電気工事において、急な仕様変更、ボックスの立て込み忘れなど、壁が仕上がった後にコンセントを取り付けする際にパネルボックスはとても便利です。
また、家の壁にコンセントを増設したいといった場合も必須の材料になります。
今回はパネルボックスの使い方や注意点などを紹介していきます。
クリックできる目次
パネルボックスとは
パネルボックスとは後付けボックスとも呼ばれ、壁が仕上がった状態(壁のボードとクロスを貼った後)でもコンセントやスイッチの設置に必要なボックスを後から取り付けることができます。
通常であれば内装工事の過程で、ボードを貼る前に間柱にボックスを仕込んでおきますが、パネルボックスはボードを貼った後でも取り付け可能なんですね。
電気工事においては、ボックスを仕込み忘れてボードが貼られてしまったり、急な仕様変更で「ここにもやっぱりコンセントが欲しい」なんて言われるような状況もあります。
また、家の中でコンセントやLANポートを増設したいときってありますよね。
そんなときにパネルボックスが大活躍します。
ボックス正面の淵と裏側の爪でボードを挟み込むように固定します。
開口部に入れ込みビスを締めるだけですので簡単に取り付けることが可能です。
パネルボックスの使い方
パネルボックスはコンセントを壁に埋め込んで取り付けるものですので、当然壁の裏は中空壁(空洞)である必要があります。
間柱などがあると取り付けることができませんので、事前に下地の位置を確認しましょう。
下地の探し方は下記の記事で紹介しています。
パネルボックスのサイズは、同じボックスに取り付ける器具の数により1ヶ用、2ヶ用、3ヶ用があります。
深さは後述しますが深型がおすすめです。
手順①まずは墨出しを
パネルボックスを埋め込む穴を開けるため、コンセント等の器具を取り付けたい場所に、墨出し(印をつける)をします。
高さは既存の器具の位置に合わせるとよいでしょう。
コンセントでしたら250mm〜300mm、スイッチでしたら1200mm〜1300mmの位置かと思います。
位置が決まりましたら、墨出しをしていきます。
パネルボックスを壁に当てて周囲をけ書いても問題ありませんが、水平がわかりませんので、電気工事専用の水平器を使うことをおすすめします。
専用水平器はパネルボックスの大きさになっていますので、水平器で水平をあたりながら周囲をけ書くだけで簡単に墨出しをすることができます。
おすすめ水平器は下記の記事を参照ください。
手順②ボード開口
墨出しが完了しましたら、回し引きを使ってボードを開口していきます。
おすすめの回し引きは下の記事を参照ください。
回し引きの先端を貫通させるための穴を最初にあけると切りやすいですよ。
プラスドライバーで構いませんので、ボードに当てながらグリグリ押し込むと穴をあけることができます。
対角の2箇所あければ十分です。
※写真はボード素地ですが、実際はクロスやペンキで仕上がってある壁を想定します。
ドライバーで開けた穴から、先程け書いた線をなぞるようにそれぞれ外に向かってボードを切っていきます。
四角い穴を開けることができたら、パネルボックスを入れてみましょう。
穴が少し小さい場合は、回し引きで周囲の淵を削るようにして調整します。
手順③パネルボックスを固定する
パネルボックスを取り付けた後ですとケーブルを取り出すのは困難となりますので、パネルボックスを固定する前にケーブルをボックスから出しておきます。
パネルボックスは色々なところにノックアウトがありますので、自分がケーブルを入れ込みやすいと思う場所のノックアウトを外しケーブルの通り穴をあけておきましょう。
ノックアウトですので、ペンチでつまんだりハンマーで叩いたりすれば簡単に穴をあけることができます。
ケーブルを通した状態で、開口したボードにパネルボックスを入れ込みます。
角にあるビスをプラスドライバー等で締め付けていくことによって、爪が開き、爪が手前に締め込まれる構造となっていますので、ボードを挟み込み固定することができます。
ビスが回らなくなったところで固定されますので、全てのビスを締め込みましょう。
角のビスを締め付けることができましたら取り付け完了です。
下の画像は裏から見た様子です。
しっかりと爪で挟み込み固定されていますね。
真ん中にあるビスはコンセントやスイッチの取り付け枠を付けるビスとなりますのでなくさないようにしましょう。
2個用のパネルボックスの場合は、締め付けるビスが多くなりますがそれ以外の取り付け要領は変わりません。
パネルボックスの注意点
パネルボックスはボードに支持されているということ
通常でしたらボックスは間柱に固定されていますが、パネルボックスの場合はボードに挟み込み形で固定されています。
そのため、比較的もろい素材であるボードに支持される形となるため強度は高くないといえます。
コンセントに強い衝撃をかけることはあまりないのでそこまで心配いりませんが、新築などで間柱に固定できるのであれば最初にボックスを建て込むことが理想です。
新築工事で最初からパネルボックスによる施工は想定しないということですね。
パネルボックスは、あくまでボードが貼られた後の最終手段となります。
浅型は難易度が高い
壁裏の隙間があまり広くない状況に対し、浅型のパネルボックスがラインナップされています。
ボックスの深さが浅いタイプですね。
浅型を使う場合、ボックスの中が狭くなりますので電線を収めるのが難しくなります。
そのため、電線を無理に収めようとすると電線がボックスに押さえつけられるような状態となったり、差し込み部分に負荷がかかったりとよくない状態となります。
その結果、将来的に絶縁が悪くなったり、電線の抜けといった不具合につながるため個人的に初心者にはおすすめしません。
壁裏の懐が狭い場合にはC型はさみ金物を使うことをおすすめします。
さいごに
ボードを貼った後のコンセント取り付けに便利なパネルボックスの紹介でした。
後施工でもしっかりとボックスを取り付けができますので、電気工事の実践はもちろん、自宅のコンセント増設などのDIYにもおすすめですよ!
簡単施工ですので是非使ってみてください。
それではまた、ご安全に!