今回はコンセントボックスのボード開口を回し引きを使って行う方法を説明していきたいと思います。
最近は電動ホルソーなどの便利工具がありますので、回し引きによるボード開口をする機会は少なくなってきました。
現場で大量のボード開口がある場合は電動ホルソーがないと仕事にならないですが、少量のボード開口を回し引きを使ってできないと話になりませんよね!
もちろんDIYにも使える技術ですのでぜひご覧ください!
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ボード開口とは
そもそもボード開口って何かといいますと、そのままですがボードを切って開口することです。
電気工事ではスイッチやコンセント、埋め込みの照明器具を設置する際に器具を埋め込むためのスペースを壁や天井面に開口します。
埋め込みの場合、ほとんどがボード素材ですのでボード開口と呼びます。
ボード屋さんが壁を貼った後にボードを開口していきます。
ボード開口のタイミング
新築現場ではボード屋さんがボードを貼った後でなければボード開口できませんよね。
なので当たり前ですがボードを貼った後になります。
ボードを貼った後、ペンキ屋さんやクロス屋さんが入って壁や天井を仕上げていきます。
仕上がってしまうと仮にボード開口を間違えてしまった場合補修が大掛かりになってしまします。かなり大金を請求されることも。
仕上がる前でしたらボードにパテをするだけですので仕上げの業者さんにパテをお願いするだけです。また、仕上がった後ですとボード開口の切粉で仕上げ物を汚してしまう心配もありますよね。
そのためボード開口は仕上がる前に行います。
ボード開口のタイミング
【ボードが貼られた後】と【ボードを仕上げる前】の間の期間
ボード開口の方法
ボード開口の方法ですが、3種類のボックスに分けて説明していきます。
基本は同じですがそれぞれのポイントを押さえていただければと思います。
ボード開口の共通事項
・回し引きは押し切り
まずボード開口をするにあたって必要な工具は回し引きですが、ボードの場合は押し切りタイプ(押し刃)のものをおすすめします。
理由は引き切りタイプですのボード表面の紙が外側に引っ張られて切り口が汚くなります。
おすすめの回し引きはこちらを参照ください。↓
ボックス位置の確認
作業をするにあたり、まずボードの裏のボックスの位置を確認します。
前工程で床に墨(地墨)を出してありますので地墨からボックスの位置を判断することになります。
基本的にはボックスの芯の隅を出していくわけですが、横のより寸法はボードの目地や壁から地墨の芯までの寸法をあたりその寸法をボックスの高さの位置でもう一度あたり墨を出します。
高さはH=1300とかFL +1300などと記載していますのでその場合は高さが1300mmとなります。
注意しなければいけないのがH=〜の記載ですと単純に今の床からの高さになりますが、FL +〜の記載の場合仕上がり面からの高さになります。FLはフロアレベルといって仕上がり高さとなります。じゃあ仕上がり高さっていくつ?って話になりますが、そこは図面を確認しないといけません。仕上がりが300上がるってことも稀にありますので注意が必要です。地墨を書く際に親切な方でしたら仕上がり高さをその場で確認してH=〜で記載してくれています。
突破口を開ける
ボックスのど真ん中に墨を出しましたので墨の位置に切り始めの穴を開けていきます。
プラスドライバーでグリグリすればズボッと穴が開きます。
ドライバーを使わなくても回し引きをボードに当ててグリグリしたり上下に動かすと穴をあけることができます。また、回し引きの柄を後ろから軽くトントンしてもいいかもしれません。
ボードが2枚貼りや区画壁のような厚い壁になってくるとやはりドライバーで穴を開けるか、ドリルを使うことをおすすめします。
ボックスがあるかの確認
ドライバーや回し引きがズボッとボードに入った時にボックスが本当にあるかを確認してください。
トントンしてみてボックスに当たる感触があればボックスが入っています。また、道具が入り込む深さでも確認できるかと思います。
奥まで入ってしまえばボックスが入っていませんので再度図面による位置確認を行ってください。
H型に切っていく
まず、最初の穴の位置から左右に切っていきます。左右どちらからでも構いませんので右が終わったら左に切るといった感じです。切っていくとボックスの横の面に当たって止まりますのでそこで横幅の確認ができますね。
ポイントはボックスに当たる部分では回し引きをボードと垂直にすることです。斜めになっていると正確なボックスの幅になりませんので気をつけてください。
次に止まった位置から上下に切っていきます。同様に上が終わったら下をきるといった感じです。ボックスの上下の面に当たると止まりますのでこれで縦の幅を確認できますね。
この時点でH型の切り込みが入っている状態となります。これでボックスの左右が切り終わりました。
ボックスの上下の辺を切る
残るは上下の辺ですが、この部分はスライドボックス(木造用)とアウトレットボックス(LGS用で)方法が少しだけ変わってきます。
・スライドボックスの場合
主に木造の住宅で使われるボックスですね。
スライドボックスは開口の形が長方形ですので直線に切れば問題ありません。
Hに切った横の線の頂点と頂点を結ぶ感じに切っていきますが、直線ですのでカッターを使用します。
水平器などの直線のものを当てながらカッターで表面を切っていきます。
上下のボードは手で押すだけでポコんと折れます。裏の紙だけでボードがぶら下がってる状態となりますので裏の紙をカッターで切ってあげれば完成です。
2個用、3個用と大きなボックスになっても要領は変わりません。
開口が終わったらビス穴がしっかりと出ていることを確認しましょう!
・アウトレットボックスの場合
ボードの下地がLGS(軽量間仕切り)の場合に使われるボックスですね。
開口は小判型と呼ばれるもので一個用の場合に使用されます。
上下が曲線となっていますのでスライドボックスみたいにカッターだとうまくいきません。
H型まではスライドボックスと同じですが、そのあとは小判型の曲線に沿って回し引きで切っていきます。
最初は感覚が難しいですが、回し引きを外方向に押し当てながら切っていく感覚です。
切っていくとビス穴の出っ張りの部分にあたります。
ビス穴の出っ張りの部分は回し引きの先端を使いボードの表面を小刻みに切っていきます。
ビス穴がしっかりと見えるようであれば完成です。
ビス穴が見えていないと器具を付ける人に文句を言われるのでしっかりと確認しましょう!
アウトレットボックスでも二個用以上の開口は小判みないな曲線がないので前述したカッターを使った方法で可能ですよ。
切り口のバリを取る
開口が終わったら切り口のバリがないかを確認します。
開口部分は仕上がって器具が付くまで目につく部分ですので綺麗に仕上げておきたいですよね。
また、ペンキ屋さんやクロス屋さんが嫌がりますのでしっかりバリをとっておきましょう。
方法は切り口の部分を押し切りの回し引きで軽く削っていくイメージです。
バリになった紙を奥に押し込んでいく感じですね!
最後にボックスの中を掃除して完成!
ボックスの中にボードの粉が残っていないか確認します。
埃と同じで湿気を含んだボードの粉がコンセントの端子に入り混むと絶縁不良やトラッキング現象の原因となります。
品質に関わる部分ですのでしっかりと実施してください。
ボード粉はブロアーで吹き飛ばすのが一番簡単です。息を吹きかけるなどの人工ブロアーでも構いません。
とにかくボックスの中は綺麗にしておきましょう。
後付けボックスの場合
出典:未来工業
後付けボックス(パネルボックス)は事前にボックスを建て込まなくても後から取り付けできるボックスです。建て込み忘れてしまった場合や仕上がり後の増設等で使用します。未来工業からパネルボックスとして販売されています。
後付けボックスの開口はボックスの形で開口するだけですので簡単です。
方法はパネルボックスを壁に当てけがいても良いですが、おすすめは水平器を使用した方法です。
マーベルのクリスタルレベルは丁度パネルボックスの開口寸法と同じ大きさですので、水平をあたりながら水平器周囲をけがくだけで墨出しできます。
まとめ
まとめ
- ボード開口のタイミングは【ボードが貼られた後】と【ボードを仕上げる前】の間の期間
- 回し引きは押し切りを使おう
- ボード開口はH型が基本
- ボックスによって開口方法が違う
- ボード粉で絶縁不良にもなりうる
- 後付けボックスは水平器で
いかがでしたでしょうか。
一人前になるために回し引きで早く綺麗にボード開口ができるようになりましょう!
一現場、電動工具を使わずに回し引きのみでボード開口するとかなり上達すると思います。
また、住宅と大規模現場で使うボックスも違いますのでどちらの要領も習得しておくことをおすすめします。
みなさんの現場作業のお役に立てれば幸いです。
それではまた、ご安全に!