高圧設備

【高圧】LBS(高圧交流負荷開閉器)とは?

2023年8月30日

LBSは、各変圧器と進相コンデンサの一次側に設置され、保護開閉器として使用されます。

設備容量300kVA以下の場合には、主遮断器としても使用されます。

高圧受変電設備にとってとても重要な機器となります。

今回は、LBSの詳細について詳しく説明していきたいと思います。

LBS(高圧交流負荷開閉器)とは

単線結線図(LBSの設置位置)

LBSは高圧交流負荷開閉器(以下LBS)ともいい、受変電設備における重要機器です。

一般的にはLBSとして呼ばれることが多いです。

各高圧変圧器と高圧コンデンサ回路の一次側に設置され、高圧電路の通常の使用状態における通電と開閉に使用されるものです。

つまり、負荷電流の開閉はできますが短絡保護と過負荷保護はできません

キュービクルの低圧配電盤の、変圧器の真上にあることが多く、目立つ機器ですのですぐにわかると思いますよ。

高圧受電設備規定には、次のように規定しています。

【高圧受変電設備規程1240-4(高圧交流負荷開閉器)】

1.高圧交流負荷開閉器は、JIS C 4605(高圧交流負荷開閉器)に適合するものであること。

2.PF・S型の種遮断装置に用いる高圧交流負荷開閉器の相間及び側面には、絶縁バリヤを取り付けてあるものであること。

3.変圧器等の開閉器として用いるものにあっては、前項に準ずること。(推奨)

4.高圧交流負荷開閉器の定格例(参考)

表1.15 高圧交流負荷開閉器の定格例

定格電圧[kV] 7.2
定格電流[A] 100 200 300 400 600
定格
開閉
容量
負荷電流[A] 100 200 300 400 600
励磁電流[A] 5 10 15 25 30
充電電流[A] 10
コンデンサ電流[A] 10、15、30
15, 4、8、12.5 8、12.5

限流ヒューズと組み合わせて短絡保護(PF付LBS)

LBSは、保護機能がないため、ほとんどの場合、高圧限流ヒューズ(以下PF)を装着して使用します。(PF付LBS)

PF付LBSは、PFとLBSを組み合わせ一体構造とすることで、PFは短絡電流の遮断、LBS負荷電流の開閉の機能を担います。

実は、上で紹介したPFがないLBSは、ほとんど採用されませんので、一般的には「LBS=PF付LBS」で認知されています。

【高圧受変電設備規程1240-6(限流ヒューズ付高圧交流負荷開閉器)】

1.限流ヒューズ付高圧こうルウ負荷開閉器は、JIS C 4611(限流ヒューズ付高圧交流負荷開閉器)に適合するものであること。

2.PF・S形の主遮断装置に用いる限流ヒューズ付高圧交流負荷開閉器は前項による他、次の各号に適合するものであること。

①ストライカによる引外し方式のものであること。

②相間及び側面には、絶縁バリヤが取り付けてあるものであること。

[注]絶縁バリヤは、小動物等の侵入による事故を防止するため設けるものである。

3.変圧器等の開閉用として用いるものにあっては、前項の規定に準ずること。(推奨)。

4.限流ヒューズ付高圧交流負荷開閉器の定格例(参考)

定格電圧[kV] 7.2
定格電流[kA] 200
定格
開閉
容量
負荷電流[A] 200
励磁電流[A] 10
充電電流[A] 10
コンデンサ電流[A] 10、15、30
定格遮断電流[A] 12.5(限流ヒューズとの組み合わせ)

LBSの各部名称と役割

高圧交流負荷開閉器(LBS)の各部名称

【主回路端子台】

主回路の電線(KIPなど)を接続する部分です。上部が一次側(電源側)、下部が二次側(負荷側)となります。

【操作レバー】

LBSを手動で開閉する際は、ディスコン棒で操作レバーを操作します。

奥のフックを押すことで開放、手前の大きい方のフックのくぼみを押すことで投入します。

DS(ディスコン)と違い、3相が同時に動きますので、1回の操作で開閉できます。

投入の際は、接触不良が起きないよう、ディスコン棒を勢いよく押します。

【アークシュート】

主回路接点の刃の白い部分がアークシュートです。

特に高圧回路は、電流が流れている回路を開放すると接点間にアークが発生しますが、そのアークを閉じ込めることにより消滅させます。

LBSはアークシュートの働きにより、通常時使用されている負荷電流を開閉することができます。

【限流ヒューズ(PF)】

短絡電流や過電流を保護するためのヒューズです。

許容値を超える電流が流れると、内部のエレメントが溶断し回路を遮断します。

高い絶縁性を保つために、外側は絶縁筒という陶器となっており、内部は消弧材として砂が詰められています。

VCBのように繰り返しの事故電流の開閉はできず、エレメントが溶断した場合は交換が必要です。

【端子台】

GR(地絡継電器)から地絡検出の信号を受け取るための信号線を接続する箇所です。

【トリップコイル】

地絡検出信号を受け取り、LBSを自動的に開放します。

LBSは主遮断器としても使用される

高圧受変電設備は主遮断器の違いにより、PF・S形とCB形に分類されます。

主遮断器とは、メインとなる遮断器になるもので、分電盤でいうところの主幹ブレーカーと考えるとわかりやすいかと思います。

PF・S形は、主遮断器をPF付LBSとしたものです。

設備容量300kVA以下の設備に対して採用することができ、経済的な遮断装置を得るためにコンビニなどの小規模物件に使用されています。

しかし、この方式では保護継電器(OCR等)と真空遮断器(VCB)を組み合わせたような細かい保護機能がないため、大容量の設備や重要設備に対しては不向きです。

LBSに取り付けるPFは、短絡電流の大電流は問題なく遮断できますが、一般的な過負荷の場合、何Aで何秒で遮断するといった細かい動作ができないためですね。

また、LBSに継電器から信号を受け取れるトリップコイルがありますが、地絡保護(GR)に使うためのもので、過負荷保護に使うことはメーカーからも推奨されていません。

そのため、PF・S形は設備容量300kVA以下ということを覚えておきましょう。

CB形は、主遮断器をVCB等のCBとしたものです。

設備容量300kVA以上の物件に採用されます。

設備容量300kVA以下の設備には、主遮断装置をPF付LBSとすることができる。

高圧受電設備規程には次のように規程しています。

1110-5 受電設備容量の制限

受電設備容量は、主遮断装置の形式及び受電設備方式により、1110-1表のそれぞれに該当する欄に示す値を超えないこと。

1110-1表 主遮断装置の形式と受電設備方式ならびに設備容量

受変電設備方式 主遮断装置の形式 CB形 PF・S形
箱に収めない
もの
屋外式 屋上式 制限なし 150
柱上式 - 150
地上式 制限なし 150
屋内式 制限なし 300
箱に収める
もの

キュービクル
(JIS C 4620(2018)「キュービクル式高圧受電
設備」に適合するもの)

4000 300
上記以外のもの
(JIS C 4620(2018)「キュービクル式高圧受電
設備」に適合するもの)又はJEM 1425 (2011)
「金属閉鎖形スイッチギヤ及びコントロールギヤ」に
適合するもの)
制限なし 300

引用:高圧受電設備規程

ストライカ引外し方式

限流ヒューズのストライカ動作前後

LBSにはストライカ機能が付いたものがあります。

ストライカ式LBSでは、短絡電流等により限流ヒューズが溶断によりストライカ(引き出し装置)が突出し、トリップレバーを動作させて自動的にLBSを開放します。

短絡や過負荷により一相のみPFが切れた場合でも三相同時に開放されるため、欠相運転を防止することができます。

まとめ

まとめ

  • 変圧器とコンデンサの上位に設置
  • ほとんどがPF付LBSが選定される
  • PF付LBSは短絡電流と負荷電流を開閉可能
  • 設備容量300kVA以下は主遮断装置として使用可

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