電気工事で一番使用するケーブルといえば、VVFケーブルですよね。
VVFケーブルの芯線は銅が拠られていない単線になります。
電気工事士の実技試験においても、VVFケーブルが使用されスイッチ結線などのジョイントをリングスリーブ と圧着ペンチで行います。
しかし、実技試験では撚り線が出てこないので、単線と単線の圧着になり、撚り線を現場の実践で圧着することになると初心者は戸惑うかもしれません。
そこで、今回は単線と撚り線をジョイントする場合の圧着方法を解説していきます。
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単線と撚り線を圧着するシチュエーション
コンセントや照明などの電灯負荷に配線する一般的なケーブルはVVFケーブルですが、VVFケーブルは1.6mm、2.0mm、2.6mmの三種類のサイズラインナップがあります。
実際の現場では、2.6mmのサイズが必要になることはほぼなく、発注するケーブル種類を減らすため、VVFケーブルの電路で太物が必要になった場合はCVケーブルで代用するというのが常識となっています。
代用したCVケーブルが仮に余ったとしても、動力機器の配線などで使用できます。
VVFケーブル電路で、CVケーブルを使用するシチュエーションとしては、分電盤から負荷までの距離が長く、電圧降下が懸念される場合です。
その場合、分電盤からの一発目の幹線をCVケーブルの5.5sqで配線し、ジャンクションボックスを設けてそこからVVFケーブルで各負荷に分岐配線します。
ここで設けたジャンクションボックスでは、CVとVVFが混在しますので、単線と撚り線をジョイントする必要があります。
単線と撚り線を圧着する方法
P型スリーブを使用する
基本的に、撚り線を圧着する場合はP形スリーブを使用します。
形状としては、リングスリーブ に比べて肉厚で、完全な筒型のスリーブになります。
圧着する工具としては、「裸圧着端子・スリーブ用の圧着ペンチ」を使用します。
通称「赤のアッペン」ですね。
単線を圧着する工具は「黄色いアッペン」、撚り線を圧着する工具は「赤いアッペン」といった感じに覚えておきましょう。
スリーブのサイズが、38以上など圧着ペンチで対応できないサイズは、電動の圧着器で圧着します。
撚り線同士の場合、一定サイズまではリングスリーブ でいける
下のリングスリーブ の適合表を見ていただくとわかりますが、撚り線であっても圧着する電線サイズが同一の場合は、5.5sqまではリングスリーブ で圧着することが可能です。
撚り線の場合は、2.0sq、3.5sq、5.5sqの同一線のみリングスリーブ で圧着可能で、それ以外はP型スリーブとなりますので注意が必要です。
Pスリーブのサイズ選定方法
Pスリーブのサイズですが、挿入する電線の本数とサイズで決まります。
単純にケーブルサイズを足し合わせた数が、下の表の赤枠に収まる品番を選定します。
VVFなどの単線のサイズ単位はmmで表され、CVなどの撚り線は㎟(またはsq)で表されますので、ここは覚えておきましょう。
表の電線抱合範囲の単位は㎟ですので、単線のmmを㎟に変換する必要があります。
電気工事でよく使用する単線のサイズは3種類で多くはないので、適応する㎟のサイズは覚えておくと便利です。
むしろ2.6mmはほぼ使用しないので2種類でも問題ないです。
mmと㎟の対応表は以下になります。
単線(VVFなど) | 撚り線(CVなど) |
1.6mm | 2.0㎟ |
2.0mm | 3.5㎟ |
2.6mm | 5.5㎟ |
例えば、分電盤からCV5.5㎟を幹線として配線し、ジャンクションボックスでVVF2.0とジョイントする場合は、2.0mmは3.5㎟ですので、
5.5+3.5=9
となりますので、電線抱合範囲を見るとP8のスリーブというふうに選定できます。
次に、CV5.5㎟とVVF1.6㎟を3本、2.0㎟を1本をジョイントする場合は、
5.5+2+2+2+3.5=15
となりますのでP14のスリーブを選定します。
スリーブにも許容電流があるので適正に選定しよう
実はリングスリーブ やP形スリーブにも、電線と同じく許容電流(流すことができる電流の上限)が決まっています。
もちろんスリーブのサイズによって、筒の大きさが違いますので、電線が入る入らないの問題もありますが、許容電流も考慮されて作られています。
そのため、メーカーの電線適合表からしっかりとスリーブを選定すれば、自ずと許容電流もクリアできますので、適正サイズを選ぶことが重要になります。
くれぐれも、撚り線を減線して無理やり入れるなどしないようにしましょう。
まとめ
まとめ
- 撚り線をジョイントする場合はP形スリーブを使用する
- 同一サイズであれば5.5㎟までは、リングスリーブ で対応可能
- Pスリーブの選定はサイズの足し算
電気工事士の試験では、Pスリーブの問題はあまりでてきませんし、実技でも行われません。
Pスリーブと赤いアッペンは意外と使う工具と材料ですので、この機会に是非覚えてみましょう。
それではまた、ご安全に!