屋内においてCVTケーブルの相互接続するとき、みなさんは接続箱を設けていますか?
ケーブルラックの上などでボックスは設けず露出させているかと思います。
「それって本当はいいの?」
結論から言うと「接続箱は設けなくても良い」が答えです。
「でもVVFや他のケーブルは必ずボックス設けてるけど…」
いつもCVTのジョイントを特に気にせず露出させていたと思いますが、今回はそれがOKであることを根拠規定を交えて説明していきたいと思います。
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ケーブル接続の工法
メーカーからは大きくわけると主に三種類の工法の材料が販売されています。
接続工法の種類
・レジン工法
・常温収縮チューブ工法
・絶縁カバー工法(粘着パテ工法)
レジン工法
レジンとは時間が経過すると硬化し、高い防水性能をもつものです。
レジン工法とは接続部分にプラスチックカバーを被せその中にレジンを注入して硬化させるという工法です。
特徴はプラスチックケースは耐候性となっており、レジン部分はゴム弾性を持つポリウレタン樹脂を使用しているため、接続部は外部衝撃に強く高い機械的強度を保持できます。
完全水没する場所でも使用できます。
常温収縮チューブ工法
バネ状に巻かれたプラスチックの上に絶縁性のチューブが被せられており、接続部に通した後、巻かれたプラスチックを引っ張るとチューブが接続部分に密着します。
こちらはとても施工性が良いですが、T分岐ジョイントには使用できないのが難点です。
また、完全水没する場所では使用できません。
湿気のある場所や多少の水濡れには対応されています。
絶縁カバー工法(粘着パテ工法)
絶縁性のある自己融着性のシートを接続部分に巻きつける工法です。
施工が簡単ですが、常温収縮チューブ工法と同じく多少隙間ができるので完全水没する場所では使用できません。
湿気のある場所や多少の水濡れには対応されています。
ケーブルの接続部の考え方
電気設備技術基準
電力ケーブルの接続に関しては、法的に「電気設備技術基準」の適用を受けます。
電線の接続
第7条 電線を接続する場合は、接続部分において電線の電気抵抗を増加させないように接続するほか、絶縁性能の低下(裸電線を除く。)及び通常の使用状態において断線の恐れがないようにしなければならない
この規格を補足するものとして以下の規定があります。
ポイント
・電気設備技術基準とその解釈
・内線規定
・公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)
↓これらはさらに具体的に書いてありますので順番に解説します。
電気設備技術基準とその解釈
「電気設備技術基準とその解釈」では、ケーブルの接続について以下の規定があります。
電線の接続法
第12条
一(略)
二 絶縁電線相互又は絶縁電線とコード、キャプタイヤケーブル若しくはケーブルとを接続する場合は、前号の規定に準じるほか、次のいずれかによること。
イ 接続部分の絶縁電線の絶縁物と同等以上の絶縁効力のある接続器を使用すること。
ロ 接続部分をその部分の絶縁電線の絶縁物と同等以上の絶縁効力のあるもので十分に被覆すること。
三 コード相互、キャプタイヤケーブル相互、ケーブル相互又はこれらのもの相互を接続する場合は、コード接続器、接続箱その他の器具を使用すること。ただし、次のいずれかに該当する場合はこの限りでない。
イ 断面積8mm2以上のキャプタイヤケーブル相互を雪像する場合において、第一号及び第二号の規定に準じて接続するとき
(イ)接続部分の絶縁被覆を完全に硫化すること。
(ロ)接続部分の上に堅ろうな金属製の防護装置を施すこと。
ロ 金属被覆のないケーブル相互を接続する場合において、第一号及び第二号の規定に準じて接続するとき
「電気設備技術基準とその解釈」の記載から、適当な方法により処理した場合、接続箱を設けなくても良いものと解釈されます。
このため、接続部を設けずにジョイント材などの接続キットを使用しても問題ないと考えられます。
内線規程
内線規程において、ケーブルの接続について以下の規定があります。
3165-5 ケーブルの接続
1.ケーブルを接続する場合は、1335-7(電線の接続)の規定によるほか、導体及び被覆物を損傷しないようにすること。
2,ケーブル相互の接続は、キャビネット、アウトレットボックス又はジョイントボックスなどの内部で行うか、又は適当な接続箱を使用して行い、接続部分を露出させないこと。ただし、次のいずれかによる場合は、この限りでない。
①接続部分及び被覆物が露出しないようにJIS C 2813(1992)「屋内配線用差込形電線コネクタ」に適合するボックス不要形差込電線コネクタなどの接続器具を使用して、敷設する場合。
(注)ここでいう接続器具などによる接続例は資料3-1-3参照。
②やむをえない場合で、ケーブルの絶縁体と同等以上の性能を有する合成樹脂によりモールドした場合又は絶縁チューブ等を使用して十分に被覆し、保護した場合。
(注)ここでいう絶縁チューブ等とは、接続部分のケーブル被覆と一体化し、破壊しなければ取り外せないものをいう。
3.4.5(略)
6.断面積が大きいケーブル相互を接続する場合などであって2項の規定により難い場合は、黒色粘着性ポリエチレン絶縁テープなどを使用して十分に被覆するか、又は絶縁用プラスチックチューブなどをはめることにより十分に保護すること。
公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)
公共工事の際には「公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)」を満たすことが必要となります。
電線の接続について以下の記載があります。
第2章 施工
第1節 共通事項
2,2,1 電線の接続
(1)〜(4)略
(5)絶縁電線相互及び絶縁電線とケーブルとの接続部分は、次のいずれかによる。
(ア)絶縁テープ等により、絶縁被覆と同等以上の効力があるように巻付ける。
(イ)絶縁被覆と同等以上の効力を有する絶縁物をかぶせる等の方法により絶縁処理を施す。
(6)低圧ケーブル相互の接続は、次のいずれかによる。ただし、ケーブル用ジョイントボックスを用いる場合は、この限りでない。
なお、ボックス、金属ダクト等の内部における場合は、(5)によることができる。
(ア)ケーブルの絶縁物及びシースと同等以上の効力を有するよう、適合する絶縁テープ等を巻きつけ、絶縁処理を施す。
(イ)ケーブルの絶縁物及びシースと同等以上の効力を有する絶縁物をかぶせ、絶縁処理を施す。
(ウ)合成樹脂モールド工法により、絶縁処理を施す。
(エ)略
(7)〜(10)略
(11)ポリエチレン絶縁ケーブル又は架橋ポリエチレン絶縁ケーブルのシースをはぎ取った後の絶縁体に、直射日光又は紫外線があたるおそれのある場所は、紫外線に強い耐候性を有するテープ、収縮チューブ等を使用して、紫外線対策を施す。ただし、使用場所に適合する紫外線対策を施したケーブルを使用する場合は、この限りでない。
メーカーの見解
電気設備技術基準→電気設備技術基準とその解釈→内線規定・公共建築工事標準仕様書と順を追って見ていきましたが、内線規定と公共建築工事標準仕様書の下線部分により具体的に規定していることがわかりました。
あるメーカーから見解書をいただいた際は下記のように解釈、判断し自社製品を説明していました。
内線規程における見解
接続箱(ジョイントボックス)を用いない場合としての規定において、当社レジン工法は内線規定3165-5 2項②に記載された「合成樹脂によるモールド」に該当し、常温収縮チューブ工法は内線規定3165-5 2項②に記載された「絶縁チューブ等を使用して十分に被覆し、保護した場合」に該当し、当社カバー工法は6項に該当します。このため、接続箱を設けずに上記当社接続部を使用しても問題は無いと判断しております。
公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)における見解
低圧ケーブルの接続につきましては、接続箱(ジョイントボックス)を用いない場合としての規定において、当社常温収縮チューブ工法は公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)第2章第1節(6)(イ)項に、そしてレジン工法は(6)(ウ)項に該当し、使用しても問題は無いと判断しております。また、(11)項の場合につきましては、当社接続部のすべての工法においてケーブル絶縁体は耐候性のある部材により覆うようにしております。
総合見解
以下規定(「電気設備技術基準」「電気設備技術基準とその解釈」「内戦規定」「公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)」においては、低圧接続には必ずしも接続箱を用いて接続しなくても良いと考えております。このため、弊社製低圧ケーブル直線接続・分岐接続材(レジン工法・常温収縮チューブ工法・絶縁カバー工法)はご使用いただいて問題ないと解釈しております。
結論・まとめ
以上のことから、CVTの接続はジョイントボックスを設けなくても良いという結論です。
だだし、ただビニールテープを巻きつけるだけではダメですよ。
メーカーから販売されている規定をクリアしたジョイント材を使用してください。
メーカーからは各規定に紐づけて自社製品を使っても問題ないと解釈しています。
逆を言うと各規定をクリアできる製品を開発しているのです。
CVTほどの太物ケーブルに毎回ボックスを設けていたら相当の手間とコストですからね。
このように普段何気なく施工している部分にふと疑問を持って電技や内線規定を広げてみるのも面白いですよ。
それでは、みんなで協力して良い仕事をしましょう。
ご安全に!