施工要領

【施工方法】ショートアンカーとは?打ち方、使い方と注意事項を解説【内部コーン打ち込み式】

今回は、代表的な雌ネジアンカーのショートアンカーについて解説していきます。

ショートアンカーの用途や詳しい使い方から注意事項まで説明していきますので是非ご覧ください。

ショートアンカーとは

ショートアンカーの特徴

ショートアンカーは、正式には「内部コーン打ち込み式アンカー」というもので、代表的な雌ネジのアンカーです。

CTアンカーという商品名としても販売されています。

建設業では「ショートアンカー」で通っている印象ですね。

コンクリートやモルタル、ブロックなどの面に使用できます。

内部のコーンを打ち込むことにより、本体が拡張されコンクリートにしっかりと固定されます。

雌ネジになっていますので、任意の長さで全ネジボルトを切断して使用することができます。

例えば、照明器具や空調機、レースウェイなどスラブから全ネジを伸ばして吊ることが可能です。

天井のLGS材を吊る場合も使用されますね。

また、雌ネジということでボルトが突出しないことが特徴でもあります。

不要になった際はボルトを外して撤去すれば突起が残りません。

ショートアンカーの規格

ショートアンカーはmm単位とインチ単位のサイズがあります。

インチmm
W1/4(2分)M6(6mm)
W5/16(2分5厘)M8(8mm)
W3/8(3分)M10(10mm)
W1/2(4分)M12(12mm)
W5/8(5分)M16(16mm)

メーカーによりサイズのラインナップは違いますが、一応上記サイズが存在します。

その中でも建設業においては、W3/8が圧倒的に使用率が高いです。

特に電気工事においてはW3/8以外使わないかもしれません。

その理由は、吊り物はほとんど3分の全ネジボルトで済んでしまうからです。

他のサイズはコンクリートビスや、雄ネジのアンカーボルトで代用できてしまいます。

ショートアンカーの施工方法

一番使用頻度の高いW3/8のサイズで説明していきます。

用意するもの

用意するもの

  • ハンマードリル
  • 12.5mmのキリ
  • 打ち込み棒
  • 全ネジボルト、ナット、首下ボルト等

手順①キリをセットする

ショートアンカー埋め込み深さ
埋め込み深さ印の状況

W3/8のサイズのショートアンカーの適応キリサイズは12.5mmです。

ハンマードリル専用の、取り付け形状SDSのキリになります。

埋め込み深さは30mmになります。

穴あけの際に、埋め込み深さがわかるようにキリに印をつけます。

スケールで測定してもよいですが、ショートアンカーの実寸で印をつけておきましょう。

ショートアンカーをキリにあてがって、ショートアンカーの長さのところでキリにマジックペンで書いたり、ビニールテープを巻いておくとわかりやすいです。

印をつけなくても、埋め込み深さの位置にストッパーが付いているショートアンカー専用のキリも販売されています。

下のものはストッパー付きのキリと打ち込み棒がセットになったものです。

しかも、キリと打ち込み棒を付け替えることなく、キリの上に打ち込み棒をセットできるので大変おすすめです。

ショートアンカーの打ち込みは、コンクリートに穴をあけるのでハンマードリルを使用します。

ハンマードリルにキリをセットして穴あけの準備は完了です。

手順②下穴をあける

アンカー打設穴掘り込み状況

キリをセットしたら、ショートアンカーを打ちたい面に穴をあけていきます。

ハンマードリルはハンマドリルモードにし、しっかりと縦方向に打撃がかかるようにしましょう。

ドリルモードですと回転するだけですので、コンクリートに穴をあけることができません。

しっかりと穴をあける面に押し当て、力をかけながら穴あけをします。

注意点は、穴をあける面に対してキリを直角に立てることです。

直角になっていないとアンカーが斜めになってしまいます。

ストッパーが付いていないキリを使用する場合は、印の深さまで穴あけします。

最後に穴の中に粉がありますので、ダストポンプでシュポシュポ吹き付けて掃除しておきます。

手順③打ち込み棒でアンカーを打ち込む

ショートアンカーを穴へ挿入

下穴にショートアンカーを入れ込みます。

入りにくい場合は、ハンマーで軽くたたきながら入れます。

ショートアンカーの内部を打ち込み、アンカーを拡張しコンクリートに固定するため、専用の打ち込み棒に付け替えます。

ユニカのクイックホルダービットセットの場合は、キリの上に打ち込み棒をセットします。

打ち込み棒でアンカーを拡張

打ち込み棒をショートアンカーの穴に入れ込み、ハンマードリルで打撃をあたえてあげます。

これで、アンカーが拡張され固定されました。

アンカーの打設としては完了になります。

アンカー拡張(ドライバーを使った場合)

打ち込み棒を持ってくるのを忘れたり、手元にない場合はプラスドライバーを入れてハンマーでたたくことによりアンカーを拡張することができます。

この方法はプラスドライバーに負担がかかるので、いざという時だけにしましょう。

打ち込み棒をハンマーでたたいても大丈夫ですよ!

手順④ボルト等を入れる

全ネジレンチでボルト締め込み
ボルト締め込み完了

アンカー打設が完了しましたので、あとは全ネジボルトを好きな長さに切断して全ねじ回しで締め付けていきます。

ウォーターポンププライヤー等でつまんでまわしても問題ありませんが、ネジ山が潰れる可能性がありますので、専用の全ネジ回しの使用をおすすめします。

このようにショートアンカーは希望の長さに全ネジボルトを突き出すことができますので、特に天井から照明や空調機を吊る際によく使われます。

また、首下ボルトを使用すればボルトを突き出さずに、壁や天井面にぴったり支持するといった使い方もできます。

首下ボルト取り付け

ショートアンカー使用上の注意点

穴の深さとサイズ

当然ですが、穴のサイズが小さいとアンカーが入りませんし、大きすぎると打ち込んで拡張してもアンカーが効かなくなります。

また、穴の深さが浅いと奥まで入りませんので引っ張り荷重強度が落ちてしまします。

キリのサイズと深さをしっかり確認してから穴あけするようにしましょう。

ショートアンカーのサイズ

mm単位と分単位は、それぞれほぼ同じサイズに対応していますが、微妙にサイズが違います。

例えば、10mmと3/8は同じサイズに見えますが、山が合いません。

そのため、3/8のアンカーに10mmのボルトは付けることができませんので注意が必要です。

詳しい理由はわかりませんが、建設業では全ネジボルトのサイズは3/8や1/2等のインチサイズを使用します。

他のアンカーボルトはmmサイズを使用しますが、全ネジ(寸切り)に関してはインチサイズなんですね。

吊り物の重量について

特に天井に吊り込んで使用する場合は、アンカーの強度と吊る物の重量を考慮しないといけません。

例えば、3/8のアンカーの最大引っ張り荷重は20.1kNで重量ですと約2000kgです。

安全率を勘案して2000÷10=200で約200kgを一箇所につき吊れることになりますが、コンクリートの状態なども考慮すると鵜呑みにできない部分があります。

そのため、機器の仕様書等を参考にし、「このサイズのボルトで吊りなさい」と記載があるかと思いますので、確認してみてください。

最後に

現場で大活躍のショートアンカーの説明でした。

吊り込みの工事や壁付けの工事どちらも大変よく使うアンカーですので、この記事を参考にして施工してみてくださいね!

それではまた、ご安全に!

-施工要領