今回は複線図なしでスイッチ結線する方法を紹介していきます。
電気工事士試験の実技では複線図の書き方を覚えて、複線図を見ながら結線していたと思います。
資格を取得していざ現場で実践となると最初はなかなかうまくいかないですよね。
現場でもらう施工図は単線図ですが、時間の余裕がありませんので、わざわざ複線図を書くなんてことはしません。
しかし、考え方のコツを掴めば難しいことではありません。
ざっくりとしたコツは複線図を頭の中で描くのではなく、順番に繋いでいくといったイメージです。
電気の流れをイメージすれば自ずとできるようになります。
スイッチ結線の考え方のコツを掴み複線図なしで結線ができるようになる記事となりますので、是非ご覧ください。
もちろん電気工事士取得の方には実技試験の時間短縮に役立つ情報となります。
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まずスイッチ結線の本質を考える
スイッチ結線は電源と器具の間にスイッチを挟み込み入切できるようにすることが本質となります。
みなさんはただただ複線図を機械的に覚えて書いてそれ通りに結線していないですか?
私も最初はそうでした。
電気は電源(ブレーカーからくる線)が基になりますね。
そして電源は2本の電線があります。電気は閉じた回路でしか電流が流れないので、この2本の電線の間に器具が入り負荷(抵抗)となることで初めて電流が流れます。
そのため2本の電線(電源)の間に器具とスイッチが入ります。
要は電気の流れをイメージするということですが、基本的には電源の黒線(live)から始まり白線(ニュートラル)に帰ってくるとイメージすればわかりやすいです。
交流ですので厳密には違いますが直流と同じ考え方をし、入りと出をイメージして自分の中のルールを作るということです。
これは200V回路でも共通する事項です。次に詳しく説明します。
複線図なしでスイッチ結線する方法
単純なスイッチ結線の場合
先ほど、電気の流れは電源の黒線から始まり白線に帰ると言いましたが、これが基本となります。
100V電源は黒線に100V、白線は0Vとなりますので安全の為に黒線側をスイッチで切ることがスイッチ結線のルールです。
電源と器具の間にスイッチが入ります。電源が器具に入る前にスイッチで入切したい!みたいなイメージで大丈夫です。
そのため電気の流れは「電源→スイッチ→器具→電源」となります。
スイッチも器具も電気の流れは黒線から白線です。
あとはこの流れとルールで順番に繋いでいく、これだけなんです。
複線図を頭で描かなくても、順を追っていけば完成です。
ポイント
・電気の流れをイメージする
・流れは電源の黒線から始まり電源の白線に帰る
・電気の流れは黒線→白線が共通事項
・電源→スイッチ→器具→電源と順番に繋ぐ
電源が一つでスイッチが二つある場合
電気工事士試験の実技は全てこのパターンですよね。
電源が二つであれば上記の方法を二度繰り返せばいいわけですが、電源が一つですのでスイッチへの芯数が多くなります。
このパターンの場合、スイッチへ配線する芯数=点滅数(スイッチの数)+1本でしたね。電源の黒線はスイッチ同士で渡らせて共用するので1本、各スイッチが器具へいく電線があるのでスイッチの数分あるのでこのような本数となります。
今回はスイッチが2個で説明します。スイッチが2個ですので、プラス1本でスイッチには3芯が入ります。
この場合も「電源の黒線から始まり白線に帰る」と「電源→スイッチ→器具→電源」の大原則は変わりません。
上記の一般的なスイッチ結線にスイッチが一つ増えただけです。下の画像のようにスイッチと器具が並列に一つ追加されたような回路をイメージすればよいかと思います。
それでは電気の流れのイメージをして繋いでいきましょう!
①まず、最初の電気の流れは電源からスイッチでしたね。電源の黒線とスイッチの黒線をつなぎます。
②次の電気の流れはスイッチから器具でしたね。スイッチから器具にいく電線(帰り線と呼ばれます)は2本ありますので、点滅させたい器具とスイッチをそれぞれつなぎます。
③最後は器具から電源に帰りますよね。器具の白線と電源の白線をつなぎます。この場合、器具の白線はスイッチの点滅数だけありますのでまとめて繋ぎますので注意しましょう。この場合は器具の帰りが2本と電源の白線なので3本まとめて繋ぎます。
並列なので2系統の流れを確認するとちゃんと「電源→スイッチ→器具→電源」となっていますね。
このように順を辿れば混乱することはありません。
ポイント
・電気の流れの大原則は変わらない
・電源の白線に繋ぐ本数はスイッチの数分あるので注意
三路スイッチの場合
三路スイッチも同様に「電源の黒線から始まり白線に帰る」と「電源→スイッチ→器具→電源」の大原則は変わりません。
三路スイッチは二つのスイッチを使ってどちらでも入切できるようにした回路です。
一般的な回路にスイッチが直列に一つ多くなったと考えればよいかと思います。(スイッチとスイッチの渡りは並列ですが)
なので、電気の流れとしては「電源→スイッチ→スイッチ→器具→電源」となりスイッチが一つ多くなります。
この流れをイメージし、順を追っていけば混乱することはありません。
それではやっていきましょう!
①まず電源からスイッチでしたね。電源の黒線とスイッチの黒線(器具側は0と記載されている)を繋ぎます。スイッチは二つありますが順番はどちらからでも問題ありません。
②次はスイッチからスイッチですね。これはスイッチの3芯のうち残り2本(器具側は1と3で記載されている)を次のスイッチと繋ぎます。同じ色を繋ぐだけです。厳密に言うとスイッチ器具側の同じ番号を繋ぎます。1と1、3と3ですね。スイッチ器具側も間違ってないか確認しましょう。
③次はスイッチから器具ですね。スイッチの黒線と器具の黒線を繋ぎます。
④最後に器具の白線と電源の白線を繋ぎます。
電気の流れを確認すると「電源→スイッチ→スイッチ→器具→電源」となっていることがわかると思います。
コンセントはそのま電源へ
コンセントのようなスイッチを挟まないものを「生電源」といいます。
当たり前ですが、生電源は電源にそのまま繋ぎます。電源がそのまま欲しいわけですからね。
コンセントの他にも、電気工事士の実技試験でもよくでますが、ジョイント(スイッチ結線)が2箇所ある場合がありますよね。
一箇所はリングスリーブでジョイント、もう一箇所は差込型コネクタでジョイントみたいな感じです。
ジョイントからジョイントへの渡り線は生電源ですから電源の黒線と白線に何も考えずに繋ぐだけです。
ポイント
・生電源は電源にそのまま繋ぐ
・スイッチのないコンセントやジョイントの渡り線
アース線はまとめて繋ぐ
アース線は全部繋がってないといけませんから全部まとめて繋ぎます。
緑で配線されていると思いますので緑線は全部まとめてつなぐと思ってもらって問題ないです。
ただ、スイッチの帰り線に緑を使われていることがあるので注意が必要です。
実践してみよう
上記の方法を踏まえて実践してみましょう!
電気工事士試験や実際の現場作業ではこれらが組み合わさって複雑化したものです。
ただ、電線の本数が増えても大前提のルールと手順を踏めば混乱しません。
何度も申し上げますが、
・「電気の流れをイメージする」
・「電源の黒線から始まり白線に帰る」
・「電気の流れは電源→スイッチ→器具→電源」
・「生電源は電源に直接繋ぐ」
・「アース線はまとめて繋ぐ」
これらの事項をおさえれば完璧です。
あと電線の本数が多くなる場合は先に接続しないで、電線をまとめておき最後に接続すると間違いがないかと思います。
順を追って繋ぐと言いましたが、順番に接続する電線をまとめておいて最後に接続するといった感じです。
それでは例をもとにやっていきましょう。
仮に下の図のような回路をスイッチ結線するとします。
電源が一つ、照明が二つ(イとロ)、スイッチが二つ、コンセントが一つ、電源送りが一つですね。
これを一箇所でジョイントします。
複雑そうに見えますが順番にやれば大丈夫です。
①まず電源の黒線から始まりますね。電源の次はスイッチでしたね。他に電源に繋がなければいけないものは生電源、つまりこの回路ですとコンセントと電源送りです。なので電源の黒線とスイッチ、コンセント、電源送りの黒線の合計4本を繋ぎます。
②次にスイッチの次は器具でしたね。スイッチの残り2本をイ、ロそれぞれの器具の黒線に繋ぎます。
③次に器具の次は電源に帰ります。あと他に電源に繋がなければいけない生電源がありましたね。電源の白とコンセントの白線1本、電源送りの白線1本、器具の白線2本の合計5本を繋ぎます。
④最後に電源のアース線とコンセントと電源送りのアース線を繋いでおしまいです。
もう一つのコツ
電気の流れを理解することが前提ですが、慣れてきたらわかりやすい場所から繋いでいってしまうというのもコツの一つです。
本数が多くなってくると複雑化して「あれ、一本あまった」みたいなことになることも。
間違えの少ない箇所から結線していき、本数を徐々に減らしていくという方法です。
例えばアース線は分かりやすいですよね。アース線を先に結線して本数を減らします。
次にスイッチの帰りと器具は一本同士なのでわかりやすいかと思います。こちらも先に結線します。
電源に繋ぐ本数が一番多くなる部分ですので、電源を最後にするという方法です。
最後に
いかがでしたでしょうか?
これで複線化せずに現場でスイッチ結線できますね。
おさらいです。
おさらい
- 電気の流れをイメージする
- 電源の黒線から始まり白線に帰る
- スイッチや器具も黒→白が基本
- 生電源は電源にそのまま繋ぐ
- アース線はまとめて繋ぐ
この記事がみなさんの現場作業のお役に立てれば幸いです。
それではまた、ご安全に!