電気工事の実務では、配線以外にもケーブルの経路を作るお仕事があります。
それは配管やケーブルラック、支持材などになりますが、その際に必須となる工具が「ラクラッチ」です。
すでに現場の職人さんの腰袋に刺さってるのを見たことがあるかもしれません。
ビスやナットの締め付けはインパクトが便利ですが、締め付けすぎなどの心配がありますのでラチェットレンチは重宝しますよね。
特に住宅以上の木造以外の現場では必須工具となります。
今回はラクラッチの特徴から使う場面と使い方まで紹介していきます。
電気工事士の資格試験では登場しませんので、この機会に是非チェックしてみてください!

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ラクラッチの特徴
スペック

ラクラッチはトップ工業から販売されている、電気工事に特化した4サイズ兼用できるラチェットレンチです。
型名(製品番号) | PRW-3L |
使用範囲(mm) | 8・10・12・13 |
全長(mm) | 146 |
重量(g) | 185 |
保証トルク(N・m) | 8mm→23,5・10mm→47.1・12mm→82.4・13mm→94.1 |

同じTOP工業から「アルラッチ」という商品が販売されていますが、素材がアルミのため鋼製で作られた「ラクラッチ」の方が頑丈で変形や歪みの心配がなくおすすめです。
4+1サイズ対応
電気工事のケーブルラックや配管工事は、様々なサイズのビスやボルトを使用します。
ラクラッチはそのような状況に対応するために8.10.12.13の4サイズに対応しています。
また、トップ工業の別売りレースウェイソケット(後述)と組み合わせることにより、電気工事では一番使用頻度の高い17のサイズも使用でき、5サイズに対応できます。
これらのサイズは電気工事でよく使うサイズですので、ラクラッチ一つでほとんどの作業に対応可能です。
何個もスパナを持ち歩いたり、インパクトのソケットを何度も取り替える煩わしい作業から解放されますね!
サイズが小型で便利


ラクラッチは全長が146mmでとても扱いやすいサイズです。
腰袋のサイドポケットにスッポリ入りますので、腰道具に常備している職人さんも多いです。
また、施工場所が狭かったりして、大きなラチェットやインパクトが入らないといった場合も、高さ18mmですので問題ありません。
作りが頑丈

本体プレートは耐久性の高いステンレス、本体は強化プラスチックが使用されています。
そのため本体は錆びにくく、強度が高くなっています。
アルミ製のラチェットの場合、強く締めすぎたり落としたりすると、変形してしまったり、ギアが壊れてしまうことがありますが、ラクラッチの場合ある程度は問題ありません。
ギアとナット締め付け部分は金属製となっていますので、水が付いた状態ですと錆びますので注意が必要です。
適度にメンテナンスをする必要があります。
安全ヒモ用穴付き


本体の真ん中あたりに穴がありますので、ワイヤーなどを通すことができます。
落下防止、紛失防止に考慮されていますよね。
小型であるが故に、置き忘れや紛失する可能性が高いのがラクラッチのデメリットです。
また、ワイヤーやリールで腰道具に繋げておけば、高所作業でも落下して物や人に当たることがないので安心です。

ラクラッチの使い方

使い方といっても普通のラチェットレンチと使い方は代わりません。
5サイズ使用できますので、それぞれの使用場面を紹介したいと思います。
8mm


8mmはパイラッククリップのナットや薄鋼電線管のカップリング、ボックスコネクタのネジ切りに使用します。
パイラッククリップは、裏からラクラッチで抑えてプラスドライバーかペンインパクトで締め付けます。
また、配管のネジ切りはプラスドライバーですとかなり力がいりますが、ラクラッチですと楽ちんです。
10mm


10mmはパイラックの本体のボルト、ダクタークリップのナットに使用します。
ダクタークリップの締め方はパイラッククリップと同様にプラスドライバー、またはペンインパクトの併用です。
12mm

12mmはケーブルラックのジョイント(接続部分に使う金物)のナットに使用します。
13mm

13mmはネグロスのHB1シリーズ(鉄骨に支持する金具)の止めボルトに使用します。
それから13mmは8mmのボルトに対応するサイズとなりますので、他の部材で8mmのボルトを使用する際に使います。
17mm

17mmは下で紹介するレースウェイソケットを装着して使用しましょう。
17mmは現場で最も使用頻度が高い3分のナットや10mmのナットに使用します。
ラックやレースウェイの支持、分電盤やプールボックスなどあらゆる場面で使用場面がありますよね。
電工ハンマーの先端でも代用できますが、やはりラクラッチは狭い場所で存在を発揮します。

ラクラッチとの組み合わせて使いたいアイテム
トップ工業 レースウェイソケット



こちらは、ラクラッチと同じトップ工業から、インパクト用17サイズのソケットになります。
普通のソケットと違い、ソケットの両側が薄い作りとなっていますので、レースウェイ (ダクター)の中にもすんなり入る作りです。
これをラクラッチと組み合わせて使用することで、ラクラッチで17サイズのナットを締め付け可能となります。
ラクラッチの13サイズのソケット部分に差し込むだけで簡単に取り付けられます。
トップ工業は汎用性が高いので、アイテムの組み合わせができるところが嬉しいですよね!
長さは2サイズあり、ロングソケットの方は全ネジのナットを上の方まで回していくのに便利です。
経験ある方もいると思いますが、手でまわしていくのは大変ですよね。
トップ工業 ECS-814S 電動ドリル用マルチソケット

同じトップ工業から、5サイズセットのソケットです。
基本的にはインパクト用のソケットになりますが、ラクラッチに対応していますので、レースウェイ ソケット同様差し込むだけで使用できます。
少し長めのサイズ感で使いたい場合や、ラクラッチにはない14mmのサイズがありますのでいざというときに重宝します。
レースウェイ の役物の付属品に14mmの首下ボルトがあったりしますので地味に使用場面があります。
せっかくインパクトのソケットセットを購入するのでしたら、ラクラッチ対応のマルチソケットでいかがでしょうか。
トップ工業 マルチビットアダプター EMA-635-13

こちらもトップ工業から、ビットアダプターです。
インパクトに装着する延長ソケットになりますが、実はラクラッチの13mmのソケット部分に装着することができます。
短いプラスビットをマルチビットに装着してラクラッチに付ければ、ビスをラクラッチで締め付けることができます。
どんなシチュエーションで重宝するかというと、狭くてプラスドライバーもインパクトも入らない場所です。
これを腰道具のビットホルダーにぶら下げておけば、だるまドライバーを取りにいかなくてもすみますよね!
ラクラッチの手入れ
ラクラッチの本体部分はステンレスですので錆びにくいですが、ソケット部分は水分に触れるとすぐに錆びてしまいます。
雨の日の外作業などをした際は必ず手入れが必要です。
手入れをしないで放置すると、錆びが落ちなくなるだけでなく、ギア部が固着し使い物にならなくなります。
また、ラチェットには空転トルクというボルトを回してラチェットを戻すときにかかるトルク(カリカリいうときの重さ)があります。
この空転トルクが軽ければ軽いほど使いやすいラチェットといえますので、まめに手入れをしてトルクの維持に努めましょう。
お手入れ方法はKURE5-56などの潤滑剤をウエスに染み込ませ本体をよく磨いてあげます。
ギア部分は潤滑剤を吹き付け、カリカリとギア部分を回して空転トルクが軽いことが確認できればOKです。

ラクラッチがおすすめな人
ラクラッチは説明のとおり、豊富なサイズに対応しており、しかも電気工事に特化している特徴があります。
電気工事士におすすめなのはもちろんですが、住宅を専門にしている電気屋さんや保守を行うメンテ会社の方には向かない工具ではないかと思います。
プラントのような配管が多い現場や、機械室や電気室などがある大型の物件をメインで工事する方は必携です。
口コミ
口コミを集めてみましたので参考にしてみてください。
様々なラチェットを使ってきましたが、電気工事で使用するならやはりTOPのこのラクラッチが扱い易く、それなりの質感があって良い。多少荒い扱いをしても大丈夫で頑丈です。ネグロスのラック工事なら腰道具にこれ1本差しておけば問題ないです。
他のメーカーものはどこか安っぽく、トルクを掛けすぎると空回りしたことが有ります。TOP製ならそれがない。
ただ、少し高いのが難点です。
amazon カスタマーレビュー
スタンダードな商品だけあってかなり使いやすさは約束されています。
耐久性もお墨付きです。
手入れしながら使えば10年以上は確実に使えると思います。
ただ多くの工具を使う方にしてみれば1つ1つの重さがネックとなってくると思います。
この工具は耐久性ゆえに少し重いので腰にかかる負担や身軽に動きたい方はアルミ製の物があるのでそちらを購入することをオススメします。
amazon カスタマーレビュー
軽くていいのかと思ってアルミタイプを使っていたが歯車の引っ掛かりがすぐ削れアルミではなくこちらを購入。アルミは二度とかわない
amazon カスタマーレビュー
やはり、耐久性の高さと汎用性の高さが評価されている印象です。
これ1本で締め付け作業は用が足りてしまいます。
ただ、人によってはアルミに比べて重いと感じる方もいるようです。
また、値段がもう少し安くなれば。。という方もいましたね。
対して、ラクラッチのアルミバージョン「アルラッチ」の方は、軽さについてはかなり評価されていましたが、アルミのためギヤの部分が削れてしまったり、ソケットが歪んでナットが取れなくなったなどの意見が見られました。
やはり耐久性を考えると「ラクラッチ」がおすすめです。
さいごに
電気屋さんの必需品「ラクラッチ」の紹介でした。
トップ工業の製品は、別売りの商品との組み合わせが豊富で汎用性があるため非常におすすめです。
ラクラッチは小型で重量もないため、腰道具に常備してはいかがでしょうか。
この記事が現場のお役にたてれば幸いです。
それではまた、ご安全に!
この記事で紹介した工具
