機器仕様書や法令、内線規程などを読んでいると、ものすごくたくさんの電圧の呼び名が記載されていますよね。
これは、電気工事や保守管理は、様々な法令や規定、規格と関連し、私たち電気技術者はこれらを確認しながら業務をする必要があるため、たくさんの電圧の種類を目にし混乱してしまいます。
今回はこれらの電圧の単語を一つずつ法令や規定の文言から解釈し、整理してみましたのでぜひご覧ください。
それぞれの電圧
まずは結論として、それぞれの定義を簡潔にわかりやすく表にまとめました。
| 用語 | 意味と役割 | 現場でのチェックポイント |
| 使用電圧 | 電路を代表する線間電圧(例:200V) | 受電点の契約電圧や図面の呼称に使用。電技、赤本、内線規程にて使われる単語 |
| 公称電圧 | 使用電圧と同義 | JEC規格で使われる単語 |
| 標準電圧 | 使用電圧、公称電圧とほぼ同義 | 電気事業法にて使われる単語。条文より測定電圧とも解釈できる。 |
| 最大使用電圧 | 通常時、無負荷低負荷運転の電圧上昇を考慮した電圧 | 耐電圧の計算基準となる |
| 定格電圧 | 機器が正常に性能を発揮できる規定電圧 | 機器メーカーが指定する電圧。盤や機器の銘板を確認する際の基準 |
| 耐電圧 | 絶縁性能を試験するための電圧 | 竣工試験・絶縁耐力試験の合否判定値 |
使用電圧
使用電圧(公称電圧) 電路を代表する線間電圧
引用:電気設備技術基準の解釈 第1章第1節第1条
使用電圧とは、電路を代表する線間電圧をいう。
引用:内線規程1100-1
電路を代表する電圧ということで、電路(ケーブルなどの回路)に対して使う電圧を使用電圧といいます。
100Vや200Vという電圧はみなさん馴染みがあるかと思いますが、例えば一般的に使うコンセント回路は100Vです。
その場合、そのコンセントの回路(電路)の使用電圧は100Vになります。
実際に測定した105Vとか、そういうことではなくて回路の一般的な電圧の呼び方です。
例えば「ここのコンセント回路何ボルトだっけ?」「100Vだよ~」「そしたら100V用のコンセント付けるね」みたいな会話では使用電圧の話ですね。
「電気設備技術基準の解釈の解説」に記載がありますが、日本の使用電圧はJEC-0222の規格で決まっており、下記となります。
| 使用電圧(低圧) |
| 100 |
| 200 |
| 100/200 |
| 230 |
| 400 |
| 230/400 |
| 使用電圧(高圧以上) |
| 3300 |
| 6600 |
| 11000 |
| 22000 |
| 33000 |
| 66000 |
| 77000 |
| 110000 |
| 154000 |
| 187000 |
| 220000 |
| 275000 |
| 500000 |
| 1000000 |
公称電圧
公称電圧は上の「電気設備技術基準の解釈」でも記載されていますが、使用電圧と同義になります。
主にJEC0222の中では公称電圧が使われ、「電気設備技術基準の解釈」や「内線規程」では公称電圧が使われます。
また、「公共建築工事標準仕様書(電気設備編)」の中では公称電圧と使用電圧どちらも使われていますが、JECなどの規格に基づいたものは公称電圧とし、それ以外は使用電圧が使われており、どちらも同義と解釈できます。
標準電圧
標準電圧も使用電圧や公称電圧とほぼ同義になりますが、条文の解釈により若干意味が異なります。
標準電圧という単語は「電気事業法施行規則」という法令の第三十八条と第三十九条に出てきます。
...電圧の値は、その電気を供給する場所において次の表の上欄に掲げる標準電圧に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げるとおりとする。
標準電圧 維持すべき値 百ボルト 百一ボルトの上下六ボルトを超えない値 二百ボルト 二百二ボルトの上下二十ボルトを超えない値 引用元:電気事業法施行規則 第三十八条
このように法令にて電圧の許容範囲が決められています。
電圧の測定の結果については、測定箇所ごとに次の事項を記録すること。
イ 標準電圧
引用元:電気事業法施行規則 第三十九条
次に標準電圧を記録するという文言から、公称電圧や使用電圧のようなキリの良い数字ではなく、測定した具体的な電圧というふうに解釈できます。
最大使用電圧
最大使用電圧 次のいずれかの方法により求めた、通常の使用状態において電路に加わる最大の線間電圧
使用電圧が、電気学会電気規格調査会標準規格 JEC-0222-2009「標準電圧」の「3.1 公称電圧が1,000Vを超える電線路の公称電圧及び最高電圧」又は「3.2 公称電圧が1,000V以下の電線路の公称電圧」に規定される公称電圧に等しい電路においては、使用電圧に、1-1表に規定する係数を乗じた電圧1-1表
使用電圧の区分 係数 1,000V以下 1.15 1,000Vを超え500,000V未満 1.15/1.1 500,000V 1.05、1.1又は1.2 1,000,000V 1.1 引用:電気設備技術基準の解釈
最大使用電圧とは、通常の使用状態において、その回路に加わる線間電圧の最大値をいう。
引用:内線規程1100-1
最大使用電圧は、電技解釈に記載のとおり、使用電圧に係数をかけることで求められます。
事故等の異常電圧ではなく、通常状態で無負荷運転や軽負荷運転時に生じる電圧変動を考慮したもので、かかる可能性がある最大の電圧の目安として定められています。
定格電圧
定格電圧とは、電気使用機械器具、配線器具などにおいて使用上の基準となる電圧をいう。普通、銘板に記載されるが、点滅器、ソケット、つめ付ヒューズなど銘板のないものは刻印、形出文字などによって表示される。
引用:内線規程1100-1
定格電圧は、照明器具や空調機などの機器が正常に動作する電圧です。
機器の製造メーカーが定めており、機器仕様書に記載してます。
メーカーから指定された電圧ですので、誤った電圧を接続した場合、機器の故障もしくは正常に動作しません。
もちろん日本の機器であれば定格電圧は公称電圧のいずれかになりますね。

耐電圧
各法規や規定に「耐電圧」の定義はしていませんが、電技や建築工事標準仕様書に度々登場する単語です。
耐電圧は機器が耐えうる電圧として扱われ、機器の機能試験の項目の一つとして設けられます。
配線用遮断器などの一般的な低圧機器については、メーカー側の試験で実施しますので、私たち現場の人間はあまり気せず問題ないでしょう。
高圧機器と高圧ケーブルについては、電技解釈の15及び16条にて規定されていますので、確認が必要です。
キュービクルや高圧ケーブルを現場で設置した際は、絶縁耐力試験(耐電圧を印加する)を実施し、絶縁性能を試験します。
まとめ
法規や規定、規格など色々なところで電圧の呼称が変わりますので、混乱してしまいますね。
使用電圧や公称電圧は呼び方の違いですので深く考える必要はないです。
定格電圧についても呼び名といえばそうなりますが、機器に接続する電圧となりますので、工事の際は注意しましょう。
最大使用電圧は単体で使用することはほぼないです。
耐電圧の計算で使用されますが、耐電圧についても高圧電路の絶縁耐力試験に印加する10350V(6600×1.15/1.1×1.5)という決まった数字くらいです。
それではまた、ご安全に!