通線作業の必須道具、おすすめ通線ワイヤーを作業状況別に紹介していきます。
電気工事を営む場合は数種類の通線ワイヤーを所有する必要がありますので選ぶポイントも含めて紹介していきたいと思います。
通線ワイヤーの用途
通線ワイヤーは現場では「スチール」「通線ライン」とも呼ばれるもので、基本的な用途としては電線管や天井裏にケーブル等を通す作業で使われます。
配管の長さ、形状または天井裏やケーブルラックなどの作業状況に応じて通線ワイヤーを選定します。
基本的な用途としては電線管や天井裏にケーブル等を通す作業で使われます。
配管の長さ、形状または天井裏やケーブルラックなどの作業状況に応じて通線ワイヤーを選定します。
通線する際、配管の中や天井裏など直接ケーブルを入れ込もうとすると途中で引っかかったり通すことができません。
そこでコシのある通線ワイヤーを先に通しておき、ケーブルを取り付けてから引っ張ることによって通線することができます。
通線ワイヤーの種類
通線ワイヤーは3つに大別されます。
3つとも使用するシチュエーションが違いますので、工事をするにあたって所持しておいたほうがよいでしょう。
プラスチックタイプ
出典:楽天市場
最も一般的な通線ワイヤーになります。
現場でも一番使用頻度が高いのではないでしょうか。
PF管やCD管、鉄管に通す場合に使用します。
コシがあり自由自在に曲がるため曲がった配管にもスムーズに通ります。
フラットタイプ
出典:楽天市場
形状がフラット(平たい)になってますので基本的には直線方向にしか通すことができません。
狭い天井裏やケーブルラックの上、OAフロアの床下などに重宝します。
プラスチックタイプですとワイヤーが暴れてしまいますがフラットタイプはスムーズに進んでくれます。
地中線用タイプ
出典:楽天市場
エフレックススチールとも呼ばれたりします。
地中の配管にはエフレックスが使用されますが、エフレックスはPF管に比べ太いサイズ感となります。
通線ワイヤーは配管が太ければ太いほど、中でたるんで通りにくくなりますので、そのような配管に対応するために大型の通線ワイヤーを使用します。
エフレックスに限らず、鉄製の配管の場合も太物ですと通りにくいことがありますので、地中専用タイプを使用することで通すことができます。
プラスチックタイプよりも耐久性がありコシもあります。
被覆がないためよく滑るというのも特徴で、地中管のような太い配管に適しています。
また、ヘッドに先端誘導具を取り付ければケーブルラックの通線にも使用できます。
通線ワイヤーの選び方
長さで選ぶ
プラスチックタイプは5mから100mまでありますが、工事で使う通線ワイヤーは30mから50mが一般的です。
30mより短いものは家の中のDIYでしたら十分かもしれませんが、工事で使うとなるとなかなか厳しいかと思います。
逆に50mを超えるものは使う場面がかなり少なくなります。
配管の経路は一定の間隔でボックスを設けることがほとんどですので、ボックスの間隔で通線をしていくためです。
地中線タイプを使用する場合も同様に、エフレックスには一定の間隔でハンドホールがあります。
また、あまりに長い距離を一度に通線をすることは困難ですので長くても50mタイプをおすすめします。
太さについて
プラスチックタイプは約3mmから約6mmまでありますが、太くてもさほど重量は変わらず持ち運びにも苦労しないので耐久力のある太いタイプをおすすめします。
電線管は最小でも内径16mmほどですので太くて入らないということはありません。
通線済みの配管に通す場合もありますが、配管の占積率を考慮すると通線ワイヤーを通すスペースは十分にあります。
どこに通すか
先ほどの種類で紹介したとおり、ケーブルをどこに通したいのかで使用する通線ワイヤーは変わります。
プラスチックタイプ、フラットタイプ、地中線用タイプを使用状況に応じて選定します。
おすすめの通線ワイヤー
各種通線ワイヤーのおすすめを厳選しました。
現場でも定評のあるものです。
プロ用のメーカーはマーベルとジェフコムで間違いないですのでそちらで紹介します。
プラスチックタイプのおすすめ3選
MARVEL(マーベル)Jetラインタイガー
仕様
品番 | 長さ | 線径 | ヘッド径 | 破断荷重 | 使用安全耐荷重 |
MW-9030 | 30m | 6.2mm | 9mm | 7,4KN | 3.4KN |
MW-7050 | 50m | 6.2mm | 9mm | 7.4KN | 3.4KN |
有名なJetラインシリーズですね。
カーブやコーナーの多い配線作業に強い通線ワイヤーです。
細いラインと太いラインを撚り合せた構造になってますので摩擦抵抗が低減されているのでスイスイ通ります。
色はトラ柄で現場での視認性がよく、線径も約6mmと耐久性も問題ありません。
耐荷重が高いので耐久性が高いことがわかります。
こちらは収納ケースが付属していないので別途購入が必要です。
ジェフコムスピーダーワンメジャータイプ J3T-5070-50MJ
仕様
品番 | 長さ | 線径 | ヘッド径 | 質量 | 全体破断荷重 |
J3T-5070-50MJ | 50m | 先端5mm中央7mm | 6mm | 1,96kg | 1.1KN |
電設工具で有名なジェフコムの通線ワイヤーです。
こちらは10mごとに色分けされているので配管にどれだけ入線されているかがわかります。
入線長さがわかるのでケーブルの段取りに最適ですね。
また、中央から先端にかけて細くなっていますので入線しやすい作りとなっています。
こちらは収納ケースが付属します。
ジェフコム ブラックエース
仕様
品番 | 長さ | 線径 | ヘッド径 | 破断荷重 | 全体破断荷重 |
BX-5230 | 30m | 5.2mm | 9mm | 1.14kg | 0,9KN |
BX-5250 | 50m | 5.2mm | 9mm | 1.60kg | 0,9KN |
こちらもジェフコムからで電気工事定番の通線ワイヤーになります。
ワイヤーヘッドと横穴先端金具のダブルヘッドですので軽い通線でしたらケーブルを剥かなくてもそのまま大きな輪っかに通してテービングすれば繋ぐことができます。
また、収納ケース付きで両先端金具が消耗しても取り替え可能なところも嬉しいポイントです。
フラットタイプのおすすめ
ジェフコム コブラヘッドスチール
仕様
品番 | 長さ | ケース外形 | 質量 | 全体破断荷重 |
CBL-150 | 12m | φ390 | 1.7kg | 0.7KN |
CBL-300 | 25m | φ390 | 2.75kg | 0.7KN |
頭が反り上がっているので障害物を乗り上げて進んでいきます。
コンパクトですので点検口からの作業も容易にできます。
作業性はかなり良いですが、平たいスチール製ですので手を切らないように注意が必要です。
マーベル OA フラットライン
仕様
品番 | 長さ | リール外形 | 質量 |
E-4117RM | 20m | 550mm | 3.6kg |
ヘッドの先端にローラーが付いているため床下のケーブルを乗り上げて進んでいきます。
OAフロアの床下配線に適した通線スチールです。
ワイヤーに目盛が付いているため、行き止まったおおよその場所を特定できます。
樹脂性なので手やケーブルを傷つける心配はありません。
少し大型なので持ち運びが少し大変です。
地中線用タイプのおすすめ
ジェフコム シルバーグラスライン
仕様
品番 | 長さ | リール外形 | 総重量 |
GL-0910RS | 100m | 1200mm | 32,7kg |
GL-0920RS | 200m | 1400mm | 49kg |
多くの電気工事店で使われている地中線工事のパイオニアです。
地中線用なのでどうしても大型で重くなりますが、補助輪がついてますので移動が楽チンです。
また、別売りですが誘導具を付ければケーブルラックにも使用できます。
ジェフコム シルバーグラスライン(小型)
仕様
品番 | 長さ | リール外形 | 質量 |
GL-0705RS | 50m | 785mm | 10kg |
シルバーグラスラインの小型タイプです。
片手で持って移動できますので、一般の通線ワイヤーだとちょっと通すの辛いけど距離は短いみたいな時に活躍してくれます。
通線ワイヤーと合わせて使いたいアイテム
マーベル ケーブルスライダー
超定番の通線用潤滑剤です。
ケーブルの通線がきついときにケーブルに吹きかけて滑りをよくします。
スプレータイプでサラサラした液状ですので簡単に塗布可能です。
通線する際にケーブルが擦れて損傷するようなことも防ぎます。
専用のものですのでケーブルの変色や科学変化の心配がありません。
デンサンウェット
こちらも定番の入線潤滑剤です。
ケーブルスライダーよりも粘土が高めですのでウエスに付けてから塗り込むような使い方です。
周囲が仕上がっていたり、ケーブル直に塗布したい場合はこちらがおすすめです。
最後に
電気工事で使う通線ワイヤーですがもちろんプロ用を中心に紹介しました。
大型物件になりますと、ケーブルラックやエフレックスなどに太物のケーブルを敷設しますので特殊な通線ワイヤーを使用することになります。
状況に合わせた通線ワイヤーの準備をおすすめします。
それではまた、ご安全に!