ。
三和電気計器 DCL11R
・スペック
測定可能電源:AC
最大定格入力値:320A
形状:クランプタイプ
測定方式:真の実効値(RMS)タイプ
被測定導体径:最大φ22mm
寸法/質量:H145×W54×D31mm/約120g
オートパワーオフ機能付(5分)
小型クランプメーターの定番商品です。
φ22のサイズまではクランプできますので、住宅の幹線までは測定可能です。DIYにも十分ですね!
小型で持ち運びに便利ですし、クランプ部分も小さめですのでホーム分電盤などの多少混み合った場所でも問題ありません。
小型ですので、現場の規模に問わず分電盤の子ブレーカーの負荷電流を測定に向いています。
オートパワーオフ機能(自動で電源が切れる)付きですので安心です。
日置電機 CM4001

・スペック
測定可能電源:AC
最大定格入力値:600A
形状:クランプタイプ
測定方式:
被測定導体径:最大φ24mm
寸法/質量:H160×W37×D27mm/約115g
オートパワーセーブ機能付
漏れ電流測定対応
漏れ電流測定対応品です。
漏れ電流対応のクランプメーターは意外と少ないんですよね。
クランプの先端が細くなっており、クランプ径も小さめの設計ですので、ホーム分電盤や負荷分電盤などの混み合った場所でも測定しやすいです。
漏れ電流測定対応品は共通して高価です。。
共立電気計器 MODEL2433R
・スペック
測定可能電源:AC
最大定格入力値:400A
形状:クランプタイプ
測定方式:真の実効値(RMS)タイプ
被測定導体径:最大φ40mm
寸法/質量:H185×W81×D32/約270g
オートパワーオフ機能付(10分)
漏れ電流測定対応
こちらは微小な電流を測定できる、漏れ電流測定対応品です。
クランプ部は中型サイズとなりますので、単相だけではなく動力回路の漏れ電流も測定できます。
もちろん漏れ電流だけではなく一般的な負荷電流も測定可能ですよ。
共立電気計器 KEW2200R

・スペック
測定可能電源:AC
最大定格入力値:1000A
形状:クランプタイプ
測定方式:真の実効値(RMS)タイプ
被測定導体径:最大φ33mm
寸法/質量:H190×W68×D20mm/約120g
オートパワーオフ機能付(10分)
テスター機能付
1000Aまでの大電流を測定可能で、クランプ部分もφ33mmと大きいため、幹線ケーブルの測定にぴったりのクランプメーターです。
現場で一般的に使用される幹線サイズの最大は325sqですが、325sqまでクランプできますので、これ一個でだいたいの幹線ケーブルは測定可能です。
そして、KEW2200Rの最大の特徴はクランプ部分が細くなっているところです。
電線の線間がせっているような部分でも、細いので簡単にクランプすることができます。
また、測定コードが付属していますので、電圧や抵抗値を測定できる多機能タイプです。
大型施設を改修したり、大容量の幹線ケーブルを測定する方におすすめです。
日置電機 CM3291+CT6280

・スペック
測定可能電源:AC
最大定格入力値:2000A
形状:クランプタイプ
測定方式:真の実効値(RMS)タイプ
被測定導体径:最大φ 46 mm
寸法/質量:H198×W57×D16mm/約103g 57 W × 198 H × 16 D mm, 103 g
オートパワーオフ機能付(10分)
タスター機能付
CM3291のクランプメーターにフレキシブルカレントセンサがセットになったものです。
CM3291を単体としても使用可能です。
共立電気計器KEW2200Rとほぼ同じ仕様で、クランプ部分が大きく大容量の幹線ケーブルを測定する場合に向いています。
フレキシブルカレントセンサが付属していますので、クランプではどうやっても挟めないような部分でも測定が可能です。
ブレーカーや端子台に太めの幹線ケーブルがダブルで接続してある場合などに重宝します。
合わせて使用したいアイテム

電気器具を単独で電流測定する場合に使用する計器です。
電線を電流測定する際、相(線)を1本だけクランプする必要がありますので、電気器具のコードですと1本クランプはできません。
そんなときにこのラインセパレーターが活躍します。
コンセントにラインセパレーターを接続し、ラインセパレーターに計測したい電気器具を接続します。
セパレーターの空洞になっている部分をクランプすることで電流を測定することができます。
まとめ
特に改修の電気工事には必須のクランプメーターの紹介でした。
負荷電流や狭い場所には小型のクランプを、逆に幹線ケーブルを測定する場合は大型のクランプを選定する必要があります。
今回紹介したオープンタイプはDC電源も測定できるようになっていますので、自分が作業する環境に応じて選定してみましょう。
それではまた、ご安全に!