知識・疑問

【知識】絶縁電線(IV線)は露出配線禁止?接地線(アース)は例外?根拠を基に解説!

2023年4月6日

絶縁電線とケーブルは区別されるもので、「絶縁電線」は絶縁被覆で覆われている線、「ケーブル」は絶縁電線のまわりにビニルシースが覆われたものです。

絶縁電線は1重構造、ケーブルは2重構造となりますが、実は絶縁電線を露出で配線することは電技や内線規程で認められていません。

例外もありますので、根拠を基に解説していきます。

絶縁電線が露出配線禁止の根拠

内線規程イメージ

電気設備技術基準の解釈では以下のように配線工事について規程されています。

第2節 配線等の施設【低圧屋内配線の施設場所による工事の種類】(省令第56条第1項)

第156条 低圧屋内配線は、次の各号に掲げるものを除き、156-1表に規定する工事のいずれかにより施設すること。 一 第172条第1項の規定により施設するもの
二 第175条から第178条までに規定する場所に施設するもの

156-1表

施設場所
の区分

使用電圧の
区分
工事の種類












































































展開した
場所

乾燥した場所 300V以下      
300V超過          
湿気の多い場所又は
水気のある場所
300V以下            
300V超過              
点検でき
る隠ぺい
場所
乾燥した場所 300V以下  
300V超過          
湿気の多い場所又は
水気のある場所
             
点検でき
ない隠ぺ
い場所
乾燥した場所 300V以下            
300V超過                
湿気の多い場所又は
水気のある場所
               

引用:電気設備技術基準の解釈

配線工事は表のように12種類に分類されています。

絶縁電線による露出配線をしてはいけませんと明記しているわけではないのですが、上記の12種類のいずれかの方法で配線をする必要がありますので、結果として後述するがいし引き工事を除き、絶縁電線を露出して配線することはできません。

工事の種類により、電線管やダクトで保護しなさいということですね。

ケーブル工事の場合はシースで保護するということです。

そのため、シースを剥ぎ取ったIV線などを天井で転がし配線することはできず、配管やダクトで保護するかケーブルによる配線をする必要があります。

コンセント接続箇所やジョイント接続箇所は電線露出では?

ジョイントボックス内、電線接続状況

コンセント施設について内線規程では次のように規程しています。

①コンセントを造営材に埋め込む場合は、次のいずれかによること。

a.埋込型のコンセントは、金属製又は難燃性の絶縁物のボックスに納めて施設すること。

引用:内線規程 3202-2 コンセントの施設

ケーブルの接続について内線規程では次のように規程しています。

2,ケーブル相互の接続は、キャビネット、アウトレットボックス又はジョイントボックスなどの内部で行うか、又は適当な接続箱を使用して行い、接続部分を露出させないこと。

引用:内線規程 3165-5 ケーブルの接続

コンセントの取り付けやケーブルジョイントの際は、ケーブルのシースを剥ぎ取りますのでどうしても絶縁電線が露出する状態となります。

しかし、上記規程より、ボックスを設けることにより絶縁電線部分及び接続端子を保護することができるので、絶縁電線の露出が認められると解釈できます。

コンセントやスイッチは壁にボックスが仕込まれていますし、ジョイント部分はプルボックス、アウトレットボックス、ナイスハットなどで保護されていますよね。

また、ブレーカーを収める分電盤やキュービクルもキャビネットやジョイントボックスに該当すると解釈できますので、分電盤やキュービクル内部も絶縁電線を露出することが可能です。

【例外】絶縁電線が露出OKの場合

接地線(アース線)の配線

接地線、露出配線状況

接地線に使用される線は絶縁電線で問題ありません。

よく天井裏やケーブルラックに緑色のIV線が直接捕縛されているのを見かけるかと思います。

接地線は、通常時電圧がかかる部分ではないので「電路」として捉えないことができますので、損傷する恐れのある部分を除き保護する必要がないのです。

根拠規程としまして、内線規程の1100-1用語において、「配線」と「接地線」は別々に定義されています。

つまり「接地線」と「配線」は別物と解釈できます。

また、内線規程では「低圧配線方法」と「接地」を別々に規定しています。

1350「接地」ではA、C、D種接地について次のように規定しています。

A種接地工事、C種接地工事又はD種接地工事の接地線は、次の各号により施設すること。ただし、3810-5(高圧接触電線)に定める場合を除く。

①接地線が外傷を受けるおそれがある場合は、合成樹脂管(厚さ2mm未満の合成樹脂製電線管及びCD管を除く。)などに収めること。

ただし、人が触れる恐れがない場合、又はC種接地工事若しくはD種接地工事の接地線は、金属管(ガス鉄管を含む。)を用いて防護することができる。

[注]避雷針、避雷器用の接地線は鋼製金属管内に納めないこと。

②接地線は、接地すべき機械器具から60cm以内の部分及び地中部分を除き、合成樹脂管(厚さが2mm未満の合成樹脂製電線管及びCD管を除く。)などに収め外傷を防止すること。ただし、絶縁電線をメタルラス張り、ワイヤラス張り又は金属板張りの造営材以外で外傷を受けるおそれのない場所に施設する場合は、造営材にそのまま密着して取り付けることができる。この場合の電線の固定または支持方法は、3165-2(ケーブルの支持)の規定に準じて行うこと。

引用:内線規程1350-3

1350-5「B種接地工事の施設方法」ではB種接地について次のように規定しています。

B種接地工事の接地線は、3810-5(高圧接触電線)に定める場合を除き、IV電線又はこれと同等以上の絶縁効力のある銅電線を用いること。ただし、地中及び接地極から地表面上60cm以下の部分、湿ったコンクリート、石材、レンガの類に接する部分又は腐食性ガス若しくは溶液の発散する場所に用いる場合を除き、アルミ電線を用いることができる。

引用:内線規程 1350-5 3

上記から、A、C、D種接地は、外傷を受ける恐れのない部分については露出が可能になります。

B種接地については、「IV線」という単語がしっかりと記載されています。

また、内線規程3102「低圧配線方法に関する共通事項」3102-1「施設場所と配線方法」にはこのような記載があります。

ケーブルラックには、電線にケーブルを用いるなどとし、直接絶縁電線(1350-3(A種、C種又はD種接地工事の施設方法)1項②による接地線を除く)を支持しないこと。

引用:内線規程 3102-1[注4]

上記より、接地線は電線を使い直接ケーブルラック に捕縛しても問題ないと解釈できます。

がいし引き工事よる配線

がいし引き工事、配線状況

電気設備技術基準の解釈の表のうち、がいし引き工事のみ何かに保護されているわけではないので絶縁電線が露出状態となります。

がいし引き工事は、絶縁体であるがいしを支持材に使用することで、他の建築物と完全に絶縁することで損傷による地絡の可能性を低くしています。

昔の木造住宅工事で使用されていた工法ですが、現在はほとんど使用されなくなりケーブル工事が主流となっています。

やむを得ない際どい例

ダウンライト等接続箇所

ダウンライト接続部分

ダウンライトの構造上、絶縁電線部分を覆うことは困難となります。

コンセントのようにボックスを仕込むということもできませんし、結論としてできるだけ電線の露出部分を短くするというのが最善の策です。

とはいえ、短すぎるとダウンライトへ接続するのが大変になりますので、無駄に長くシースを剥かないということを意識されるとよいかと思います。

あわせて読みたい

C型はさみ金具を使ったコンセント接続箇所

C型はさみ金物

GL工法の壁など、壁裏にボックスを建て込むスペースがない場合に「C型はさみ金具」を使いコンセントを取り付けます。

その場合、電線接続箇所が露出状態となりますので規程的にはグレーなところです。

ダウンライト同様、シースの剥ぎ取りをできるだけ短くし、電線の露出が長くならないように考慮する必要があります。

まとめ

まとめ

  • 電線の露出配線はNG
  • 外装があるケーブルの露出はOK
  • 電線は配管やダクト内に収める
  • ジョイントや接続部はボックスを設ける
  • 例外としてアース線は露出OK
  • 構造上止むを得ず露出になる部分は損傷しないよう処置する

電気工事を日頃施工していると、慣習でこの場合はこうすると決めて施工されているかと思います。

でも「なぜ」を追求して規程を読み直してみるのもスッキリしますよ!

内線工事ではくれぐれもIV線などの電線を露出で配線しないようにしましょうね。

それではまた、ご安全に!

-知識・疑問