接地抵抗計はアース(接地)自体の品質を調べるための重要な計器です。
電気工事の「三種の神器」といわれるものの一つですね。
電気工事業者登録の際に、備え付け工具として必ず所持していなければいけない計測器となります。
様々な種類が販売されていますので、測定する状況や自分の職種と合わせて適正となるものを使用しましょう。
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接地抵抗計とは電気の流れやすさを測るもの
電気が漏電することによる人体の感電・火災を防ぐために、建物には接地が施されています。
接地は大地(地面)に接地極が埋設され、漏電した電気を地面に適切に逃がすための電路となります。
その電路は、漏電した危険な電気を優先して大地に流す必要があるため、人体より抵抗(抗う力)が低くなければなりません。
その抵抗値を測定するために、接地抵抗計を使用します。
そのため、接地抵抗は値が低いほど電気が大地に流れやすいため良好ということです。
新築の接地工事の際や、既存の建物の保守点検の際に、規定の抵抗値より低い値であるかをチェックするのです。
接地工事の種類や、抵抗値については下の記事を参照ください。
接地抵抗計と絶縁抵抗計(メガー)との違い
接地抵抗計と絶縁抵抗計はどちらも電気工事において重要な計測器となりますが、用途が全く違います。
接地抵抗計は前述の通り、接地線(アース)の電気の流れやすさを計測するものです。
つまり、地面と接地線の間の抵抗値となります。
対して、絶縁抵抗計は電路(通常電気が流れる電線)と接地線(通常電気が流れない電線)間の絶縁を測定するものです。
私たちが使用する照明やコンセントに繋がれた電線は通常電気が流れていますね。
接地線は漏電等の異常時のみ電気が流れるため通常は電気が流れてはいけない電線です。
電路と接地線が接触してしまった時、電気が漏れてるということですので、この二つの線が接触していない(絶縁されている)ことを確認するために絶縁抵抗測定を行います。
そのため、絶縁抵抗は抵抗値が高いほど良好といえます。
このように両者は使用する目的が違います。
接地抵抗測定→接地線の電気の流れやすさ
絶縁抵抗測定→電路と接地線間の絶縁
接地抵抗計の選び方
デジタルかアナログか
こちらは好みになりますが、デジタル表示とアナログ表示があります。
アナログ表示は、針の振れが目視でわかりますので、測定している感覚としてわかりやすいかと思います。
デジタル表示は測定値がそのまま表示されますので、細かい測定記録を求められる公共工事などにおすすめです。
簡易測定(2極法)か精密測定(3極法)か
接地抵抗測定は補助極を10mおきに2箇所、地面に仮打ちしないといけません。
簡易測定(2極法)は補助極を打たずに測定できますので利便性が高くなっています。
しかし、2極法は正確な値ではありませんので、既設の建物では簡易的な点検用として使用されます。
また、D種接地のみ測定可能であり、測定時にB種接地が必要となりますので、使用範囲はかなり限定されます。
2極法を使う場面としては、ローカル側(分電盤や末端機器など)で分電盤や機器のアースを単体で測定したい場合などに活用できます。
例えば、ポンプ室や機械室の機器に緑の線が繋がっているけど本当にこれは接地されてるかな?といった場合ですね。
また、接地付コンセントもニュートラルからB種接地をとれますので、2極法で接地抵抗値の確認ができます。
多機能タイプ
接地抵抗測定に絶縁抵抗測定機能や電流測定機能がついたものが販売されています。
多機能なため、高価となりますが、自分の作業効率を考慮して検討してみてはいかがでしょうか。
この作業にはこれを使うなど、機能ごとに計測器を揃える方も多いのでこちらも好みとなります。
おすすめの接地抵抗計
おすすめの接地抵抗計を紹介します。
どれが正解というわけではなく、自分がどの職種でどのような作業状況かを考慮して選定しましょう。
また、機能面以外では上述したように好みの問題でもあります。
共立電気計器アナログ接地抵抗計MODEL4102A-H
こちらは接地抵抗計のど定番といったところです。
ロングセラー商品で多くの電気工事屋さんが愛用しています。
アナログ表示ですのでわかりやすく、3極法・2極法の両方に対応しています。
ハードケースに収納されていますので、保管も安心ですね。
機能は接地抵抗計のみですので、値段は割と安価です。
接地工事を施工する電気工事屋さんにおすすめです。
ポイント
・アナログ表示
・3極法、2極法に対応
・ハードケース収納
・電気工事屋さんにおすすめ
共立電気計器 KEW4105DL-H
こちらはデジタル表示の接地抵抗計になります。
2極法、3極法対応ですので電気工事屋さんにおすすめです。
また、防水仕様ですので、接地工事など外作業でも安心ですね。
こちらもハードケース収納タイプとなります。
ポイント
・デジタル表示
・3極法、2極法に対応
・ハードケース収納
・電気工事屋さんにおすすめ
・防水仕様
日置電機 FT6031-50
日置電機からデジタル表示の接地抵抗計です。
2極法、3極法に対応し、防塵・防水仕様となります。
完全防水のため、水洗い可能ですので常に綺麗な状態で使用できます。
また、ワイヤレス化対応しており、別売のワイヤレスアダプタを使用することにより、スマホやタブレットに測定値を転送することができます。
現場写真や測定記録表などの書類を素早く作成することができますので、電気工事屋さんだけではなく施工管理業務を行う方にもおすすめです。
測定値の報告書を作成する施設管理業務や電機主任技術者さんにもおすすめです。
ポイント
・デジタル表示
・3極法、2極法に対応
・完全防止、水洗い可
・ワイヤレス転送機能
・様々な業種におすすめ
共立電機計器 KEW6023
こちらは、接地抵抗測定機能に加え絶縁抵抗測定機能が備えられています。
二つの機能を一つにまとまっていますので、日々の業務で定期点検等、計測器を持ち歩いて計測のみを行う方に適しています。
また、USB接続によりPCに計測データを転送できますので、書類作成を効率に行うことができますね!
多機能ということで、接地抵抗計と絶縁抵抗計を合わせたくらいの価格帯となり、高価です。
ポイント
・デジタル表示
・3極法、2極法に対応
・絶縁抵抗測定機能付き
・USB転送機能
・施設管理、電機主任技術者、施工管理業務におすすめ
・多機能タイプのため高価
日置電機FT6380-90
こちらはクランプ式の画期的な接地抵抗計です。
クランプするだけで接地抵抗値を測定できます。
また、60Aまで電流値の測定が可能で、ワイヤレス対応でPCにデータ転送できます。
注意点は、測定の対象範囲が多重接地のみということですが、利便性はかなり高いです。
化学プラントの貯蔵庫や、送電線の鉄塔などが多重接地されています。
プラント施設の専任電気主任技術者さんにおすすめです。
利便性が高く多機能ですが、かなり高価となります。
ポイント
・デジタル表示
・クランプによる測定
・60Aまで電流値測定可
・ワイヤレス対応
・対象範囲は多重接地のみ
・プラント従事者におすすめ
共立電気計器 KEW4300
共立電気計器からペン型タイプの接地抵抗計です。
こちらは簡易測定の2極法のみの対応です。
付帯機能としては電圧測定機能(真の実効値)がついています。
2極法による測定ですので、D種接地に限られることから、ほぼ住宅が対象となります。
しかも測定の際はB種接地が必要になりますので、既設物件ということで対象範囲がかなり限られてしまいます。
そのため、接地極の埋設工事や接地端子盤の測定には向きません。
ローカル側の分電盤や機器の保安点検に活用できます。
保安点検に向きますのでビル管理や電気主任技術者さんにおすすめです。
また電圧測定機能が付いてますのでDIYなどの個人所有にもおすすめです。
機能が限られていますのでとても安価となります。
ポイント
・デジタル表示
・2極法のみ対応
・電圧測定機能付き(真の実効値)
・保安点検やDIYにおすすめ
まとめ
まとめ
- 好みや職種を考慮し選定する
- クランプ式は多重接地のみ
- 接地極埋設工事は3極法
- 2極法では、既設住宅のみ
漏電した電気を安全に大地に逃がす接地の測定をする、接地抵抗値の紹介でした。
多機能タイプは高価となりますので、ご自身の作業状況を考慮して選定しましょう。
それではまた、ご安全に!