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【太陽光発電】逆接続可能型ブレーカーとは?一般の漏電遮断器を逆接続できない理由と接続箇所を解説!

今回は逆接続可能型ブレーカーについてと、一般の漏電遮断器を逆接続してはいけない理由について解説していきます。

結論から申し上げますと、逆接続可能型ブレーカーは太陽光発電システムを導入した分電盤に使用します。

そして、太陽光で発電した電力は売電するために逆流することとなりますので、一般の漏電ブレーカーを使用した場合焼損する恐れがあります。

逆接続可能型ブレーカーの仕組みと、一般の漏電ブレーカーではいけない理由を以下詳しく解説していきます。

逆接続可能形ブレーカーとは?

逆接続可能型ブレーカーとは、名前の通りですが1次側と2次側の接続を逆にしても使用できるブレーカーです。

一般的な漏電遮断器は1次側と2次側の接続箇所が決まっています。

主に太陽光発電設備に繋がれた分電盤に使用するブレーカーという認識で問題ありません。

さて、普段私たちが使用している電力は、電力会社が発電したものとなります。

近年は、温室効果ガスや化石燃料の問題で太陽光発電設備が普及していますよね。

太陽光で発電した電力を、電力会社が発電した電力が流れる回路(以下、系統)に接続することを系統連系といいます。

系統連系をして、太陽光で発電した電力を系統に送り込み、太陽光で発電した電力を優先的に消費することで、系統側の電力を削減できます。

結果、電気代が安くなるという仕組みですね。

系統連系している分電盤に設置する漏電遮断器(ELCB)には、逆接続型ブレーカーを取り付ける必要があります。(MCCBは必要なし)

内線規程においても、「過電流保護機能付き漏電遮断器は、逆接続可能型が必要」と記載されています。

具体的な取り付け箇所については後述しますが、逆接続可能型ブレーカーを設置しなければいけない理由として、系統連系している回路は両方の向きに電流が流れるからです。

太陽光発電量が多い場合は系統側に逆流(以下、逆潮流)し、発電量が少ない場合は系統側からの電力を消費しますので負荷側へと一般的な流れとなります。

逆接続可能型ブレーカーを使用する理由はブレーカーの焼損を防ぐため

上記にて、系統連系している回路は両方の向きに電流が流れる理由で逆接続可能型ブレーカーを使用する必要があると説明しました。

では、なぜ両向きに電流が流れる場合は一般の漏電遮断器ではいけないのでしょうか。

漏電遮断器は内部回路が組み込まれており、漏電が発生することにより内部回路のトリップコイルに電流が流れると、電路を遮断するという仕組みとなっています。

漏電により電路が遮断されることをトリップといいます。

1次側のみから電流が流れるような一般的な使い方では、トリップしている状態では接点が開放されますのでトリップコイルに電流が流れることはありません。

しかし、トリップコイルは、電路を切り離す接点の2次側にありますので、たとえトリップしても太陽光で発電した電流が2次側から流れてくると、トリップコイルに電流が流れ続けることになります。

長時間電流が流れる結果、トリップコイルが焼損する恐れがあるということです。

逆接続可能型ブレーカーはトリップした場合、トリップ電流も遮断できる構造となっていますので、トリップコイルを焼損させることはありません。

このような理由から、太陽光発電回路には逆接続可能形ブレーカーを使用するよう規定されています。

漏電遮断器、トリップコイル焼損イメージ

逆接続可能型ブレーカーの接続位置と配線

内線規程の確認

太陽光発電設備の系統連系の接続方法は「1次送り連系」と「2次送り連系」の2種類があります。

二つの接続方法により、ブレーカーの設置箇所が異なります。

まず、上記の逆接続可能型ブレーカーを設置しなければいけない理由の根拠ともなりますので、内線規程の内容を引用し記載します。

系統連系型小出力太陽光発電設備などの配線例

接続例1(中性線に過電流が流れるおそれがある場合)

[注1]過電流保護機能付き漏電遮断器は、逆接続可能型(漏電遮断器が「切」の状態で負荷側に電圧がかかっても故障するおそれがないもの。)が必要。また、パワーコンディショナが単相3線式電路(単相2線式200Vを含む。)に接続される場合は3P3Eが必要となる。

[注2]太陽光発電用開閉器の負荷側(L)にパワーコンディショナを接続すること。

[注3]太陽光発電用開閉器を漏電遮断器の直後に接続すると、分電盤に定格以上の電流が流れるおそれがあるため、このような接続は行わないこと。

a)太陽光発電設備を単独で接続する場合

[注1]過電流保護機能付き漏電遮断器BE1、BE2は、逆接続可能型(漏電遮断器が「切」の状態で負荷側に電圧がかかっても故障するおそれがないもの。)が必要。また、パワーコンディショナが単相3線式電路(単相2線式200Vを含む。)に接続される場合、過電流保護機能付き漏電遮断器BE1においては3P3Eが必要となるが、過電流保護機能付き漏電遮断器BE2については3P2Eで良く中性線欠相保護機能付きのものであることを要しない。

[注2]太陽光発電用開閉器の負荷側(L)にパワーコンディショナを接続すること。

[注3]蓄電池等の専用開閉器を漏電遮断器(BE1)の直後に接続すると、分電盤に定格以上の電流が流れるおそれがあるため、このような接続は行わないこと。

[注4]蓄電池等の設備を接続する場合は、系統へ逆潮流しないよう、リレー等を設けること。

b)太陽光発電設備と蓄電池等の設備が併設されている場合

接続例2(中性線に過電流が流れるおそれがない場合)

[注1]過電流保護機能付き漏電遮断器BE2は、逆接続可能型(漏電遮断器が「切」の状態で負荷側に電圧がかかっても故障するおそれのないもの。)が必要になる。また、過電流保護機能付き漏電遮断器BE2にあっては、中性線欠相保護機能付きのものであることを要しない。この接続例では、パワーコンディショナが単相3線式電路(単相2線式200Vを含む。)にせつぞくされる場合であっても、過電流保護機能付き漏電遮断器BE1、BE2は3P2Eでよい。

[注2]太陽光発電用開閉器の負荷側(L)にパワーコンディショナを接続すること。

内線規程8001-2016 資料3-5-8

1次送り連系は主幹ブレーカーの1次側で連系するもので、盤を交換せずに、太陽光発電用の開閉器を別途設置する方法です。(内線規程の接続例2)

2次送り連系は主幹ブレーカーの2次側で連系するもので、新築で導入する場合や盤を丸ごとリニューアルする場合の方法です。(内線規定の接続例1)

内線規定の内容をまとめると下記となります。

連系方法逆接続遮断器設置箇所素子数極数
1次送り連系2箇所どちらも3P2E
2次送り連系1箇所3P3E
蓄電池設備併設2箇所BE1は3P3E、BE2は3P2E

内線規程のBEの遮断器が逆接続可能型漏電遮断器となります。

基本的には主幹ブレーカーに設置するという感じですね。

最後に

逆接続可能型ブレーカーと、系統連系の際に使用しないといけない理由の説明でした。

ブレーカーの誤った選定は、ブレーカーの故障だけで済めばいいほうです。

火災事故、人体に危害が加われば大事になりますのでしっかりとした知識を身につけて設計するようにしましょう。

それではまた、ご安全に!

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