自動点滅器は名前の通り、自動でon、offを切り替えることができる、照明器具とセットで使用される機器です。
電気工事士の実技試験でもお馴染みの機器ですが、実務で設置したことがない方もいるかと思います。
今回は、自動点滅器の設置方法、結線方法、注意事項を解説します。
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自動点滅器とは
自動点滅器は、周囲の明るさを検知し、自動で電源をon off する装置です。
Panasonicの商品名である「EEスイッチ」や、略して「じどうてん」などと呼ばれたりします。
下の画像を見ていただくとわかりますが、白っぽいプラスチックの部分が受光部です。
特徴的ですので現場で見かけたらすぐにわかると思いますよ!
また、図面記号はスイッチの記号にAが付いたものになります。
自動=AUTOのAですね。
自動点滅器は一定の暗さになると照明を点灯させ、一定の明るさになると照明を消灯させます。
外部の照明器具とセットで使用されることが多く、わざわざ手元スイッチを使いたくない、スイッチで切り替えなくても自動で運用させたいといった場合に使用します。
街路灯や大型施設の看板、住宅の庭の照明など幅広く使用されています。
時間制御とは違い、日没時間になると点灯するといった制御が可能ですので、季節に応じた設定が不要です。
自動化により必要なときだけ点灯しますので、手間を省くだけではなく省エネ効果も期待できますね!
構造としては内部にcds回路というものが組み込まれており、そこで明るさを検知して内部の接点で切り替えます。
cds回路は電源が必要となり、接点は1箇所ですので、電源が必要な方切りスイッチみたいなイメージですね。
自動点滅器の種類
自動点滅器には形状だけではなく、電圧(100V、200V)や定格電流値(アンペア数)の種類がありますので、制御する照明器具の電圧と電流値を確認して適正な自動点滅器を選定しましょう。
下面検知型
こちらは主に街灯に取り付けるタイプです。
街灯には、ほとんどと言っていいほど自動点滅器が取り付けられています。
背面に金具が付いていますので、街灯のポールにバンドで取り付けます。
リード線が出ていますので照明器具のリード線と接続し、エフコテープ(自己融着テープ)を巻きつけることで防水処理することが可能です。
また、検知部が下面になっていますので、自動点滅器の上部に照明器具の光源がある場合に、光の影響を受けにくいつくりとなっています。
ポイント
・街灯に使用する
・バンドで取り付ける
・接続はスリーブとエフコ
・上からの光の影響を受けにくい
プラグ式(上面検知型)
こちらも同じく街灯ポールに取り付けるタイプです。
取り付けは下面検知型と同様です。
電線の接続は端子台となっています。
下側のベースと検知部分が分離できるタイプです。
取り外しは引っ掛けのコンセントと同じような感じですので、ワンタッチで簡単に取り外し可能です。
メリットは取り外し可能ですので、保守・点検が容易にできます。
また、電線の結線はベース側ですので、受光部が故障した場合も取り替えが簡単にできます。
受光部が上面にありますので、取り付けの際は街灯の180度逆の場所に取り付ける必要があります。
ポイント
・街灯にバンドで取り付ける
・保守管理が容易
・ヘッドの交換が容易
・取り付けは器具と180度逆側
壁取付タイプ
こちらは、施設や住宅の外部照明を一括で制御する場合に使用されることが多いです。
一般的によく見られるタイプですね。
取り付けは、主に外壁にボックスを仕込んで直接設置したり、分電盤やウオルボックスの側面に取り付けられます。
取り付け施工的にはコンセントやスイッチと同様です。
接続は速結端子タイプとなります。
ポイント
・施設や住宅の街灯を一括制御
・壁、盤等に取り付け
消灯タイマ付タイプ
タイマ機能が付帯していますので、お店の看板照明や工場の構内照明などに使用されます。
ボタン操作で、点灯時間と消灯時間を分単位で設定でき、照度検知も細かく設定できます。
タイムスイッチを併用しなくてもこれ一台で時間と照度を制御可能です。
ポイント
・タイマ機能が付帯
・ボタン操作
・照度検知も設定可能
スマートタイプ
自動点滅器は、あまりかっこいいものではないので目立たない場所に設置することが多いですが、こちらのスマートタイプはデザイン性が高くなっていますので、玄関先等に設置しても差し支えないタイプとなっています。
また、タイマー機能も付帯していますので、時間帯による制御が可能です。
ただし、「夕刻・夜・夜半・深夜・明方・早朝・朝」と7パターンしかないため、細かい時間制御をする場合はタイムスイッチと併用する必要があります。
取付施工はコンセントやスイッチと同様です。
電線の接続はコンセント同様、速結端子となっていますので、差し込むだけの簡単施工です。
ポイント
・時間設定があるがおおまか
・見た目がスマート
自動点滅器の設置場所
自動点滅器の設置場所ですが、完全に影になる場所は、受光部が夜と判断してしまうため避けたほうがよいです。
また、照明器具の光の影響を受けるところも避けましょう。(街路灯の場合は、器具と180度逆向きに設置)
自動点滅器は補助的な機器ですので、意匠的に目立つ場所に設置しないことがほとんどです。
スマートタイプは意匠性がありますが、建物のイメージと合わない場合は普通の壁取付タイプを選定し、目立たない場所に設置するのが無難です。
自動点滅器の配線、結線方法
自動点滅器の接続部分は、リード線タイプと端子台タイプと速結端子タイプがあります。
いずれも接続方法の違いですので、重要なのは接続箇所が違う3線式か4線式かです。
3線式は接続箇所が3箇所、4線式は接続箇所が4箇所ですが、違いは電源と器具側のニュートラルが共通になっているかだけです。
どのタイプも考え方は同じですので、内部回路がどうなっているのか、入力出力を理解しながら接続していきましょう。
スイッチを使わない自動点滅器のみの配線は下図の通りです。
電源と器具の間に自動点滅器が入る感じですね。
3線式の接続方法
・リード線タイプの場合
下面検知型がリード線タイプですね。
リード線の場合、3本のリード線が自動点滅器から出ています。
ここに、電源と照明器具への線を接続します。
接続方法はリングスリープで圧着し、エフコテープ(自己融着テープ)とビニルテープで巻きつけます。
リード線は3本あり、色は黒、白、赤です。
自動点滅器の明るさを検知するcds回路は必ず電源が必要です。
黒と白が電源(入力)、白と赤が器具側(出力)となります。
白線は共通ですので、リード線と電源線と器具線3本をジョイントします。
黒リード線と赤リード線の間に内部回路で接点(スイッチ)があるイメージです。
そのため、黒と赤がlive(非接地側)、白線がニュートラル(接地側)となります。
・速結端子の場合
一般の壁付けタイプがこれに該当します。
この場合、差し込み部分が6つありますが、惑わされることはないですよ。
上下が内部で短絡していますので上下どちらに接続しても問題ありません。
番号が「1、2、3」と割り振ってありますので、1、2に電源を接続し、2、3に機器を接続します。
1と3の間に接点がありますので、内部回路はリード線タイプと同様です。
2がニュートラル(白線)となり、共通部分です。
4線式の接続方法
3線式と4線式の違いは、ニュートラル(白線)を接続する部分が共通してるかしてないかの違いだけです。
電源が入力、機器側が出力で接続する端子がありますのでわかりやすいですよね。
番号が「1・2・3・4」と割り振られていて、「1・2」が電源、「3・4」が機器側となります。
「2・3」にニュートラル側(白線)を接続します。内部回路で導通してますので共通部分となります。
「1と4」の間に内部回路で接点(スイッチ)があるので、LIVE側(黒線)を接続します。
200Vの場合
200V電源の場合も、配線・結線方法は変わりません。
200V電源は「黒・赤」で配線しているはずですので、100Vの場合の白線が赤線に変わるだけです。
200V電源の場合は、自動点滅器の仕様をしっかり確認し、200V対応のものを使用しましょう。
自動点滅器の規格
自動点滅器はJIS規格で区分されています。
点滅動作照度の違いとなっていますが、販売メーカーで適応箇所ごとに制作していますので、施工者やユーザーはあまり意識する部分ではないでしょう。
JIS1P形
JIS1P形は点灯照度が10〜80lxで、点灯照度の5倍以下で消灯します。
接点の開閉回数は2000回以上可能です。
一般形として使用されています。
JIS1L形
JIS1L形はJIS1P形とほぼ変わりないですが、接点の開閉回数が4000回以上可能です。
一般形の長寿命タイプとして使用されています。
JIS2L形
JIS2L形の点灯照度は50〜100Lxで、点灯照度の1倍以下で消灯します。
接点の開閉回数は4000回以上可能です。
夕方早めに点灯し、朝方は早めに消灯しますので、道路照明に使用されます。
JIS3L形
JIS3L形は点灯照度5〜20Lxで、点灯照度の2.5倍以下で消灯します。
接点の開閉回数は4000回以上可能です。
低い照度範囲で、点灯消灯をしますので、夕方は早めに点灯し、朝方は早めに消灯します。
そのため、日中でも暗くなるようなところで、点灯してしまうことがありません。
自動点滅器の推奨交換時期と耐用年数
推奨交換時期
自動点滅器は適正な時期に交換することが推奨されています。
交換時期を経過すると、JISに規定する性能が維持できなくなる可能性があります。
種類 | 1P形 | 1L形、2L形、3L形 |
自動点滅器 | 4〜5年 | 8〜10年 |
受台 | 10〜15年 |
耐用年数
耐用年数を経過すると、安全に使用できない可能性があります。
種類 | 1P形 | 1L形、2L形、3L形 |
自動点滅器 | 10〜15年(塩害地域では1/2) | |
受台 |
自動点滅器とタイマーの組み合わせ
自動点滅器は消灯タイマ付を除き、周囲の明るさのみを検知して、照明器具のON、OFFを制御します。
そのため、時間制御(何時から何時は消灯など)はできません。
時間制御も組み込む場合はタイムスイッチを併用する必要があります。
例えば、暗くなったら点灯したいけど、就寝時間や店舗の営業時間外は省エネを考慮し一晩中は点灯したくない場合などはタイムスイッチが必要です。
自動点滅器のみで制御する場合は、暗い時間帯(一晩中)点灯しっぱなしになりますので、街路灯など防犯面で有効な場所で使用します。
タイムスイッチについてと、タイムスイッチと自動点滅器の組み合わせについては下記記事を参照ください。
最後に
照度を検知して自動で照明を入り切りする自動点滅器の説明でした。
自動点滅器は、その辺の電柱に設置してあり身近なものですし、自動で入り切りできる便利なものですが、意外と実務で使用する機会がないといった方も多いと思います。
自動点滅器にもたくさんの種類があり、結線方法があることがわかりましたね!
結線は難しいものではありませんが、普通のスイッチと同じく、非接地相(黒線)に接点が入るように注意しましょう。
それではまた、ご安全に!