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【疑問】金属線ぴ(モール)、金属ダクト、ライティングダクトの違いと使い分けを内線規程をもとに解説

線ぴダクト

金属線ぴと金属ダクトとライティングダクトは、いずれも電路を収納したり、電気の通り道になるようなもので似たようなイメージですよね。

形状としては全て細長い箱状で、最初は用途や使い分けもイマイチわからないかと思います。

金属線ぴと金属線ぴの明確な違いは幅が5cm以下か5cm超過で区別できます。

ライティングダクトについては、導体が一体化しているので上記二つとは明確に違います。

いずれも内線規程にしっかり規定されていますので、現場での使い分けも含めて詳しく説明していきます。

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金属線ぴ

メタルモール

金属線ぴはメタルモールとレースウェイの二種類

金属線ぴは、電気設備技術基準では「金属線ぴ工事」、内線規程では「金属線ぴ配線」として規定されています。

金属線ぴ配線は、一種金属線ぴ配線と二種金属線ぴ配線に分けられます。

一種金属線ぴ配線はメタルモールと呼ばれ、事務所や学校などの露出配線の保護や美観的な面で使用されます。

一般的にケーブルは天井や壁裏などに隠蔽しますが、追加工事で隠蔽が困難な場合やコンクリート壁にコンセントを設置する場合にメタルモールが使用されます。

一方、二種金属線ぴ配線はレースウェイと呼ばれ、直天井のライン照明配線に使用されます。

一般的な居室の天井は、仕上げにボードを貼りますが、工場や倉庫、ビルのEPSや機械室などは天井の仕上げをせず躯体がむき出しとなります。

これが直天井です。

直天井は、天井裏がないので照明を埋め込むことができないので、躯体面から直接ボルトでレースウェイを吊り込みます。

一種金属線ぴ配線・・・メタルモール
二種金属線ぴ配線・・・レースウェイ

関連記事:ダクターチャンネルとは?レースウェイ とは?それぞれの違いと特徴を詳しく解説!

金属線ぴと金属ダクトの明確な違いは幅のサイズ

次に説明する金属ダクトとの明確な区別方法としては、金属線ぴは幅が5cm以下のもの、金属ダクトは幅が5cmを超えるものとなります。

【金属線ぴ工事】
第161条 金属線ぴ工事による低圧屋内配線の電線は、次の各号によること。

2 金属線ぴ工事に使用する金属製線ぴ及びボックスその他の付属品(線ぴ相互を接続するもの及び線ぴの橋に接続するものに限る。)は次の各号のいずれかに適合するものであること。
一 電気用品安全法の適用を受ける金属製線ぴ及びボックスその他の付属品であること。
二 黄銅又は銅で堅ろうに製作し、内面を滑らかにしたものであって、幅が5cm以下、厚さが0.5mm以上のものであること。

引用:電気設備技術基準の解釈

3125-4 金属線ぴおよび付属品の選定

②黄銅製又は銅製の線ぴにあっては、幅が5cm以下、厚さが0.5mm以上のものであること。

引用:内線規程

幅5cm以下・・・金属線ぴ
幅5cm超え・・・金属ダクト

メタルモールC型は金属ダクト扱い

次に、メタルモールですが、各メーカよりA型、B型、C型のラインナップがあります。

C型については、幅が6cmになりますので金属ダクト扱いになります。

施工上大きく変わる部分は支持間隔です。

金属線ぴは1.5m以内に対し、金属ダクトは3m以内となります。

一般的にはC型についても「モール」として呼びますし、金属ダクトというと下で紹介する大型のダクトの認識で問題ないですが、C型のモールは適用される規程が「金属ダクト」になるということです。

金属ダクト

金属ダクト

金属ダクトは、電気設備技術基準では「金属ダクト工事」、内線規程では「金属ダクト配線」として規定されています。

金属ダクト配線は、主に中規模以上の建築にて、電気室内の配電盤から各階の分電盤までの配線や、屋外キュービクルの低圧幹線のハト小屋までの飛び込みまでの配線などに利用されます。

金属ダクトは、容量が大きいのでたくさんのケーブルを収納できることから、幹線ケーブルに利用されることが多いです。

一般的なビル建築ではケーブルラックで収まってしまうことがほとんどですのであまり使用することはありませんが、プラントや工場などの大規模な機械や設備の電源用ケーブルを大量に収める際に活躍します。

他に使用される場所は、特殊環境です。

金属ダクトは、全面が金属でがっちり囲われますので、プラントや工場などの高温の蒸気が当たるような場所や、粉塵が舞うような環境では、金属ダクトによって完全に囲うことができ、ケーブルの劣化を防止することができます。

ライティングダクト

ライティングダクト

ライティングダクトは、電気設備技術基準では「ライティングダクト工事」、内線規程では「ライティングダクト配線」として規定されています。

金属線ぴや金属ダクトはケーブルや電線を収めるものですが、ライティングダクトはダクトと導体が一体となっています。

店舗やショールームなどで店内の意匠に応じて照明器具やコンセントを任意の位置に設置することができる配線方法です。

ライティングダクト専用のプラグ一体型の照明器具やコンセントなどを設置します。

頻繁にテナントが出入りするショッピングモールの店舗や、間仕切り変更の多い事務所などに使用されます。

また、商品の配置変更をした場合なども照明を簡単に移動できますので便利ですよね。

最近では一般の住宅でもライティングダクトが使われていますね。

ライティングダクトの構造としては、ダクトがコの字型になっており、内側の側面の両側に電気が通る導体が設けられています。

そのため、常にダクトの導体に電圧がかかっている状態ですので、コの字の開口部に照明を設置すればすぐに使えます。

便利な反面、ダクトの内側とはいえ導体が常に露出した状態となっているため、安全上、乾燥した場所や点検できる場所に施設することとしています。

まとめ

まとめ

  • 金属線ぴはメタルモールとレースウェイ(4cm以下)
  • C型モールは金属ダクト扱い
  • 金属ダクトは大容量や特殊環境に使用される(4cm以上)
  • ライティングレールは導体が一体になったダクト。照明等を簡単に移動できる

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