災害事例

【不具合事例】スイッチボックス内でボディビスがIV線を貫通し漏電

2022年4月11日

電気工事の不具合事例の紹介です。

施工不良によるもので、割とよくある事例といえます。

コンセントやスイッチの設置後の不具合ですが、注意しないと漏電に繋がるものです。

 

不具合の概要

 

表題:スイッチボックス内でボディビスがIVを貫通し漏電

概要

現場竣工後、機械室にて客先職員が照明スイッチを操作した際、スイッチプレートに単相100がかかっており感電。

現場状況

職員は片側の手で近くの分電盤筐体に触れながらスイッチプレートに触れ感電。

プレートは新金属プレートが取り付けられていた。

新築工事中は誰も気づく者がいなかった。

発生原因

ボディビスがIV線を貫通し、ボディビスを伝って新金プレートに電圧がかかった。

ボックス内でIV線がかなり長めにとられており、ビスと接触する可能性が高い状況であった。

適切な長さのボディビスを選定していなかった。(ビスが長すぎた)

職員が接地された盤に触れることにより閉回路が形成され感電した。

ボディービスがIV線に食い込み地絡した状況

 

 

 

 

再発防止策

適切なビスの長さを選定する

「ビスの長さが長かった」これが直接的な発生原因となります。

木造で使用されるスイッチボックスはビスの受け側が全て覆われている構造なので、ビスを電線で挟んでしまう心配はないのですが、LGSに使用されるアウトレットボックスはビスが剥き出しの状態ですので注意しなければなりません。

 

スライドボックス

出典:未来工業

↑木造用ボックス(スライドボックス)

ビス周りは覆われている

アウトレットボックス

出典:未来工業

↑LGS用ボックス(アウトレットボックス)

ビスは剥き出し状態

 

ボードの厚みあるいはその他の仕上げ材によって適切な長さのボディビスの選定しなければなりません。

耐火区画の壁などはボード厚が50mm程になります。

また、家具などの造作品にコンセントなどを取り付ける際はさらに仕上げ部分が厚くなることもあります。

そのため、配線器具付けの際は色々な長さのボディビスを用意し、「しまった長いのしかない」なんてことのないようにしましょう。

 

 

ボックス内のIV線を短くする

IVは電線に分類され被覆が剥がれていますので、ケーブルよりも外傷を受けやすくなっています。

ですので電線はできる限り短くしなければなりません。

たまにボックスの中でIV線がとぐろを巻いているようなものを見かけますが、長ければボックスとの接触する面積が増え外傷につながります。

また、今回の事例のようにビスに接触するリスクも増えるということです。

コンセント交換の際などを考慮し、IVの長さに少し余長をみておきたい気持ちはわかります。

ただし、何事も適切が肝心です。

100mmくらいの長さで剥けば長すぎるということもありませんし、コンセント交換にも対応できるかと思います。

 

 

使用前検査では気づかなかった件

これは本当に難しい問題です。

今回は職員が感電するまで漏電に気づくことはなかったのですが、使用前検査(対地絶縁抵抗測定)では良好でした。

これはボックスが樹脂製であったためLGSなどの接地されたものと導通することがなく、漏電している新金属プレートが完全にアースから絶縁されていたためです。

新金属プレートは単に通電され電圧がかかっているだけで地絡には至らなかったのです。

絶縁抵抗測定でも発見できず漏電遮断機もトリップしません

それではどうすれば事前に発見できたのでしょう。

 

①新金プレートと接地体(LGSなど)間の電圧測定をする。

こうすることにより新金プレートに電圧が確認できれば漏電していることになります。

 

②検電器をあたる

こちらも電圧を確認するということで同じことですね。

 

しかし、一般的にこれらを使用前点検で実施することはまずありませんし現実的ではありません。

施工者一人一人が上記の注意事項に対して意識を持つこと、そして施工管理者は施工者に対してしっかりと注意事項を周知する。これが一番の再発防止策ではないかと思います。

 

最後に

実際にあった事例ですのでこれを見ていただいた方には是非注意事項を守り実践していただきたいと思います。

お客様を感電させてしまったら責任は免れません。

ビス一本で大変な不具合に繋がる。これがこの事例の教訓ですね。

それではご安全に!

 

 

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