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テスターで線間の抵抗値を測定し短絡状態を確認しよう
分電盤のブレーカー投入前の使用前点検として皆さんは対地絶縁抵抗測定(メガー)を実施されているかと思いますが、実はそれだけ不十分とまでは言いませんがもう一手間加えると好ましい、高品質の施工といったことを紹介します。
結論として、実際に何をすればいいのかというと「線間の抵抗値を測定する」です。
対地絶縁抵抗は地絡を調べるものですね。
短絡状態を調べる方法は2種類あります。
短絡状態を調べる方法二つ
・絶縁抵抗測定器により線間絶縁抵抗測定を実施する
・テスターを使用し線間の抵抗値を測定する
この二つの方法のうち線間絶縁抵抗測定では照明器具等の線間が閉じてる回路には使用できません。
その場合は、テスターを使い線間の抵抗値を計測し短絡状態を調べましょうということです。
下記になぜテスターを使うのかと測定方法を説明します。
また、線間の抵抗値を測定するためのおすすめマルチテスターはこちらで紹介してますので参照ください。
【計器】電気工事のおすすめマルチテスター5選!使い方も紹介!
なぜ線間の抵抗値を測定するのか?対地間メガだけじゃダメ?
誤結線での短絡状態の確認
電気設備技術基準では電線相互間と電線と大地間で測定することになっていますが、電線相互間は省略してよいことになっています。
ですので、ブレーカーの投入前、意外と対地絶縁抵抗測定だけで済ませてしまっている方多いのではないでしょうか。
負荷が正しい施工をされていない場合、地絡または短絡によりブレーカーがトリップしますよね。
その状態では負荷側に不具合がありブレーカー投入できない状態ということです。
さて、よくある不具合はどんなものがあるかといいますと以下の二つです。
①ビスや軽量材でケーブルが挟まり、鋼材等を経由して地絡している。
②ケーブルを器具に結線する際に誤結線している。
①の場合は、地絡=アースと電路が触れているということですので対地間絶縁抵抗測定で発見できます。
②の場合ですが、誤結線には2パターンあります。
②ー1電源線とアース線をひっくり返して差し込んでいる。
この場合コンセントでは相間に内部回路がないためメガーで確認できませんが、複数台渡っている照明器具の場合内部回路を伝って地絡状態となります。
❇︎(コンセントはNEテスターで誤結線を確認します。)
そのため、このパターンは対地間絶縁抵抗測定で発見することができます。
②−2照明器具の渡り端子に同じ回路の2相を差し込んでいる。
上記はメガーで発見できますが、問題となるのがこのパターンです。
このパターンは渡りの端子間は導通していますので完全に短絡状態となります。
この場合、回路がアースに接触しているわけではないので対地間絶縁抵抗測定では発見できません。
このような場合にテスターの抵抗レンジを使って回路の短絡状態を確認します。
最悪の事態を防ぐためにも事前に短絡状態の確認を
確認せずにブレーカーを投入すれば短絡トリップによってブレーカーが開放されます。
そうすれば確かにその回路に不具合があることがその瞬間に確認できますが本当にそれでいいのでしょうか。
短絡するということはケーブルに短絡電流が流れるということです。確かに一瞬の短絡電流でしたら問題ないかもしれませんが、短絡電流が流れていないケーブルのが品質的には高いのは当然です。
また、短絡した回路系統が仮に保護協調が取れておらず上位の回路まで停電してしまったら関係のない設備まで電源を落とすことになりお客様に多大な迷惑をかけることになります。
これらは施工側のミスとなり、最悪の場合責任問題にまで発展してしまいます。
よって短絡状態を発見するために抵抗値を測定することが好ましいということです。
おすすめ絶縁抵抗測定器は下記の記事を参照ください。↓
【メガテスター】絶縁抵抗計(メガー)の選び方とおすすめ商品を紹介!
なぜ線間絶縁抵抗測定ではダメなのか
短絡状態を調べるなら線間メガーじゃダメなの?と思われるかもしれませんが、テスターでなければいけない理由が二つあります。
ELB(漏電遮断機)に線間メガーは厳禁!
ELBは漏電検知用の電子回路が内臓されているので、線間メガー測定時は内部回路の抵抗値が表示され正しい計測ができません。
内部回路で相間で抵抗を介して短絡している状態です。
また、メーカーによっては電圧印加により内部回路の故障の原因になると取扱説明書に記載されています。
ですのでELBには線間メガーをかけないようにしましょう。
二次側を離線すれば測定可能ですが、かなり手間となりますのでテスターで抵抗値を測定することをおすすめします。
ELBのオプション装置でメガ測定スイッチというものがあり、そちらの装置が付いているものは線間でも測定可能となります。
照明器具には内部回路があり正確な数値が出ない
照明器具、非常灯などにいえることですが、光源を発光するために内部回路で相間が短絡している状態となります。
そのため線間絶縁抵抗を測定すると0を表示します。
内部に電子回路があるのでELBと同じことです。
昔の直管型の蛍光灯や白熱電球タイプの照明など球を外すと測定できるものもありますが、手間がかかりますし測定箇所の間違えや球の復旧し忘れなどリスクがありますので何も考えずテスターでの測定をおすすめします。
テスターでの測定方法
線間の抵抗値を測定するためのおすすめマルチテスターはこちらで紹介してますので参照ください。
【計器】電気工事のおすすめマルチテスター5選!使い方も紹介!
測定方法
①まず対象の回路のブレーカーを遮断します。
②テスターを抵抗レンジにします。導通チェックのレンジですと抵抗が低い場合音が鳴ってしまいますので抵抗レンジでしっかりと数字としてチェックしましょう。
③ブレーカーの各相にテスターのプローブを当てます。色はどちらでもOKです。三相でしたらR-S、S-T、T-Rの三箇所当てます。
抵抗値がしっかりと出ていれば短絡していないことがわかります。
もし短絡していれば0Ωと表示されます。
測定値の目安
機種やタイプによって様々ですが照明器具であれば数百KΩ〜数MΩの数値が出ます。
かなり大雑把ですが一般的なLEDですと数百KΩ程、非常灯ですと数十KΩといったところかと思います。
機器の繋がっていないコンセントなどは完全に回路が開放されていますのでOV(オーバーレンジ)が表示され、限りなく大きな抵抗値があるということです。
ただ、数値が出ているということは抵抗がある状態で導通しているがショートはしていないということです。
試しにテスターの2本のプローブを接触させてみてください。0Ωと表示されます。
0でなくても数Ωですとかなり怪しいです。
回路で短絡状態の場合はこの表示がされますので、ブレーカー投入を中止し回路の調査をしなければなりません。
最後に
いかがでしたでしょうか。
ブレーカー投入前の抵抗値測定。義務ではありませんし少し手間になりますが、高品質の施工ということでみなさんも実施することをおすすめします。
先程も記載しましたが責任問題に発展することもありますので、自分の施工した範囲は責任をもって測定をして確認することが重要です。
それではご安全に!