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【疑問】2P1Eブレーカーの極性は?間違えると危険な本当の理由!中性線には地絡電流が流れない?

2023年3月25日

100V回路には、片側に過電流遮断素子のない2P1Eブレーカーを使用していいことになっていますが、素子のある相にLive(ライブ)を、素子のない方にN(ニュートラル)を接続することが決められています。

つまり、ブレーカーのLに黒線(非接地相)を、Nに白線(接地相)を接続しなければいけません。

対地電圧が150V以下で接地極の確定されたものでは、接地側電線から素子を除いてもよい。

内線規程:1360-6表 備考1

この極性を逆に接続してしまうと危険なんですね。

それは地絡した状況で発生する「地絡電流」が関係してきます。

結論として、2P1Eブレーカーの極性を間違えると危険な理由は、中性線に地絡電流が流れないからなんです。

今回は、2P1Eブレーカーの極性はなんとなく知っているけど深くは気にしていなかったという方も多いと思いますので、逆に接続するとなぜ危険かを回路図を用いて詳しく説明していきます。

ブレーカーの極数と素子数については下の記事を参照ください。

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実は過電流は両相に流れる

2P1Eブレーカーに極性があるのはどういった理由でしょうか。

2P1Eは、片側に素子がないので過電流を検出できません。

そのため、素子がない側に接続するニュートラルには過電流が流れないのでは?と思いがちですが、実は違うんですね。

通常状態であれば、両相に同じ量の電流が流れます。

電気は閉じた回路の中をぐるぐる回ります。

Live相が往路、N相が帰路と考えるとわかりやすいです。

電流はLive相から負荷に入り、N相で電源側に戻っていきます。

そのため、漏電や地絡が発生していなければ両側に同じ量の電流が流れます。

ブレーカーの許容以上の電流を使った過負荷状態でも同じです。

下の回路図を見ていただくとわかりますが、ニュートラル側にも過電流が流れますので、通常状態であれば極性を逆に接続しても問題なく過電流を検出しブレーカーを遮断することができるのです。

2P1Eの通常状態の誤結線

2P1Eブレーカーの誤結線はなぜ危険?

完全地絡が発生した際に過電流が流れる

では、なぜ逆に接続すると危険なのでしょうか。

上記で説明した、「通常状態」ではない状態とは、地絡電流が流れた場合です。

特に、回路が完全地絡した場合は大きな過電流が回路に流れます。

要は、回路の銅線部分が完全にアースに触れ、絶縁抵抗値が0の状態です。

地絡電流は回路が何らかの原因でアースに触れてしまった際に発生します。

地絡電流をわかりやすくイメージすると、接地抵抗を一つの負荷として見立てます。

そうすると回路には、接地抵抗の負荷に流れる電流分、一般に使用してる電流に上乗せされるイメージです。

この地絡由来の過電流が、誤結線してしまうと検出できないのです。

地絡が原因による過電流はどのくらい流れる?

地絡電流は、D種やC種やA種から大地を経由し、トランスのS相に接続されたB種に戻ることにより閉回路を形成して流れています。

地絡電流の流れ
・D種接地等→大地→B種接地

低圧の完全地絡の電流値ですが、B種接地と地絡した接地極の接地抵抗値の合成抵抗を負荷として、その負荷に電圧がかかることにより電流が流れるというイメージです。

例えば、100V回路の電圧相が接地に接触し、完全地絡したとします。

そして、接触した接地はA,D共用の接地で5Ω、B種接地は20Ωであったとします。

この場合、オームの法則より100V÷(5Ω+20Ω)=4Aとなります。

このことから地絡することにより、通常の負荷にプラスされ4A多く回路に流れることになります。

低圧地絡電流の計算方法
回路電圧÷(B種接地の抵抗値+地絡した接地極の抵抗値)=地絡電流

地絡電流の流れ

地絡電流は中性線に流れない

この地絡により発生した過電流はLive(電圧相)には流れますが、中性線(ニュートラル)には流れないのです。

これが、2P1Eブレーカーの相を逆に接続すると危険な理由です。

どういうことかというと、接地抵抗を負荷(抵抗)とみたてると、接地抵抗と機器の負荷が並列になります。

接地抵抗と機器の負荷にそれぞれ分流している状態となり、中性線には機器の負荷分の電流しか流れません。

このように、相を逆に接続すると地絡電流によって回路電流が増加しているのに、過電流素子に地絡電流が流れず検出できません。

例えば、20ATのブレーカー回路で機器負荷を18A使用しており、4Aの地絡電流が流れた場合、18A+4Aで22Aの電流が回路に流れ続けることになり、過負荷状態が継続するという恐ろしい状態となります。

その結果、ケーブルの焼損、最悪の場合火災へと繋がってしまうのです。

以上のことから事故・不具合を防止するため、極性には十分注意して2P1Eブレーカーを使用する際は、Lに電圧線を(黒線)、Nに中性線(白線)を接続しましょう。

地絡電流と負荷電流の流れ(誤接続)

地絡電流はELBCで保護できるのでは?

極性を間違えると、地絡電流による過電流を遮断できないことがわかりました。

でも、「地絡電流は漏電遮断器で保護されるんじゃないの?」と思いますが、漏電遮断器が設置されていない回路もざらにあります。

住宅の場合は、漏電遮断器がメインブレーカーになっていますので保護されます。

高圧受電以上の物件になると、メインブレーカーがMCCBで水場などの分岐回路を個別に漏電遮断器を設置していることが多いです。

漏電遮断器が設置されていない回路は、上位のキュービクルで漏電警報で発報する運用です。

そのため、そのような回路は過電流が流れ続けますので大変危険なのです。

まとめ

まとめ

  • 結論:地絡電流は中性線に流れないので、2P1Eブレーカーの誤結線は危険
  • 通常状態の過電流は両相に流れる
  • 地絡電流は接地抵抗値で決まる

2P1Eブレーカーの極性を間違えると危険な理由の解説でした。

地絡が原因で過電流が発生することがわかりましたね。

地絡を遮断する機器は漏電遮断器ですが、地絡由来の過電流は配線用遮断器でも遮断できるのです。

安心・安全に電気を運用できるよう正しい配線と結線に心がけることが重要かと思います。

それではまた、ご安全に!

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