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ケーブル工事は配管が必要ない?
内線規程の確認(配管内がケーブルの場合、ケーブル配線が適用される)
電気設備の技術基準の解釈や内線規程では、数種類の配線方法を定義していて、それぞれの配線方法に対して規定しています。
電気設備の技術基準の解釈では「〜工事」、内線規程では「〜配線」としています。
内線規程の電線の項目では、次のように規定しています。
3110-1 電線
金属管配線には、絶縁電線を使用すること。3115-1 電線
引用:内線規程
合成樹脂管配線には、絶縁電線を使用すること。
このように、金属管配線や合成樹脂管配線に対する規程は、配管内が絶縁電線である場合の規程となります。
この規程から、配管内にケーブルが収められる場合は、内線規程3165節「ケーブル配線」の規定が適用されます。
ケーブルと絶縁電線の違いは保護シースがあるかないかですが、詳しくは下の記事を参照ください。
ケーブル配線はどこでも露出配線可
絶縁電線については、基本的に露出配線が認められていないので、配管やモール、ダクト内に収めることとなっています。
下の記事でも説明していますので参照ください。
しかし、ケーブル配線の場合は、内線規程3102-1表からもわかるように、どのような場所・環境においても関係なく配線できる最強の配線です。
実際に、天井裏ではケーブルが露出で配線されていますし、外部でも露出で配線されている状況を見るかと思います。
ケーブルを配線する場合において、金属管や合成樹脂管などの配管(モールやダクトなども同じ)は、規程としては場所や環境に応じて配管に収めなければいけないとしているわけではないのです。
ケーブルで配線すれば、仮に配管などに収まっていなくても規程的にはなんの問題もありません。
ほとんどの配線はケーブル工事
建築物の内線に使用されるほとんどは
では、なぜ配管をするのか
ケーブルを露出で配線しても問題ないのですが、配管をする理由として以下があげられます。
これらの場合、規程云々ではなく常識的に施工されます。
保護管としての役割(品質面)
配管は、ケーブルを覆っているので保護としての役割があります。
車や重機が通る部分は衝撃に強い金属管が使用されることが多いですね。
また、屋外であれば雨風にさらされますので、保護管があるのとないのでは、ケーブルの劣化速度に大きな差がでます。
内線規程においても以下のように規定しています。
重量物の圧力又は著しい機械的衝撃を受けるおそれがある場所にケーブルを施設しないこと。ただし、その部分のケーブルを金属管、ガス鉄管、合成樹脂管などに収めるなど適当な防護措置を講じる場合は、この限りでない。
引用:内線規定3165-1
通線できる(施工性)
建築物ができあがる前に先に配管を通しておけば、隠蔽部などでも後からケーブルを通線することが可能です。
コンクリートの埋設や、壁裏のコンセントボックス建て込み配管がそれにあたります。
また、仕様変更や改修工事において、違うケーブルを通したいときでも、やり直しがきくという利点もあります。
見た目の問題(美観性)
天井裏や壁裏などの隠蔽部でしたら問題ありませんが、見える部分がケーブル直で配線していたら見た目も悪いですし、一般的にはあり得ない施工ですよね。
機械室やシャフトなどの壁や天井を作らない部屋は、ケーブルを収めるために配管を使うことが多いです。
一般の居室部分でも、追加工事や物理的に隠蔽が難しい部分は配管が使用されます。
配管不要なのに配管種を使い分ける理由は?
ケーブルで配線する場合は、配管の役割としてはただの保護管ですので、内線規定3102-1表の適用ではありませんので、どの配管を使用しても問題ありません。
しかし、合成樹脂管にはCD管やPF管といった種類があり、CD管とPF管を使い分けられます。
現場では、CD管は基本的にコンクリート埋設にしか使用されず、屋内の配管は全てPF管が使用されている印象です。
一つ目の理由としては、昔は絶縁電線で配線されることが多かったので、慣習的な部分が大きいかと思います。
「CD管=コンクリート埋設用」といった昔からの概念が定着していると考えられます。
二つ目の理由はCD管の色です。
CD管はオレンジ色という目立つ色をしているため、建物との色のイメージが合致しないという問題があります。
三つ目の理由は、PF管は難燃性と耐候性がCD管よりも優れているということです。
防火区画などの壁裏では難燃性であることが好ましいですし、屋外であれば耐候性が重要です。
保護管自体の品質を考えたときにPF管を使うことが推奨されます。
以上のことから、ケーブル工事であれば法的に配管の種別は問題にはなりませんが、品質面等を考えるとコンクリート埋設以外であえてCD管を使う必要はないでしょう。
まとめ
まとめ
- ケーブル配線の場合は、金属管配線や合成樹脂管配線の規程の適用ではない。
- ケーブル配線の場合、法や規程的にはどこでも配線でき配管はいらない。
- 実際は、美観や品質を考慮して、場所に応じて配管される。
- ケーブル配線で配管する場合は、管としての品質を保つためにコンクリート埋設以外の場所はPF管が推奨される。