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【疑問】漏電・地絡・過電流・短絡の違いとは?いずれもよくない事象です

2023年2月25日

「漏電・地絡・短絡・過電流」。これらの単語は、日常でもたまに聞くこともあるのではないでしょうか。

これら4つの事象は、電気的にどれもよくない状態といえます。

簡単に表現すると「漏電は電気が漏れ出ている状態」、「地絡は漏電した電気が大地へ流れている状態」、「過電流は回路の許容以上の電流が流れる」「短絡はケーブルの線間が接触する」です。

この記事では、それぞれの意味、違いについて解説していきますので、概要だけでも掴んでいただければと思います。

漏電とは

漏電イメージ図

漏電は文字の通り、電気が漏れ出ている状態です。

電気が漏れ出ていれば漏電となりますので、漏電という言葉は大きな括りとなります。

漏電した電流を「漏れ電流」や「漏洩電流」と呼びます。

ケーブルや機器の内部は電気を通さない絶縁体で覆われていますので、通常であれば電気が外へ漏れ出ることはありません。

しかし、ケーブルの被覆の劣化や電気機器が故障すると、電気が外へ漏れ出ることとなります。

特に水場や特殊環境、過酷な環境ではケーブルの劣化速度が速くなり漏電の可能性が高くなります。

ケーブルは少しずつ劣化しますので、通常状態でも人体に影響のない程度の微少の漏れ電流が流れています。

そのため、大きな捉え方をすると漏電は常に起きているということになりますが、一般的には大きな電流が漏れてしまった状態を「漏電している」といいます。

例えば、完全にケーブルや機器が損傷し、他の建築物や機器の箱体に完全に電気が流れている状態です。

漏電により大きな電気が漏れ出ると、人体が感電したり、機器が焼損したりと様々な被害があり大変危険な状態と言えます。

●漏電の発生原因
ケーブルの劣化により、他の建築物や機器に接触する
施工不良により、ビスやラック等がケーブルに
機器の内部故障

地絡とは

地絡イメージ図

地絡の概要

地絡とは、地面に電気が流れる状態をいいます。

万が一、上で説明した漏電状態になっても、抵抗値の低い電路、つまりアース(接地)に電気を逃すことによって人体を守ります。

アースとは、冷蔵庫や電子レンジから出ている緑色の線ですね。

感電防止のためのものですので、コンセント差し込みの際には必ずアースをコンセントに取り付けましょう。

アースは接地工事で地面に金属棒などを打ち込み、大地を電路とすることで漏電した電気の通り道を構築します。

また、アースに電気が流れることにより、漏電遮断器で電路を遮断したらり、漏電警報で漏電していることを知らせることができます。

このように、アースに電気が流れている状態が地絡となるのです。

地絡と漏電の違い

つまり、地絡は漏電の一種となり、地絡と漏電の違いは電気がアースに流れるか流れないかです。

例えば、誤って機器のアースをせずに漏電が発生してしまった場合、漏電した電気は地絡せずに機器が電位を帯びている状態です。

この状態は地絡ではなく、単に漏電しているだけですのでかなり危険な状態です。

漏電と地絡の違い
漏電・・・電路から電気が漏れ出る現象全般をいう
地絡・・・漏電のうちアース線(接地)から大地に電気が流れた状態をいう

地絡は過電流の原因にも

漏電の項目で、漏れ電流は微少なものが常に発生しているといいましたが、地絡も同様で常に微少な地絡が発生していると言えます。

しかし、電路が何かしらの原因でアース線と完全に接触してしまった場合、完全に地絡している状態となり大きな地絡電流が発生します。

どういうことかというと、地絡状態になるとアース線を通し、大地に電気が流れ、大地の抵抗値(接地抵抗値)に応じた電流が発生します。

わかりやすく例えると、大地という電気機器が回路に一つ増えたというイメージです。

地絡電流が一般の負荷に上乗せして回路に流れるイメージとなりますので、後述する過電流となり過電流遮断器で遮断することが可能です。

例えば、100V回路で5Ωのアースに地絡したとします。

そうするとオームの法則により下記で地絡電流を求めることができます。

100V÷5Ω=20A

20Aもの大きな地絡電流が回路に上乗せされるということです。

過電流とは

過電流イメージ図

過電流は、上記の漏電や地絡とは全く異なった事象です。

過電流とは、回路の許容値以上の電流が回路に流れてしまうことをいいます。

過電流の発生原因としては、たくさんの機器を同時に使用したり、機器の内部が故障することによって、多くの電流が流れることにより発生します。

家庭でも、同時にエアコンとドライヤーと電子レンジを使用するとブレーカーが「とぶ」ことってありますよね。

これが過負荷によるブレーカートリップです。

ケーブルはブレーカーのアンペア数に応じてケーブルサイズが選定されています。

仮に、過負荷が流れ続けるとケーブルが発熱し、やがて被覆が溶けてしまします。

ブレーカーは過負荷からケーブルを保護するために取り付けられているのです。

短絡(ショート)とは

短絡イメージ図

短絡とは過電流の一種で、回路の相(線)同士が接触したり、回路の相(線)間に鉄などの抵抗の低い導体が接触した際に発生する事象です。

つまり、回路の2本、または3本の導体が接触した状態です。

ショートと同義ですので、こちらのが馴染みがあるかと思います。

短絡の発生原因としては、電気の流れている電線を2本同時に切ってしまったり、機器の故障で内部短絡したり、銅バーをテスターなどで測定中にテスターのプローブで線間を接触させてしまうなどが挙げられます。

●短絡の発生原因
活線ケーブルをニッパーで切断
機器故障による内部短絡
テスターのプローブで相間短絡

さて、短絡すると何が問題なのでしょうか。

回路の2本または3本のケーブルは機器に入るまでは接触することはありません。

コンセントなどにより機器に接続することにより導通しますが、機器内部の抵抗が入ることによって適切な電流値となって機器が動作しています。

この抵抗が全く入らない状態で、直接、線と線が接触してしまうと、限りなくゼロに近い抵抗に電圧がかかることとなり大電流が発生します。

電線の導体にも、インピーダンス(抵抗の総称)がありますので、抵抗がゼロではありませんがかなり小さい値です。

ケーブルが太くて、トランスに近い(ケーブルが短い)ほど短絡電流は大きくなります。

これは、太くて短いケーブルはインピーダンスが小さくなるためです。

短絡は、大電流が発生しますので、そういった意味で過電流の一種といえます。

一般の過負荷とは違い、電流値が桁違いですのでブレーカーは一瞬でトリップし、短絡した部分はスパークが飛び散ります。

短絡のスパークにより、火傷や眼球へのダメージ、機器の損傷など、様々な被害が想定されるため、活線作業をする際は注意が必要です。

まとめ

まとめ

  • 漏電は電路以外に電気が漏れ出る事象
  • 漏電と地絡の違いはアースに電気が流れるか流れないか
  • 地絡により地絡電流が流れる
  • 過電流は回路の許容値以上の電流が流れること
  • 短絡は過電流の一種で、大電流が流れる

いかがでしたでしょうか。

日常でもたまに聞くことのある単語で、なんとなく理解しているけどよくわからないという方が多かったと思います。

この記事で概要だけでも理解できたのではないでしょうか。

この4つの言葉は不具合、または事故的な事象ですね。

この記事がみなさんのお役に立てましたら幸いです。

それではまた、ご安全に!

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