災害事例

【災害事例】動力盤ブレーカーの電圧測定中テスタープローブで相間短絡し炎症

2022年4月14日

ブレーカーにて電圧測定中の災害事例です。

テスターの正しい使用方法をしっかりと理解していれば防ぐことのできた災害です。

それでは本事例をもとに一緒に再発防止策について確認していきましょう。

 

災害の概要

表題:動力盤MCBの電圧測定中テスタープローブで相間短絡

概要

新築現場にて動力盤MCB(3相3線200V)の使用前点検としてテスターで電圧測定を実施していた。

測定者はブスバー(銅バー)にテストリードのプローブを当てていたため、手が滑りR相とS相が相間短絡しスパークし被災した。

プローブの先端はR相に当てた状態でプローブの側面がS相に接触した。

被災者はスパークにより顔と首を炎症、銅バーの短絡部分は焼損。

被災者はヘルメットと電気用絶縁手袋は着用していた。

発生原因

MCBの端子部ではなく銅バーで測定していた。

絶縁被覆なしのプローブを使用していた。

ブレーカーの銅バーでテスタープローブが当たり相間短絡

 

再発防止策

 

測定箇所は必ずブレーカーの端子部で

本事例では測定者は銅バーで電圧測定していました。

銅バーの相間は仕切りがなく、相間の間隔も狭いため少しずれると短絡事故になりますので、これはとても危険な測定方法です。

ブレーカーの端子部でしたらビスの溝で滑る可能性は低くなります。

また、直接的に災害とは関係ありませんがブレーカーの一次側で測定していることも問題があります。

回路の測定のはずですが、一次側でしたら意味がありません。

一次側の銅バーは幹線から各ブレーカーに分岐されている部分ですので全箇所繋がっています。

回路ごとの測定はできません。

ということで測定箇所はブレーカーの二次側の端子部分、これが原則になります。

 

プローブに絶縁チューブを付けて測定する

プローブの金属部分の露出が大きいと、短絡する可能性が高くなります。

絶縁チューブはテスターに付属していますので必ず装着するようにしましょう。

絶縁チューブを取り外す場面は、コンセントや速結端子になっているブレーカーなど測定箇所が露出していない場合に使用します。

絶縁チューブを装着していると測定箇所まで届きませんのでそういった場合のみ取り外します。

測定箇所が露出している場合は絶縁チューブを装着することで安全に測定できます。

 

絶縁キャップを付けていない状態 金属露出部分が多い

絶縁キャップを付けている状態 露出部分は先端のみ

 

測定は二人で実施する

電圧測定に限りませんが、測定作業は二人で実施するのが好ましいといえます。

測定者と記録者に分かれ、測定者が測定値を読み上げ記録者が記録表に記入する方法が一般的です。

これは二人でダブルチェックすることにより記録ミスを防止できるという理由もありますが、記録者がテスター本体を持ってあげることで測定者が両手で測定できるというメリットもあります。

よくテスターを箸みたいに片手でもって測定している場面が見受けられますが、この方法は大変危険です。

片手ですと安定しませんので短絡の危険性が高まります。

もし片手で測定している人を見かけたら、「持ちますよ」と声をかけてあげるとすごく親切ですね。

 

最後に

今回の事例は軽症で済みましたが一歩間違えれば感電災害になりかねないとても危険な事例です。

人体的な被害はもちろんですが、短絡したことによって盤の主幹がトリップし対象の設備が一切使用できなくなりました。

また、銅バーが焼損していますので復旧工事にコストがかかりますし、復旧までの期間は設備を使用できません。

大きなコスト被害、それに大勢の人に迷惑がかかってしまします。

テスターを正しく使用し、二人で安全に作業すれば防げた災害です。

一箇所の短絡事故で広範囲に影響を与えてしまい怪我人も出るという大事になることが今回の教訓ですね。

それではまた、ご安全に!

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