施工要領

【電流測定】クランプメーターの基礎知識と使い方!電流値や漏れ電流を測定しよう!

電気工事における重要計器、クランプメーターの基礎知識と使い方を紹介いたします。

クランプメーターの機能は、「負荷電流」と「漏れ電流」を計測するものですが、様々な場面で活躍しますので、そこも含めて説明します。

特に、設備管理や改修工事屋さんは必須となりますので、是非ご覧ください。

クランプメーターとは

クランプメーターとは、いわゆる電流計です。

電流計は、電気の流れる量である「電流」を測るものですので、使用中の回路にどれだけの電気が流れているかを調べることができます。

従来の電流計は直列接続ですので回路を一度切断し途中に組み込む必要がありますが、クランプメーターは電線をクランプ(挟み込む)するだけで簡単に計測することが可能です。

これは、電線の周囲に発生する磁界からクランプメーターのコイルに電流を発生させることで可能にしています。

活線部分に接触させることなく、被覆をまとった電線の上から安全に測定できるのがクランプメーターの最大の利点ですね。

機器改修時の前後を測定して省エネ効果を確認したり、回路に機器を増設する際に負荷使用量を確認したりなど様々な状況により使用されます。

また、電気の使用量だけではなく、2本の電線を同時にクランプすることで、電線の劣化により発生する「漏れ電流」も計測することができます。

特に、改修工事をする電気屋さんがよく使う印象です。

おすすめのクランプメーターは下記記事を参照ください。

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クランプメーターを使う場面

クランプメーターの使用場面はどういったときでしょうか。

新築工事をする電気屋さんは意外と使用頻度が高くありませんが、既に運用している物件を工事する「改修工事」やビル管理業務や電気主任技術者などの「施設管理」をする方は必須の計測器になります。

機器リニューアル後の電流測定

省エネ効果のある機器をリニューアルした際に、更新前後の電流値を計測しどのくらいの省エネ効果があったのかを確認するために使用したりします。

例えば、最近では照明器具のLED化工事が盛んに行われています。

照明器具の電力使用量は空調設備に次いで多く、建物全体の20〜40%を占めています。

そして、LED化すると一般照明器具に比べ50%の省エネ効果が見込めますので、何百台、何千台となるとかなりの電気代削減になりますよね。

お客様(施主)は実際にどの程度の省エネ効果があるのか、電気代を削減できるのかを知りたいので電流の実測値を測定表に記録して提出します。

ブレーカー開放前の電流値確認

電気工事において、運用している電路を工事する場合、活線状態ですと危険ですのでブレーカーを開放してから工事をします。

もちろんお客様に事前に了承を得てブレーカーを開放するわけですが、広い施設ですと客先内でしっかりと周知されていなかったりする場合があり、急にブレーカーを開放するのは不安がありますよね。

そういった場合に、ブレーカー開放前に電流値を測定し、確実に回路で電気が使用されていないかを確認します。

多少の待機電力がある場合がありますが、数Aなどと表示され明らかに使用しているようでしたら再度客先に確認するようにしましょう。

機器の回路調査

現調で回路調査をする場合にクランプメーターを使用することがあります。

コンセントや照明器具などが、どのブレーカーに繋がっているかを調べたいときですね。

ブレーカーをバシバシ切りながら調査できれば簡単ですが、ほとんどの現場では回路にどんな機器が繋がってるかわからないので安易にブレーカーを開放することはできませんよね。

そのため、回路調査は原則ブレーカーのON、OFFはしないで行います。

回路調査は、ラインチェッカーという専用の計器がありますが、電線に直接接触させてなければいけないということから、照明器具には使えなかったりします。

そんな時に、クランプメーターが活躍します。

分電盤側で、目星いブレーカーの電線をクランプメーターで計測した状態にし、照明器具のスイッチをON,OFFしたり、コンセントに繋がっている機器をON,OFFで動作させます。

機器のON,OFFにより、クランプメーターの電流値が変動すればそのブレーカー回路と断定できます。

実負荷の電流値を測定する

回路に機器を増設したい場合、その回路の容量の裕度がどの程度あるか調べる場合に使用します。

例えば、照明器具を30灯使用している容量20Aのブレーカー回路に5灯(2A)増設したい場合、30灯を全点灯して電流値を測定し、実負荷が12Aであれば増設しても問題ないことになります。

また、トランスやブレーカーの容量が過剰設計である可能性がある場合、幹線ケーブル等で実際の運用状態で実負荷を測定し、あまりにも過剰である場合は設備容量を減らすといった検討もできます。

このように、クランプメーターは机上で算出したものではなく実負荷を測定することができます。

単相3線式の設備不平衡を確認する

単相3線式の場合は、幹線の設備不平衡率を考慮する必要があります。

設備不平衡率とは単相3線式におけるR相(赤)とT相(黒)の負荷バランスのことです。

分電盤を製作する際に、分電盤内のブレーカー配置を負荷が平衡するように設計します。

しかし、実際の運用後に実負荷が想定と違ったり、改修工事の繰り返しにより負荷が増設されていくと、だんだんと両相のバランスが崩れることがあります。

バランスが崩れることにより様々な電気的な不具合が発生しますので、負荷を組み替える必要が出てきます。

そのような場合に、分電盤の幹線のR相(赤)とT相(黒)の電流をクランプメーターで測定し、どの程度電流値に差があるかを実負荷にて調査をします。

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漏れ電流の測定

漏れ電流とは、「漏洩電流」とも言われ、ケーブルから絶縁劣化によって漏れ出ている電流のことです。

通常状態では電流が漏れ出ることはありませんが、湿気やケーブルの劣化により漏れ電流が増加することがあります。

漏れ電流は、電気設備技術基準の解釈により各回路で1mA以下と定められています。

そのため、電気設備の月次点検ではクランプメーターにより漏れ電流を測定し点検を行います。

また、重要設備等の何らかの理由でブレーカーの開放が困難となる回路は、漏れ電流を測定して1mA以下で絶縁抵抗値の良否判定を行うことができます

クランプメーターの使い方

基本操作

測定方法ですが、基本的には電線をクランプでくわえてあげるだけです。

本当に簡単ですよね。

まず、電源ボタンを押し電源を入れます。

次に、クランプの横のトリガーを押すとクランプのクチが開きますので、測定したい電線を挟みます。

※後述しますが、負荷電流は一本のみ、漏れ電流は回路の電線をまとめてクランプします。

ここで挟むというのは、クランプで電線をつまむのではなく、輪っか状のクランプに電線が通る状態にするということです。

この時注意していただきたいのが、なるべく電線をクランプの輪っかの中心に通すことです。

電気工事士の試験にも出てきますよ!

おおきく測定値がずれるわけではありませんが、中心部ですと電線から出る磁束が均等になりますので正確な数値を測定できます。

狭い場所ではやむを得ませんが、広い場所では心がけてみましょう。

電線は輪っかの真ん中に通す

この状態で、表示部分に電流値が表示されますので、電流値を読みます。

ほとんどの機種がオートレンジですが、古いものですと電流値によってレンジを変える必要があります。

この場合は、電流の表示値を読みながら正しいレンジに調整してあげましょう。

狭い場所で表示値が読み取りづらい場合は、ホールドボタンを押します。

ホールドボタンを押すと、押したときの表示値で固定されますので、電線からクランプメーターを取り外してから表示値を読むことができます。

オープンタイプの測定方法も基本的には同じです。

フォークの形状の開口部分を電線に差し込むだけですので簡単ですね!

①電源ボタンを押す
②トリガーを引いてクランプを開く
③電線を挟む
④表示値を読む

負荷電流の測定方法

負荷電流を測定する場合は、回路のうち一本だけをクランプします。

単相負荷、三相負荷どちらの場合も一本のみクランプします。

基本的には、負荷電流の場合は回路のうちどの電線でも問題ありません。

ただ、回路に漏れ電流がある場合は漏れ電流分が片相に流れますので、漏れ電流分電流値が増えます。

両相を測定し値が小さい方が純粋な負荷電流となりますが、大きな差ではないはずですのでどの電線を測定しても問題ありません。

単相幹線ケーブルのような単相3線式の場合は、R(赤)S(白)T(黒)のうちR(赤)とT(黒)を測定する必要があります。

例えばR相(赤)を測定して50AであってもT相(黒)が50Aであるとは限りません。

両相がバランスよく使われていない可能性もありますので、両相をそれぞれ測定した合計値が幹線回路の電流値となります。

負荷電流の測定は回路電線を1本だけクランプ
単相3線の幹線はR相とT相をクランプ

漏れ電流の測定方法

漏れ電流の測定方法は2通りあります。

「回路をまとめてクランプする方法」と「アース線をクランプする方法」です。

・回路をまとめてクランプする方法

前述のとおり、漏れ電流は片相を流れます。

通常の負荷電流はもう片相に戻る流れをしますが、漏れ電流は接地線(アース)へと流れていきますので、その結果、両相に差異が生じます。

クランプメーターは電流の向きをみることができますので、クランプメーターで両相をまとめてクランプすることでその差異を検出(両相で相殺した差分)して、電流値を表示します。

単相2線の場合は2本同時に、単相3線・三相3線の場合は3本同時に、三相4線の場合は4本同時にクランプします。

一括クランプによる漏れ電流測定方法

・単相2線・・・2本同時クランプ
・単相3線、三相3線・・・3本同時クランプ
・三相4線・・・4本同時クランプ

・アース線をクランプする方法

上記の同時クランプする方法は、幹線ケーブルなど太物ケーブルとなるとクランプメーターのサイズ的になかなか厳しくなりますよね。

そのため、一般的には幹線の漏れ電流はアース線をクランプすることで漏れ電流を測定します。

漏れ電流は機器などで接地したアース線を通って大地に落ちます。

そして、B種接地経由で高圧トランスの回路に帰還していきます。

そのような理由から、漏れ電流はアース線をクランプすることで測定できるのです。

測定するアース線は測定したい回路によって変わります。

分電盤の全回路分の漏れ電流を測定したい場合は、分電盤の接地端子に接続されたアースの母線を測定します。

変圧器のバンク全体を測定したい場合は、変圧器に接続されたB種接地線を測定します。

ただ、B種接地線を測定する場合は、高圧活線近接となりますので基本的には建物の電気主任技術者のお仕事です。

くれぐれも工事屋さんが許可なしに安易に測定しないようにしましょう。

アース線で漏れ電流を測定する方法

・分電盤の全回路分・・・分電盤のアース母線
・変圧器バンク全体・・・B種接地線

まとめ

まとめ

  • クランプメーターは設備管理や改修工事でよく使う
  • 負荷電流は一本のみ挟む
  • 漏れ電流はまとめて一括で挟む
  • 漏れ電流はアース線でも測定できる

電源に非接触で安全に電流測定できるクランプメーターの使い方の紹介でした。

電流を測定できるといったシンプルな計測器ですが、様々な場面で活躍する重要なものであることがお分かりいただけたかと思います。

みなさんも現場でたくさん活用してみたくださいね。

それではまた、ご安全に!

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