スイッチの表面が点灯することで、ON,OFFの状況がとてもわかりやすい、「ほたるスイッチ」と「パイロットスイッチ」について詳細に説明していきたいと思います。
二つの簡単な違いとしては、ほたるスイッチはOFFで光る、パイロットスイッチはONで光るスイッチです。
他にも内部回路などの深堀した話や、パイロットスイッチには負荷容量があることなど紹介していきますので是非ご覧ください。
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ほたるスイッチとは
暗闇で光るほたるみたいなスイッチ
ほたるスイッチとは、スイッチが「切り」の状態のときスイッチ表面のランプが点灯するスイッチです。
ほたるスイッチの名称は、Panasonicの商標でして、正式名称は「位置表示灯内蔵スイッチ」となります。
スイッチ表面のランプが点灯するため、夜の時間帯や窓のない部屋、薄暗い場所でも「切り」の状態が容易に認識できます。
そのため、視認性が高いことから暗い中で手探りでスイッチを入れるといったストレスから解放されますし、高齢者の転倒防止にも効果的です。
Panasonicの製品では、シリーズによってランプの色が異なり以下となります。
・コスモシリーズ・・・緑色
・フルカラーシリーズ・・・橙色
・アドバンスシリーズ・・・白色
ほたるスイッチを使用する場所
ほたるスイッチが使われるのは以下のような場所です。
・玄関
・階段
・薄暗い倉庫
ほたるスイッチは、「暗い場所でも認識できる」という利点から、暗い状態で使用する可能性が高い場所に設置されます。
そのため、玄関のような家の中で最初に付けるスイッチや、階段のような薄暗いまま上り下りすると危険な場所は導入したほうがよいでしょう。
機能としてはあって損はないことから、ほたるスイッチが全箇所標準といった住宅もありますが、リビング等の居室にランプがあると目障りという方もいらっしゃいますので、一般的には「玄関や階段」に設置することが多いです。
ほたるスイッチのランプ点灯原理
上の図の通り、ほたるスイッチの内部回路は、接点(回路がON,OFFされる場所)と表示ランプが並列になっています。
接点が開いている時(切りの状態)は、接点の表示ランプの直列回路となりますので表示ランプが点灯します。
そして、接点が閉じている時(入りの状態)は、照明と表示ランプは直列回路となります。(表示ランプは消灯)
ここで不思議なのは、スイッチ切り状態の時は、表示ランプと照明が直列回路なので、この状態でも照明は点灯しそうですよね?
また、スイッチ入り状態の時も表示ランプは並列になっていますが、表示ランプも点灯しそうです。
実は、照明よりも表示ランプの方が、非常に抵抗値が大きいということが関係してきます。
【スイッチ切り状態の場合】
上図より、照明と表示ランプが完全に直列回路になっていることがわかります。
電気工事士の回路問題で「分圧の法則」というのがありますよね。
分圧の法則というのは、抵抗が直列に繋がっている場合、電圧は抵抗値に比例して分圧するというものです。
そのため、抵抗値が非常に高い表示ランプにほとんどの電圧がかかり、照明にはほとんど電圧がかかりません。
その結果、表示ランプは点灯、照明は消灯となります。
【スイッチ入り状態の場合】
並列回路部分に着目すると、抵抗値の高い表示ランプには電流がほぼ流れず、抵抗がほぼ0の接点側を優先して流れます。
結果、スイッチ切り状態で表示ランプは消灯します。
このように、内部抵抗を大きくすることにより、並列回路と直列回路の特性を利用し、表示回路をON,OFFしています。
ほたるスイッチの図記号
電気図面の図記号です。
スイッチの記号にHが付いています。
Hは、ほたるの頭文字と思いきやHereのHなんですね。
パイロットスイッチとは
パイロットスイッチはほたるスイッチと逆の動き
パイロットスイッチは、スイッチが「入り」の状態のときスイッチ表面のランプが点灯するスイッチです。
入り切りの表示ランプの動きが、ほたるスイッチとは全く逆ですね。
パイロットスイッチの正式名称は「確認表示灯内蔵スイッチ」となります。
スイッチが「入り」の状態で表示ランプが点灯しますので、照明が点灯していることを容易に確認できます。
そのため、スイッチの消し忘れや、照明の点灯状況が確認できない場所で重宝します。
表示ランプの色は赤色となります。
パイロットスイッチを使用する場所
パイロットスイッチは、部屋の外にスイッチが設置されている場合に採用されます。
部屋を出てからですと中の様子がわかりませんので、一目で入り切り状態がわかるパイロットスイッチであれば消し忘れを防止できますね。
次のような場所で特に使用が多いです。
・トイレの照明や換気扇のスイッチ
・風呂場の換気扇のスイッチ
・外灯のスイッチ
ガラス張りのドアや小窓付きのドアでしたら照明の点灯状況が確認できますが、換気扇は音で確認する必要がありますので、外からですとなかなか聞き取りにくいということでパイロットスイッチが使用されます。
また、外灯のスイッチが家の中にある場合も、パイロットスイッチが赤く光っていれば点灯していることがわかります。
パイロットスイッチのランプ点灯原理
パイロットスイッチの内部回路は、上図のとおり接点と表示ランプを点灯させるためのコイルが直列に接続されています。
パイロットスイッチの内部には、小さな「トランス」が内蔵されており、表示ランプ点灯に適した電圧へと変圧されています。
直列に接続されたコイルはトランスの一次側です。
一次側のコイルに流れる電流に比例した大きさの電流が、トランス二次側のコイルに流れ表示ランプを点灯させます。
コイルと照明負荷が直列になっていることで同じタイミングで電流が流れるので、スイッチ入りの時は表示ランプ点灯、スイッチ切りの時は表示ランプ消灯が成り立ちます。
パイロットスイッチは負荷容量に注意!
実は、パイロットスイッチの容量には0.5A、4A、15Aの3種類があり、負荷の容量により選定する必要があります。
この容量選定を誤ると、表示ランプが点灯しなかったり、内部コイルが焼損する可能性がありますので注意が必要です。
負荷容量が3種類ある理由として、パイロットランプは照明と表示ランプが「同時点灯」させるための回路的な問題があります。
上の点灯原理で説明したように、トランスの一次側コイルと照明が直列に接続されていますので、同じタイミングで同じ電流がそれぞれに流れます。
つまり、コイルに流れる電流量は照明負荷に依存するということです。
内部回路のトランスは、負荷容量に適した巻線比で変圧していますので、適した電流が流れないと不具合の原因となるのです。
負荷が少なすぎる場合は表示ランプ点灯に必要な電流値が不足しているため点灯せず、負荷が多すぎる場合はトランスの容量を超過するため焼損になる可能性がありますので、しっかりと確認しましょう。
【パイロットスイッチの選定方法】
おおまかな選定としては、換気扇は0.5A、照明回路は4A、その他の大容量負荷は15Aです。
しかし、後々の不具合を防止するために、詳細に計算して選定することをおすすめします。
スイッチの点滅回路がわかっている場合は、機器の電力から計算していく必要があります。
機器のラベルや仕様書から使用電力を確認します。
10Wは0.1Aとして計算して問題ありません。
例えば30Wの換気扇の場合は、0.3Aですので0.5Aのパイロットスイッチを選定します。
10WのLED照明が10灯の点滅回路では、10W×10=100Wで1Aとなりますので、4Aのパイロットスイッチを選定します。
Panasonicの適合表も添付しますので、参照ください。
Panasonic適合表
パイロットスイッチの図記号
パイロットスイッチの図記号です。
スイッチの記号にLが付いています。
Load(負荷)のLですね。
「パイロット・ほたるスイッチ」
パイロットスイッチとほたるスイッチの機能を組み合わせた、「パイロット・ほたるスイッチ」というスイッチもラインナップされています。
スイッチ切りの場合は表示ランプが緑に、スイッチ入りの場合は表示ランプが赤く点灯します。
一目でスイッチのON,OFFを確認したい方にはおすすめです。
こちらも、パイロットスイッチと同様、負荷容量がありますのでしっかりと選定しましょう。
まとめ
まとめ
- ほたるスイッチはOFFで光る、パイロットスイッチはONで光るスイッチ
- ほたるスイッチは暗い場所で使用するスイッチ
- パイロットスイッチは機器のON,OFF状況がわからない時に使用するスイッチ
- パイロットスイッチには、内部回路が理由で負荷容量を選定する必要がある