今回は電気工事の便利接続材料、「差込形コネクター」について説明していきたいと思います。
電気工事士試験の実技試験でも使用されますが、今回は現場で使える実践的な使い方を注意事項を交えて解説していきます。
二種電気工事士を取得したら次は実践です。資格試験対策では少し足りない部分がありますので、細かい知識も習得して事故のない安全な施工を行いましょう!
それではご覧ください!
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差込形コネクターとは?
みなさん現場で「ワゴ」って聞いたことないですか?
ワゴは差込形コネクターのことで、ワゴジャパンというメーカーから販売されているので現場では通称「ワゴ」として通っています。
2本差し込めるものは「2ワゴ」、3本は「3ワゴ」と現場では呼ばれます。
地域によっては「電コネ」と呼んでたりします。「2コネ」、「3コネ」って感じですね。
他にもニチフや冨士端子工業からも販売されていますがみなさん全部「ワゴ」とか「電コネ」と呼んでいます。
差込形コネクターとは呼んでる人はいないです。笑
ニチフからは「クイックロック(QLシリーズ)」、冨士端子工業からは「VFコネクタ」という商品名で販売されています。
差込形コネクターは電線のジョイント(延長や分岐を目的に電線同士をつなぐ)に使用されます。
ジョイントといえば電気工事士試験でも使うリングスリーブですが、差込形コネクターはリングスリーブとは違い工具いらずの差し込むだけの簡単施工です。
施工時間の短縮、省力化に大きく貢献し、現場では重宝されています。
基本的にはVVFケーブルの接続に使用される印象ですが、スケア線(より線)や太い電線、弱電用の1.2mm以下用の物も販売されています。
構造は速結端子となっていて、差込方向とは反対側に爪が向いていて引っ掛けるようにして芯線を固定します。
それぞれのメーカーの違い
正直いいますとほとんど使用上に違いはありませんので、どれを使用しても大差はないかと思いますので色や形で好みのものを選定していただければと思います。
以前のワゴジャパンの商品は、芯線が外から見えない構造でしたのでしっかりと差し込めたかが分かりにくい構造でした。
しかし、最近はWGZシリーズが販売されていますので差込具合と剥ぎ取り長さをしっかりと確認できるようになりました。
使用については大差ありませんが、構造が少し違ってきます。
それはスプリングが一枚構造か二枚構造、検電穴があるかないかです。
スプリングとは芯線をひっかける爪のことですが、ワゴは一枚構造とすることで、異物の侵入や不具合を防止できることを謳っています。
二枚構造ですと一枚目が噛むとそれで差し込めたと勘違いする場合があるということですね。
逆に二枚構造のが二点で支えるので抜けにくく信頼性が高いということで、二枚構造しか使わないという方もいます。
一枚構造 | 二枚構造 | 検電穴有無 | |
ワゴジャパン | ○ | 有 | |
冨士端子工業 | ○ | 有 | |
ニチフ | ○ | 無 |
差込形コネクターの使用方法
①ケーブルの剥ぎ取り
まずジョイントしたいケーブルを剥き取ります。
VVFケーブルの剥き方はこちらを参照ください。↓
ストリッパーで簡単に剥けますが、せっかくでしたら電工ナイフとニッパーで!
リングスリーブの場合もそうですが、外装は100mm程剥くと丁度よいでしょう。
IVの剥き取り長さは12mmです。コンセントや照明器具に差し込むときと同じ長さですね。
②コネクターに差し込む
剥ぎ取ったIVをコネクターの穴に差し込みます。
圧着ペンチが必要ないので本当に簡単ですよね。
注意点としましては、芯線がまっすぐな状態で差し込んでください。
曲がっていると奥まで差し込めず接続不良となります。
また、芯線が差込コネクターの突き当たりまで差さっているか確認しましょう。
芯線が差込形コネクターからはみ出ている状態もNGです。必ず奥まで差し込むことです。
注意ポイント
・芯線をまっすぐにする
・突き当たりまで差し込む
・芯線がはみ出ないようにする
③最後はビニテで固定
差し込んだら終わりで施工的には間違っていないのですが、最後にビニテで固定することをおすすめします。
差込形コネクターは一度差しても外すことができてしまいます。
よっぽどのことがないと外れませんが、第三者が触ってしまうなど大きな力がかかることがないこともないです。
それを防止するため、ケーブルが動かないようにビニテで巻きます。
IV部分と外装部分でしっかりと巻いておきましょう。
これでジョイント作業は終了です。
④ジョイント部分はナイスハット
ジョイント部分は必ずボックスを設けるかナイスハットをかぶせておきます。
ケーブル接続部は接続箱やそれに相当するものを設けることが内線規程で義務付けられています。
また、IV線の露出状態もNGでしたね。
差込形コネクターはリングスリーブでのジョイントと違い芯線部分が空気に触れている状態です。
特にほこりっぽい場所ですと穴の隙間にほこりがたまりトラッキング現象の原因となりますので、ナイスハットなどの保護キャップは重要となってきます。
差込形コネクターの抜き方。再利用はできる?
抜き方ですが、差込形コネクターをグリグリとねじりながら引き抜く方に力をかけると簡単に抜くことができます。
一度使った差込形コネクターは再利用できますが、あまりにも古いものは捨てて新品を使用するようにしましょう。
何度まで使用できるといった規定はありませんが、何度も使用していると爪が弱くなりますので確実に芯線を固定する力が弱まっていきます。
また、一度差し込んだ芯線部分は必ず切り飛ばして剥き直すようにしましょう。
差込形コネクターに限った話ではなく、コンセントや照明器具にも共通する事項です。
一度速結端子に差し込んだ芯線は爪がかみますの傷が付きます。
傷が付くということは芯線が細くなると同じことですので、許容電流が少なくなり最悪の場合発火や火災の原因となります。
傷が原因で芯線が折れてコネクターの中で「中折れ」という状況も考えられます。
注意ポイント
・あまりにも古い差込コネクターは使わない
・一度差した芯線は切り飛ばして剥き直す
差込形コネクターは屋外使用できる?
差込形コネクターは屋内専用です。
屋外でジョイントする場合はリングスリーブで圧着した上にエフコテープを巻きます。
また、湿気のある場所もNGです。
その他の注意事項
差込形コネクターは便利である反面「抜ける可能性がある」ということと「屋外で使用できない」という弱点があります。
これがリングスリーブがなくならない理由かと思います。
先ほどの施工説明の通りビニテをしっかり巻けばよっぽどのことがない限り抜けることはありません。
しかし、ビニテが緩んでしまったりかなり大きな力がかかってしまったりなど100%抜けないともいいきれません。
そのためリングスリーブのが信頼性が高いといえます。
大手サブコンや一部の官公庁の現場では差込形コネクターを禁止にしています。
差込形コネクターは便利で施工性のよい材料ですが、工場や厨房などの過酷な環境や絶対にトラブルを起こせない顧客の現場など、時と場合で使用を避けることも選択肢に入れることをおすすめします。
最後に
いかがでしたでしょうか。
差込形コネクターは正しい施工をすればとても便利な材料です。
安全に施工して是非有効活用してみてください!
ただし、使用しないという判断も必要な場面がありますということです。
それではまた、ご安全に!