CVTケーブルは、電気工事で扱うケーブルの中でも1番の太物です。
分電盤の幹線や動力設備の電源など、中規模以上の物件では割と触る機会が多いかと思います。
今回はそんなCVTケーブルの、被覆の皮剥きの方法と端子の圧着方法まで解説していきます。
CVTケーブルの皮剥きと端子の圧着は、先端をブレーカーや端子台に接続する際に必要となるスキルです。
便利な工具も紹介しますが、職人でしたらナイフを使った皮剥きも必須のスキルですので是非ご覧いただけたらと思います。
CVTケーブルの皮剥き方法
CVTケーブルは3本が拠ってある構造です。
他のケーブルと違い、1本ごとに架橋ポリエチレンとビニルシースを纏ってますので、ケーブルが3本あるイメージです。
そのため、一本ごとに架橋ポリエチレンとビニルシースを剥く必要がある上、絶縁性能と許容電流を高めるためにこれらの外装は分厚く、とても硬いため手工具の場合若干剥くのが大変です。
基本的に長く剥くことはなく、端子を圧着するために端子分の長さを剥くことになります。
電工ナイフを使った剥き方
便利な工具が販売されていますが、初心者は手工具に慣れておくことをおすすめします。
CVTの皮むきに限ったことではありませんが、電気工事をするうえで電動工具では対応できない場面が必ずあります。
また、ケーブル1本剥くだけなのに重たい電動工具を段取りするのは手間ですよね。
1本くらい腰道具にあるものでササっと終わらせたい場合に、できないのでは話になりません。
そんな訳で、まずはナイフを使った剥き方から説明していきます。
おすすめの電工ナイフは下の記事を参照ください。
まず、ケーブルの被覆を剥く位置を決め、印を付けます。
剥く位置ですが、圧着する端子の筒になっている部分より、気持ち出るくらい(2、3mm)で問題ありません。
印は目立つ色のマッキーペンなどでもいいですが、慣れてきたらナイフやニッパーなどで傷を付けて目印にしましょう。
印を付けたら、その位置にナイフを上から押し当てるように刃をケーブルの外装に入れていきます。
手前から半周するように切り込み入れます。
ポイントは、ケーブルとナイフを一緒に握るように持ち、親指でナイフを押し当てて人差し指でケーブルを手前に押し当てるイメージです。
ここは被覆が硬いので、思いっきり力を入れましょう!
半周切り込みが入りましたら、もう半周です。
今度はナイフの刃が上に向くように持ち、下側の半周に切り込みを入れていきます。
奥から手前に持ってくるイメージで押し当てながら切り込みを入れていきます。
これで、外装に一周切り込みが入りました。
しっかりと力を入れて切り込みが入っていれば、外装は引き抜くだけでスポッと抜けます。
抜けなければまだちゃんと切れていないので切り込みの上からナイフで切っていきましょう。
これで、1層目の外装(ビニルシース)の皮むきが完了しましたが、もう1層残っています。
外装を剥くと下から白い被覆がでてきますが、これが架橋ポリエチレンです。
架橋ポリエチレンはビニルシースよりさらに硬い作りになっています。
基本的には上の手順(ビニルシースを剥く手順)と同じです。
上から半周、下から半周切り込みを入れていきます。
一度ですと十分に切り込みが入らないので2回くらい切り込みをいれましょう。
架橋ポリエチレンに一周切り込みが入りましたら、剥いていきたいのですが、ビニルシースのときと違いスポンと抜けないので簡単にはいきません。
そのため、架橋ポリエチレンの縦方向にナイフで切れ目を入れていきます。
ナイフ刃の先端を手前から先端方向に向けて切り込みを入れていきます。
ケーブルを持った手の親指でナイフを押していくイメージです。
この時自分の体や足がナイフが進む方向にないように注意しましょう。
縦方向に切り込みが入ったら、ペンチやニッパーを使い、切り込み部分を掴んでペリっとめくるような感じで剥きます。
この状態でCVTケーブルの皮むきが完了しました!
お疲れ様です。
本数が多い時はムキソケが超便利!
CVT皮むきの画期的アイテム、ムキソケの紹介をします!
タジマのムキソケは、ナイフを使用せずに回転工具に装着するだけで、簡単にCVTの被覆を剥くことができるアイテムです。
名前の通り、剥くためのソケットですね!
力を使わずに本当に簡単に剥くことができますので、初めて使ったときは感動すると思います。
ビニルシースと架橋ポリエチレンを同時に一瞬で剥くことが可能です。
また、ナイフに比べ手を切る心配がないので、安心安全に作業できるというのもポイントです。
キュービクルの配電盤のケーブル接続や、室外機の電源を何台も接続するなど、1日に何十本もCVTの皮むきをする場合は必須の工具となるでしょう。
使い方ですが、まずアジャスターで向き幅を調整します。
ケーブルサイズごとの向き幅が取説に記載されています。一度調整してしまえば、再度いじることはほぼないので購入時に調整してしまいましょう!
次に、ソケットタイプになっていますので、インパクトドライバーや充電ドライバーに剥きたいケーブルサイズのソケットを装着します。
個人的には、インパクトですと回転打撃がかかり、なんとなく芯線に傷が付きそうなので、打撃のかからない充電ドライバーを使用するようにしています。
ただ、ソケットの装着部分がビットになっていますし、取扱説明書もインパクトか充電ドライバー装着と記載されていますので、どちらでも問題ありません。
ケーブルの先端をムキソケの挿入口に差し込みます。
しっかりと突き当たるまで真っ直ぐに挿入しましょう。
挿入したら、インパクトまたは充電ドライバーのトリガーを引くだけです。
一瞬で完了です!
CVTケーブルの端子圧着方法
CVTケーブルが剥き終わったら、今度はケーブルの芯線に端子を圧着していきます。
一般的にCVTケーブルは14sq以上のサイズから使用されますが、38sqまでは圧着ペンチで圧着することが可能です。
38sq以上のサイズは圧着機という電動工具を使用します。
もちろん14sqから38sqのサイズも圧着機で圧着可能ですよ!
圧着機の使用方法ですが、付属のダイスをケーブルサイズに合わせて装着します。
オスダイス(凸)は手前側、メスダイス(凹)は奥側に付きます。
現行規格のケーブルサイズがそのまま表示されていない場合もありますので、例えば60sqの場合は38-70、100sqの場合は80-150といったように、サイズが範囲内のダイスを装着します。
それと端子を圧着する前に絶縁キャップ(チップ)をケーブルに差し込んでおきます。
意外とこれ忘れがちですよね。
チップを付け忘れて端子圧着すると、後から付けるの大変ですので忘れないようにしましょう。
次に、端子を圧着機の圧着部分で軽く挟みます。
圧着機のトリガーを引くとゆっくりとオスダイス側が移動していきますので、端子が潰れない程度に端子を固定します。
端子の向きは下の画像の通り、端子穴が付いてない側にオスダイスがきます。
圧着機に端子を固定した状態でケーブルの芯線を端子に挿入します。
芯線が端子から数ミリでるくらいで調整しましょう。
その状態で、圧着機のトリガーを引き圧着していきます。
トリガーを押し続けると、「シュポン」と抜けたような音がしますので、そこでトリガーを離します。
リリーススイッチ(ダイスを元の位置に戻すスイッチ)を押して端子を圧着機から離します。
端子が圧着機から出しにくい場合は、両サイドの芯棒を抜けばヨーク(メスダイスが付いたコの字の受け皿)が外れますので、ヨークを外して端子を抜きます。
最後にチップを端子の上面まで持ち上げて圧着完了です。
最後に
一番の太物ケーブル、CVTの皮むき方法と圧着方法の説明でした。
38sq以上のケーブルとなると、住宅等の小規模物件ですとなかなかお目にかかることはないかと思います。
小規模物件にはないスキルが必要になる部分は、大規模物件を担当する電気工事屋さんの醍醐味ともなりますので、是非この記事を参考にしてスキル習得してみてください。