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【疑問】A種接地、B種接地の接地線を合成樹脂管で保護する理由は?金属管ではいけないのか

2025年3月3日

接地線は、下の記事でも紹介していますが、内線規定により一般的には絶縁電線(IV線)を使用して露出配線してもよいことになっています。

関連記事:【知識】絶縁電線(IV線)は露出配線禁止?接地線(アース)は例外?根拠を基に解説!

しかし、一部の条件については保護管で保護することを規定されています。

さらにA種接地工事とB種接地工事については、電線管で保護する場合、合成樹脂管で保護するよう規定されています。

PASが設置されている構内1号柱に立ち上がっている接地の電線管が合成樹脂管であるのをよく見ますよね。

今回は、こちらについての根拠規程の確認と、なぜそうしなければいけないかを解説していきます。

接地線の保護管について内線規程に規定されている

1350-3 A種、C種又はD種接地工事の施設方法

1.①接地線が外傷を受ける恐れがある場合は、合成樹脂管(厚さ2mm未満の合成樹脂製電線管及びCD管を除く。)などに収めること。

ただし、人が触れるおそれがない場合、又はC種接地工事若しくはD種接地工事の接地線は、金属管(ガス鉄管を含む。)を用いて防護することができる。

[注]避雷針、避雷器用の接地線は鋼製金属管内に収めないこと。

1350-6 人が触れるおそれがある場所のA種及びB種接地工事の接地線並びに接地極

1.③接地線の地表面下75cmから地表上2mまでの部分には、合成樹脂管(厚さ2mm未満の合成樹脂製電線管及びCD管を除く。)又はこれと同等以上の絶縁効力及び強さのあるもので覆うこと。

引用:内線規程

この規程を解釈したものを要約すると、「接地線が外傷を受ける恐れがある場合と、人が触れるおそれがある場合は電線管などで保護する必要があり、A種B種接地工事については合成樹脂管、C種D種接地工事については金属管でもよい」となります。

なお、高圧受電設備規程にも同様なことを規定しています。

【接地線の電線管保護について】
・外傷を受けるおそれがある場合
・人が触れるおそれがある場合
・A・C種は合成樹脂管
・C・D種は金属管でもよい
・避雷針・避雷器用の接地は合成樹脂管

A種接地、B種接地はなぜ合成樹脂管指定なのか

接地している機器などが故障し地絡している状態になると、接地線に電流が流れるため接地極と大地とを十分に絶縁することを示しています。

A種接地は高圧電路の接地ですので重要であります。

B種接地については、低圧と高圧が混触した際に大電流が流れるだけでなく、通常時においても低圧電路の漏れ電流の帰路になっているため常時電流が流れている状態です。

このようなことから、接地線が損傷している場合、金属製の電線管には電流が流れてしまい大変危険なため、A種とB種接地線を合成樹脂管等で覆い絶縁することを規定しています。

外傷を受ける恐れがある部分にも、外傷を防止するために接地線を防護することを示しています。

外傷防護であるため、金属製の方が強度は十分でありますが、人が触れるおそれがあるA種又はB種接地線では、前述の理由により絶縁性のある合成樹脂管を使用することとしています。

また、内線規程の[注]に記載がありますが、避雷針と避雷器用の接地線についても、金属管に納めないことと規程しています。

これは雷サージ電流を考慮したものです。

施工上注意すべき場所

電気室や機械室、室外機置き場などの設備スペースなどは金属管で統一されることがほとんどです。

あえて合成樹脂管で配管するシチュエーションは、隠蔽部のPF管や居室内のみの印象です。

そのため、設備エリアではA種及びB種の合成樹脂管施工を意識しなければなりません。

接地端子盤への配管

接地端子盤

接地端子盤はすべての種類の接地線があつまる場所です。

盤自体が壁掛けが多いということもあり、接地端子盤へ配管している状況はとても多いです。

C、D種は金属管で問題ありませんが、A、B種は合成樹脂管で施工する必要があります。

意外と全て金属管で統一しているという場所もみかけますので、注意しましょう。

PAS設置の一号柱への配管

PAS設置状況

こちらは街をあるいていても良くみかける状況かと思います。

PASが設置されている電柱には、PAS本体を接地するためのA種接地線が地面から立ち上がっています。

これもA種ですので合成樹脂管を使用する必要があります。

内線規程には「接地線の地表面下75cmから地表上2mまでの部分」ということも規定されていますので、施工の際は確認ください。

EPS縦貫通の配管

EPS内、配管縦貫通状況

キュービクルが屋上にあるような物件ですと、接地極を打ち付けている地面から屋上まで接地線を配線する必要があります。

フロアからフロアの立ち上がり貫通はEPSになりますが、配管で施工する場合がありますので、A種及びB種接地は合成樹脂管で施工しましょう。

まとめ

特に大規模物件になりますと、金属管工事が多くなりますので、あえて合成樹脂管で施工する機会は少ないかと思います。

A種、B種接地の配管工事は、合成樹脂管で規定されていることを知識として持っていれば、安全を担保した正しい施工をすることができます。

みなさんもぜひ接地線の配管工事の際は、注意して正しい施工をしましょう。

それではまた、ご安全に!

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