今回は、寸法を測るための工具スケールについて紹介していきます。
種類が多すぎてどれを選んでいいかわからないといった方に、選び方やおすすめを紹介します。
スケールは「コンベックス」が正式名称のようですが、現場ではみんな一貫してスケールと呼ばれていますね。
寸法測定だけではなく、ちょっとした他の使い方や基礎知識も説明していきますので、是非ご覧ください。
この記事でわかること
- スケールの選び方
- おすすめのスケール
- スケールの基礎知識や使い方
スケールの選び方
目盛りはミリ寸法を!
スケールの目盛りは「尺寸法」と「ミリ寸法」が存在します。
ミリ寸法はお馴染みの「mm」「cm」「m」です。
尺寸法は、「分」、「寸」、「尺」などの日本建築では昔から使われる寸法になります。
尺寸法は合理的で素晴らしい単位ですが、残念ながら図面を基本とする電気工事では使用されません。
電気工事に限らず、中規模以上の現場ではミリ単位が基本で、尺寸法を使うのは住宅の大工さんくらいになります。
そのため、生活でも馴染みのあるミリ単位のスケールを選定しましょう。
ベルトホルダー付がおすすめ
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ベルトホルダーとは、腰にスケールを取り付けるためのホルダーになります。
ロック式のため、落ちる心配がなく、親指でワンタッチで取り外すことができます。
スケール自体にフックが付いているタイプもありますが、ひっかかった際に落ちたりしますので、しっかりロックできるホルダータイプがおすすめです。
ホルダーは腰道具のベルトに取り付け、常にスケールを装備しておきましょう。
長さは5.5m、幅は25mmがおすすめ
・長さに付いて
スケールの長さは1mから10mまでラインナップがありますが、一般的には5.5mを選定します。
理由は、電気工事で使用する材料はほとんどが5m以下であるためです。
ケーブルラックや電線管、レースウェイなどの定尺は全て5m以下です。
地墨出しの際に、5m以上の寸法になる場合がありますが、5mという切りの良い寸法で一度区切ることで測定可能です。
また、5mではなく5.5mを選ぶ理由は、スケールの構造上、スケールのテープを全て勢いよく出すと、テープを止めている付け根が外れて使い物にならなくなるからです。
そのため、5mの寸法を測る際に、根元まで引き出さなくても大丈夫なように、0.5mの裕度をみるといいです。
5.5以上のサイズにすると、本体が大きく重たくなるので使いにくくなります。
・幅について
幅については、25mmを選定するのが一般的です。
19mm幅ですと、スケールを長く伸ばした際に、立ちが悪いのですぐに折れ曲がってしまします。
19mmは事務所や住宅に常備するような、軽作業向きかと思われます。
工事に使う場合は25mmを選定しましょう。
先端にマグネットがあるものがおすすめ
中規模以上の現場になると、鉄骨やLGSなどの金属を使った建築物が多くなります。
電気工事の材料も、金属管や金属の筐体を使った盤などを使用します。
そのため、爪の先端が金属にピタッとくっつくマグネット付がおすすめです。
先端に鉄粉やビスが付くことがありますが、払えば簡単に落ちますので特には気になりません。
しかし、木造を専門に工事されている電工さんの場合は、あまりこの機能の恩恵を受けられないので、先端に鉄粉が付くデメリットを考慮するとなくてもよいかもしれません。
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底面のマグネットも使いやすい
こちらは好みになりますが、スケール自体を金属体にマグネットで支えられるタイプがあります。
ボックス建て込みの際に、LGSにスケールをくっつけたり、ダクターの寸法をとる際にダクターにくっつけたりできます。
両手が空くので一人で墨出しができ使い勝手は良いですが、マグネット部分にビスや鉄粉などが付くので嫌がる人もいます。
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コシが強いものもおすすめ(剛厚シリーズ)
スケールを床に置いて使う場合は問題ありませんが、空中に伸ばして使用する場合はコシが強いものをおすすめします。
コシが弱いと途中で折れてしまいますので使いづらいです。
また、電気工事特有の使いかたですが、天井裏の配線などでスケールを呼び線代わりに使用する際もコシが強いと便利です。
例えば、点検口から点検口に配線したい場合、片方の点検口から天井裏でスケールを伸ばして、もう片方の点検口でスケールの先端にケーブルを縛り、スケールを巻き取ることで配線することが可能です。
「寸法を測る工具でこんな使い方をするとはけしからん!」と他職におこられそうですが、専用工具が手元にない時によくやる方法なんですね。
この方法で配線する際は、スケールを壊さないよう十分注意してくださいね。
絶縁タイプ
電気工事では、活線近接で寸法をあたる場面があります。
そんな時は、テープ部分が絶縁素材のスケールがおすすめです。
しかし、絶縁素材が故にテープのコシがかなり弱いので、作業使いには向きません。
現場調査の際に、分電盤内やキュービクル、電気室などの寸法とりに重宝するものです。
おすすめスケール紹介
タジマ(Tajima) セフコンベ・ロック25 SFL25-55BL
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スペック
・ミリ寸法、長さ5.5m、幅25mm
・重量287g
・ベルトホルダー付
こちらは測る機能に特化した、最低限の機能のスタンダードタイプスケールです。
最低限の機能なためリーズナブルなお値段となっています。
電気工事初心者や木造を工事される方におすすめです。
タジマ(Tajima) セフコンベG3ゴールドロックマグ爪25 SFG3GLM25-55BL
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スペック
・ミリ寸法、長さ5.5m、幅25mm
・重量352g
・ベルトホルダー付
・先端マグネット付
爪の先端にマグネットが付いたタイプです。
ボディーは弾性樹脂でカバーした耐衝撃モデルとなりますので、落としても破損しにくくなっています。
タジマ(Tajima) セフG3ゴールドダブルマグ25 CWM3S2555
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スペック
・ミリ寸法、長さ5.5m、幅25mm
・重量400g
・ベルトホルダー付
・先端マグネット付
・底面マグネット付
先端と底面にマグネットがついたダブルマグタイプです。
底面の磁石でスケールを固定できるので、一人で墨出しが可能です。
野丁場工事の電気屋さんは使っている方多いです。
測定時に大変重宝する機能であり、他には立て込んだ作業の際にホルダーに収納するのが面倒だったりするので、配管やラックに付けて仮置きのような使い方もできます。
その際は、回収するのを忘れないようにしてくださいね!
タジマ(Tajima) 剛厚セフGロックマグ爪25 GASFGLM2550
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スペック
・ミリ寸法、長さ5m、幅25mm
・重量355g
・ベルトホルダー付
・先端マグネット付
・剛厚タイプ
黄色のテープが特徴の剛厚タイプです。
剛厚タイプは、通常テープの剛性力1.5倍ですので、コシが強いので立ちが良いです。
剛厚シリーズは5.5mのラインナップがないのがデメリットですが、5mでも注意して引き伸ばせば問題ありません。
タジマ(Tajima) 剛厚セフGロックダブルマグ25 GASFGLWM2550
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スペック
・ミリ寸法、長さ5m、幅25mm
・重量410g
・ベルトホルダー付
・先端マグネット付
・底面マグネット付
・剛厚タイプ
こちらは、ダブルマグネットに剛厚タイプということでフルスペック仕様です。
全ての機能を兼ね備えたようなスケールとなります。
お値段は少し高めとなります。
積水 グラスコンベックス(非導電メジャー) GC30N
テープはFRP製で、ウレタン樹脂コートがされているため非導電性となっています。
感電の危険性がある場所での測定に最適です。
立ちがよくなく、損傷しやすいため、作業ではなく現場調査限定と割り切った使い方になるでしょう。
現調用のかばんに常に忍ばせておくのもよいかと思います。
スペック
・ミリ寸法、長さ3m、幅19mm
・重量150g
・絶縁タイプ
合わせて使用したい安全セフ
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別売りのベルトホルダーになります。
純正のベルトホルダー機能に加えて落下防止ワイヤーが付属しています。
また、ベルトの端から通さずに後から付けられ、取り外しも可能なため、必要に応じた着脱が可能です。
上記で紹介したベルトホルダー付スケールには対応しています。
スケールの基礎知識と使い方
寸法を読み方はミリ単位で
建築業共通事項ですが、寸法を読み上げる際は必ずミリ単位で表します。
図面の表記も同じですが、建築業はミリ単位で表すことが基本事項となります。
例えば10㎝の場合は100、1mの場合は1000です。
一人がスケールで寸法をあたって読み上げ、もう一人が読み上げた寸法で加工するといったシチュエーションがよくあるかと思います。
50㎝で加工してほしい場合は、「500で加工して」と伝えます。
50と伝えると5㎝と伝わってしまいますので注意です。
455ピッチについて
上記で、建築業はミリ単位ということですが、古き良き日本建築の文化を世襲して、多くの建材は尺寸法を元にしたサイズとなっています。
やはり尺寸法は建物を作る上でとても合理的なんですね。(尺寸法を元にしていますが表記はミリです)
例えばボードのサイズは、プラスターボードであれば1820mm(6尺)×910mm(3尺)です。
ジプトーンのボードは910mm(3尺)×455mm(1.5尺)です。
そのためボードの下地であるLGSは、455mmピッチまたは910mmピッチで組まれます。
実は、スケールには455mmピッチ(455の倍数で)で赤い矢印目印がしてあるのです。
この目印により455ピッチが一瞬でわかります。
LGS屋さんには嬉しい機能ですが、電気屋さんにおいても下地の組み方やボードの下地位置などのおおよその予想を立てることができますので、ボード開口や配線時に役立ちます。
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爪先端の可動域について
実は、スケールの爪の先端は1mm程の可動域が存在します。
爪を触ってみるとわかりますが、カチャカチャと前後に動くのです。
これは、「ゼロ点補正」といって、爪の厚み分動くようになっています。
スケールの爪はモノに「引っ掛ける場合」と「押し当てる場合の」2通りがあります。
爪が可動しないと、引っ掛けた場合は、押し当てた場合より爪の厚み分短くなってしまします。
そのような理由から、可動域が存在します。
これは、単なる豆知識ではなく、引っ掛けの場合はしっかりとスケールを手前に力をかけ、押し当ての場合は押し当てる方向に力をかけることが重要となります。
例えば押し当ての場合、先端のマグネットで少しくっついているからといって、少し引っ張り気味になっていると、可動部が開いて1mm長くなってしまいますので注意しましょう。
収納の際は怪我をしないように注意!
スケールのテープを収納する際に、テープの端で手を怪我するという事例があります。
ロックを解除すると、すごい勢いで巻き取られていきますので、注意しないとテープの端で手を切創してしまいます。
手袋を着用するといった対策もできますが、少しずつロックを解除するなどして、怪我をしないように注意しましょう。
まとめ
まとめ
- サイズは長さ5.5m、幅25mmがベター
- 磁石や剛厚タイプなどで好みを選定
- 建築はミリが基本
- 爪先端の可動域やテープ端による切創に注意
スケールは電気工事において、驚く程よく使う工具です。
そのため、テープが切れたりするので消耗品となりますので、色々と試してみるのもありですね!
作業にはかかせない工具ですので、この記事を参考に自分のに最適なものを探してみてくださいね。
それではまたご安全に!