配線用遮断器(ブレーカー)の仕様書に2P1E、2P2E、3P2E、3P3Eなどと記載されていますよね。
これは素子数と極数を表す重要な表記となり、ケーブルを保護する機能となる部分です。
ブレーカー選定の際に必要な知識となってきます。
この記事では素子と極について詳しく解説していきますので、正しい知識習得のために是非ご覧ください。
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PとEの表記の意味
Pは極数、Eは素子数を表します。
例えば2P1Eでしたら2極1素子、3P3Eでしたら3極3素子です。
まず、ブレーカーの役割はケーブルの保護をすること(過電流保護)と、人体等を感電から守る(漏電保護)ことです。
今回のお話は過電流保護に関係することになります。
極数については回路を切り離す目的、素子数については過電流を検出する部分となります。
配線用遮断器は過電流保護、漏電遮断器は過電流保護+漏電保護ができる遮断器です。
つまり、配線用遮断器、漏電遮断器どちらにも当てはまることになりますね。
極数(P)とは
P(Pole)は極数です。
極数とは分かりやすくいうとブレーカーに電線を接続できる数になります。
単相2線は2P、単相3線及び三相3線は3Pとなります。
また、極数=開閉部の数となります。
つまりブレーカーの極は全て入切操作やトリップすることにより開閉されるということです。
素子数(E)とは
E(Element)は素子数です。
素子とは過電流を検出する部分です。
過電流からケーブルを適切に保護するためにブレーカーに検出部が内蔵されています。
過電流が流れるとブレーカーは過電流素子によって過電流を検出し開閉部を自動で切り離します。
これがトリップ(ブレーカーがとぶ)という現象です。
仕組みとしてはバイメタルや電磁コイルという引き外し装置があり、引き外しの種類は「熱動式」「電磁式」「熱動・電磁式」などがあります。
過電流による温度上昇や磁束を検出し、バイメタルが反り上がることにより開閉部が回路します。
引用:panasonic
極数と素子数の間違った解釈
極数と素子数を間違えて解釈している方が多い印象です。
極数は極の数つまりブレーカーの端子の数で間違いはないのですが、イコール開閉数であることも重要です。
たまに素子数を開閉数と間違えて解釈し2P1Eのニュートラル側は開路しないという話を聞くことがあります。
ブレーカーは基本的に極は全て開閉できる構造になります。そうしないと片極が活線となり絶縁抵抗測定ができません。
まれに2Pのブレーカーでニュートラルのスイッチが別についていて、主スイッチは電圧側のみ切れるものもありますが、いずれにしてもニュートラルも開閉できる構造になっています。
極数、素子数の選定方法
内線規程
極数、素子数は下表のように内線規程で回路方式によって規定されています。
1360-6表 配線用遮断器の過電流素子及び開閉部の数
回路の電気方式 配線用遮断器 素子を施設する極 素子の数 開閉部の数 単相2線式(1線接地) 各極に1個ずつ 2 ※1 2 単相2線式(中性線接地) 各極に1個ずつ 2 2 単相3線式(中性線接地) 中性線を除く他の極に1個ずつ 2 3 ※2 三相3線式(1線接地) 各極に1個ずつ 3 3 三相3線式(一相の中性線接地) 各極に1個ずつ 3 3 三相3線式(中性点接地) 各極に1個ずつ 3 3 三相4線式(中性点接地) 中性線を除く他の極に1個ずつ 3 3 [備考1]※1印のものは、1360-7(過電流遮断器の極)2項③の場合に該当する対地電圧が150V以下で接地極の確定されたものでは、接地側電線から素子を除いてもよい。
[備考2]※2印のものは、3605-2(分岐回路の種類)3項②の規定による単相3線式分岐回路の電源側に2極2素子の配線用遮断器を用いるとともに、中性線を遮断できる装置を接地する場合にあっては、過電流素子によって動作する開閉部の数を2とすることができる。
引用:内線規程
表をまとめると以下のようになります。
・単相2線式・・・2P2E→2P1Eでもよい(下で説明します)
・単相3線式・・・3P2E(中性線は素子なし)
・三相3線式・・・3P3E
・三相4線式・・・3P3E(中性線素子なし)
例外①単相2線式は2P1EでOK。極性に注意!
単相2線式は2P2Eと規定されていますが、内線規程の備考1により、対地電圧が150V以下で接地極が確定されたものは2P1Eでよいことになっています。
単相100Vは対地電圧が100Vで中性線はB種接地により接地されていますので2P1Eでも問題ないということです。
単相200V回路は2P2Eを使用します。
実際に盤の中にある100V用分岐子ブレーカーは2P1Eになっていることが多いです。
2P1Eを使用する場合、極性に注意しなければいけません。
Nという記号のついた極のほうには素子がなく、過電流が流れてもブレーカーを自動遮断することができません。
2P1Eのブレーカーを使用する場合は必ずN表示の方に接地側電線(ニュートラル、一般的には白線)を接続する必要があります。
2P2Eの場合は、両極に素子がありますので上記のような心配はありません。
2P1Eの極性については下の記事で詳しく解説していますので参照ください。
例外②100V/200V併用コンセントは2P2Eと1P0Eの組み合わせでOK
あまり見かけることはありませんが100V/200V併用のコンセントが存在します。
その場合100Vと200Vを使用しますので単相3線が必要になります。
もちろん3P2Eを使用すれば事足りるのですが、内線規程の備考2に2P2Eと1P0E(中性線断路器)を組み合わせて使用することが認められています。
素子がないブレーカーについて
素子がないブレーカーも存在します。
つなり過電流保護ができないブレーカーです。
上記の1P0Eがそれにあたります。
古い建物の分電盤ですと1Pブレーカーが使われています。
LとNが別々のブレーカーとして設置してあり、電源を遮断する場合は両方切る必要があります。
1Pブレーカーの操作の注意事項はニュートラルを先に切らないことです。
必ずL→Nの順に切りましょう。
逆に投入の際はN→Lの順です。
他には2P0Eの漏電遮断器があります。
漏電保護のみの機能を備えたものですね。
過電流保護は下位の安全ブレーカーに任せるといった方法です。
まとめ
まとめ
- Pは極数
- Eは素子数
- 内線規程で両方とも規程されている
- 例外が2通りある
- 素子のないブレーカーもある
ブレーカーの極数と素子数のお話でした。
パターンは多くありませんので正しい知識を付けて現場に役立てていきましょう。
それではまた、ご安全に!